OMソーラーの修理

 わが家のセルフビルドは1994年の春にスタートしている。完成となると定かではなく、一年半後に住みはじめたが、床板は張れておらず下地コンパネの上を土足で生活していた。しかしOMソーラーの工事は屋根工事と同時のはずだから、およそ23、4年前の設置ということになる。

 空気集熱方式のOMソーラーや、考案者の奥村昭雄氏(東京藝術大学名誉教授)についてはここでは書き触れないけど、かなり初期の導入だったことになる。20数年間のトラブルと言えば、雷電波をひろって損傷したマイコンを交換したぐらいなもので、機構そのものは故障しらずでよく働いてくれた。

 ところが半年ほど前、どうも床下に熱が送られていないのに気がついた。この冬は特別に寒かったため気づくのが遅れたのだが、屋根で行われる集熱は、いわゆる温室だから故障のしようがなく、集熱ファンも作動音を聞くかぎり回っているようだ。それでいて床下に風が送られてこないのだ。

 書き忘れているが、OM設置も工務店なしのセルフビルドだった。構造計算を依頼した若手建築家が浜松まで出向いて講習会に参加し、日光市初めての導入事例になったはずで、設置時にはOM協会からの技術指導をたのみ(文字通り指導するだけで、釘一本打たなかった)、板金屋さんに手伝ってもらって工事した。たとえば曲がりくねったダクトの接続工事は、建築家と奥さんが担当といった具合だ。

 そうしたことから故障調査も建築家にお願いしたのだが、どうもはっきり原因がつかめない。同じころ故障した貯湯タンク(夏になると排出する高温空気でお湯を取る)との関連も疑われたが、どうやらハンドリングボックス(集熱した空気を床下に送ったり、屋外に排出する)のダンパーを動かすモーターの故障と判明。20年以上も使ったので寿命と考えてよく、取り寄せて交換ということになった。

 交換作業は建築家と電気屋さんが当たってくれ、私はまったくノータッチだ。若手だった建築家もすっかりおじさんになり、かなり老眼がすすんでいるらしく、マニュアルを読むのも苦労している様子。
 作業手順を把握するのがやたら難解だったけど、作業そのものはごく順調。スイス製のあたらしいモーターの軸位置をたしかめて取り付け、ソケットをマイコンの所定の場所に差し込むだけだった。ただし曇天のため集熱されていないので動作は確認できない。
 翌日、棟温度45℃になり動作しているのを確認。その後、あたらしい貯湯タンクも設置されてお湯とりも開始し、このところの好天気には、ボイラーをほとんど作動させずに入浴できている。

ついでのトピックス
……嵐も吹けば、雨も降る……
 鹿にかじられ、猿に引っこ抜かれたりしたが、しぶとく何本か残ってどうにかこうにか収穫をむかえ、ペコリーノチーズと一緒に食卓にのっている。
……ここに倖あり、あおい空……
 生食用ファーベ(そら豆)を話題にしているが、唄がやたら古い。

酷暑対策・冷風除湿機

 二階にある書斎は、吹き抜けに面しているため薪ストーブの熱気が溜まりやすく、マイナス10℃の厳冬期でも暖房はいらない。そのぶん夏の暑さには弱く、換気扇フル活動、加えて北側の窓全開でもおいつかず、そこで涼しい一階の和室に避難することにしている。

 セルフビルドしたわが家にはOMソーラーを導入(むろん自己工事)してあり、夏季モードには冷風機能がある。夜間の冷たい空気を取り入れて、床下の蓄熱コンクリートを冷やしておく。つまり冬季に、日射で暖まった空気を床下に送りこむのと逆の方法で、床下を冷やしてしまうわけで、一階リビングのフローリング床などは、日中ひんやりと感じられるのだ。

 ただし避難した和室は畳敷だし、床下は地下室なのでOMによる効果はない。その代わり床に開口部をつくり、地下室の涼しい空気を取り入れるよう工夫した。
 話は前後するが、わが家はメーターモジュールでつくった。そのため畳敷の和室に一部分フローリング仕上げがあり、そこを切り抜いて換気扇を取り付けたもので、たとえ真夏でも27,8度の空気を取り入れられるのでかなり涼しい。

 しかし地下室の空気だけにやや湿気がある。そこで除湿機を使用したいのだが、所有機はかなり発熱するので室温を高めてしまうので使えない。発熱しない除湿機を導入するか、あるいは窓用エアコンの除湿機能を利用するほうが手っとり早いか……。

 いろいろ調べた結果、海外にはこんなエアコンがあるようだ。小型でスタイリッシュだが、国内では販売していない。そこで見つけたのが冷風機能付き除湿機
 機能的には小さなエアコンと考えればいいのだろうか。冷媒によって空気を冷やし、同時に水分を結露させて取りのぞき、そのとき発生した熱は、本体の背後に取り付ける排気ダクトによって窓などの室外に逃がしてしまう方式。

 室温27℃の場合、10℃低い冷風が吹き出すそうだが、そこまでの機能があるかどうか。基本的には除湿機と考えたほうがいいようで、24時間で10Lの除湿能力があり、溜まった水はタンクを外して捨てることになるが、ホースを連結して自動排水することもできる。

 例によってオークション入手。窓用エアコンと同程度の価格になってしまったが、定格消費電力は220Wと窓用エアコンの三分の一程度だから、電気料もさほど気にせずに使えるのがいい。

 当初、台に乗せて窓ぎわに置くつもりだったが、畳とフローリング床の境になるため不安定になってしまう。そこで窓枠に乗せる台をセットするよう計画変更した。
 窓にはめ込んだ木枠には、本体を乗せたとき排気ダクトが収まるような大きな穴をあけ、窓枠に張った隙間テープの一番下から排水ホースを通すようにした。
 目論み通りの機能を発揮してくれれば、たとえ暑い夏でも執筆に専念出来るだろう。書けるかどうかは別にして。

 言い忘れていたが、使わないときは写真のようにすべて取り外しておく。ついでに窓下の丸太と畳に挟まれたフローリング部に、地下室からの換気口が見えている。白いLANコードが出ているが、いずれきちんと処理するつもり……で10年そのままになっている。

キーボード交換

 先日オークションで購入した英字パソコン(Thinkpad X61)のキーボードを交換した。プリントした白抜き文字を貼り付けてしのごうと思ったものの、やはり使いづらいし、どうにも気分がわるい。たまたま低価格の日本語キーボードをみつけたので、ついついクリックしてしまったのだ。

 いまさらThinkPadを話題にするのはいささか気が引けるし、さほどパソコンにくわしいわけではない。ワープロ代わりに導入してから15年ほどか。たまたまレノボ製のThinkpadのキーボードの打ち易さが気に入ったのだが、後になってIBMから譲渡されたブランドと知り、なるほど、と思った。もともとIBMはタイプライターのメーカーだったのだ。

 つまりIBMブランドは、そのころすでに中国の聯想集団(レノボ)に譲渡されていたわけだが、Thinkpadの開発・設計は一貫して日本IBMの大和研究所(神奈川県大和市)で行われていたらしい。
 そうした事情も知らずに中古入手したThinkpad X61sの使い心地はわるくなかった。やや重いのはマグネシウム合金フレームによる堅牢さゆえだろう。キーボート中央の赤いトラックポイントは、Thinkpad独特な機能だが、慣れると癖になるほど使いやすい。

 そしてなにより特筆すべきは、整備マニュアルが公式に公開されていて、交換用パーツの販売にも応じているため、自己責任ながらユーザーによる分解・整備、あるいは修理が容易に行えることにあるだろう。なんでも自分でつくりたがる「自作人間」の私にとって、これほど魅力的なことはない。

 他メーカーにはない、こうした設計思想の発案が、IBM本社か日本IBMの大和研究所だったかはわからないが、いずれにしろネジを隠すようにラベルを貼ったり、プラスネジですむところをわざわざ☆型頭に変え、ユーザーの分解・修理をし難くするケチな考えがないのが好ましい。おそらくレノボに譲渡されるさいの条件に、こうした設計思想の継承も入っていたのだろうと想像する。

 ちなみにThinkpad X61の発売は2006年。そうした古い機種のパーツの入手は、普通かなり困難なものだが、レノボ・サポートでほとんどの部品が購入てきることになっている。またネット上でも販売されているし、オークションサイトを当たれば低価格の中古品を手に入れることも可能だ。
 ネット購入した日本語キーボードは新品ながら、通常より千円ほど安く売られていたが、オークション購入した本体とほぼ同価格なのだから、あまり安い買い物とは言えないか。

 しかし作業はじつに簡単。くわしくはここを参照してもらえばいいのだが、裏面の外すネジ四本のうち、バッテリー部にある一本がややわかりづらい。しかしこれも、交換作業にはバッテリーを取り外すようにとの配慮なのかもしれない。

 キーボードを外すには、全体を押さえながら上部にすこしずらし、隙間にプラスチック製のヘラなどを差し込む。クレジットカードでもいいだろう。むろんキーボードは配線されているから、慎重に取り扱ってソケットを外し、新しいキーボードに交換する。

 あとは逆の手順で組みなおせばいい。作業時間は30分ほどか。
 修理などと言えないほど短時間だったが、組み上げたあとタッチパッド付近にわずかな振動を感じる。まだ異音を発するほどではないけど、この下には第2ファンが収納されている。
 ファンエラーがでるようになったら交換が必要になるのだが、部品価格を調べたらキーボードの倍もする。
 あるいは修理地獄に迷い込んだかもしれない。

丸鋸ブレーキ修理

 ようやく暖かくなってきたので木工作業をはじめたところ、どうしたことかスライド丸鋸のブレーキが利かなくなっていた。20数年前の母屋建築のために購入というから、ひどく古い機種だからそろそろ寿命でもおかしくないが、なにはともあれ修理してみないことには気が収まらない。

 冬ごもり前には異常がなかったはずで、まずはカーボンブラシ不良を疑った。二か所のカーボンを外して点検するが、長さも十分だし、片減りや変形も見られない。となればスイッチの故障の可能性が高いわけだが、あるいは接点が焼けたための接触不良か。かれこれ十年前、スイッチを分解して接点研磨で直したことがある。

 モーターは電力で回転するものだが、別の力で回してやれば電力を起こす。つまり発電機になるわけだが、このシステムを応用して丸鋸のブレーキが考えられている。
 スイッチをOFFにすると、逆接点を通じて別コイルが作動し、惰性で回転している駆動モーターをすみやかに停止させる仕組みになっている。

 まずは駆動モーター部を取り外す。3本の長ビスを外して横に引き抜き、スイッチを収めたハンドル部はタッピングビス3本で止められている。3本のコードが接続されたスイッチを裏返し、細いマイナスドライバーでこじ開けると接点部が外せる。
 シーソー状になった接点部は、スイッチ動作に応じて反対側に導通するわけで、円形の接点部をよく磨いて組み立て直せばいい。

 これで直るはずだったが、症状は変わらなかった。あるいは接点復活剤を塗ればよかったのかもしれないが、スイッチを交換したほうが確実だろう。スイッチ写真をプリントアウトして販売店に取り寄せを依頼した。

 翌日に届いた部品は品番が違っていたようだが、形状その他は問題はなく、部品価格は1000円。3色のコードの位置を違わないよう差し込み、付属のイモネジでしっかり止めればよい。むろんブレーキも無事に復活。

 ついでに鋸刃も交換して修理終了。

英字キーボード

 モバイルPCにThinkpad X61sを使い、待ち時間の多い病院通いに重宝している。もう10数年も前(IBMからLenovoに変わったころ)の発売機種だが、SSD換装やメモリ増強で高速化すれば、まだまだ十分使える。抜群の耐久性や修理部品の入手、キーボードの打ち易さを考えると、いまのところ手放す気はない。

 先日、たまたまオークションでX61を見かけた。姉妹機種とあって共通部品が多いので予備機にするつもりで応札すると、スタート価格のまま落札。送料込みでたった2千数百円ながら、けっこう新しげだし、電源も入りBIOSも立ち上がる。ただしキートップにカナ表記がない。つまり英字キーボードだったわけで、これがため応札がなかったらしい。

 英字キーボードが人気、と聞いたことがある。スタバにモバイルPCを持ち込んでキーを打っている連中は、きまってカナ表記のない英字キーボードらしい。どうやらプログラミングにはカナは使わないから、その格好よさを真似たようだとも聞いたが、そうした人たちの多くは、Macあたりのスタイリッシュさを好むだろうから、武骨一辺倒のThinkpadでは似合わないのかもしれない。

 初めてキーボードに触れたのは40数年前のことになり、ワープロだったそれのキーボードは親指シフトというものだった。やがてJIS配列キーボードを使うようになるのだが、そのさいローマ字変換とカナ変換の選択を迫られたのを思い出した。

 ローマ字変換であれば、アルファベット26文字を覚えればよい。一方、カナ変換はその倍近いキーを使いこなすことになり、数字を打つたびに入力モード変える必要がある。そのためローマ字変換が推奨されたりしたが、私自身はカナ変換を使う。日本語で小説を書いているのに、アルファベットを意識するのはそぐわない気がするのだ。

 ちなみにウチの奥さんはローマ字変換で、いかにもベテランといった感じにいそがしく打っている。それはつまりローマ字変換は、子音の表記に2文字使うことになり、当然、打鍵数が多くなるという事象があるからだ。Wikipedia「親指シフト」の入力速度の項目によれば、ある文章を入力したときの打鍵数は、親指シフトを1.0とした場合、カナ変換1.1、ローマ字変換1.7の比率になるらしい。

 またローマ字変換は子供の英語教育をダメにする、との意見もある。たとえばローマ字による母音は五つだが、英語の母音は16種類(よく知らないけど)もあるため、ローマ字変換でカタカナ英語が染みついていると、かんたんな英語の発音につまずいてしまうらしい。つまりローマ字読みが定着してしまった子供は、英語を習い始めても、ローマ字読みから脱却するのに時間がかかると言うのだ。

 どちらの変換を使うかは好みの問題になるだろうけど、とりあえずLinuxのubuntuが入ったSSDをセットし(こうした作業もThinkpadならひどく簡単)、英字キーボードを使えるよう設定する。つまり端末を呼出し、コマンド操作するわけだが、その作業中に、おや、と気がついた。

 英字キーボードだから、いわゆるUSキーボードと思っていたが、それとは配列が微妙に違っている。あるいは英国式かと調べたが、これとも合致しない。これでは設定できないため、いろいろ調べることになったが、何のことはない。いくつかのキーが記号表記になっているが、日本語配列と寸分違わない。どうやら「日本語配列カナなし」キーボードらしいのだが、それにしては表記がおかしいのでいますこし調べる必要がある。

 何ともやれやれの話なのだが、@や「」マークの表記がないのは不便で仕方がない。とりあえずプリントした白抜き文字を貼りつけ、今しばらくは使って見ることにしたが、あるいは日本語キーボードと交換するかもしれない。このあたりが容易に出来るのもThinkpadの特色ということになろう。

PCトラブル顛末

 数日前の寒い朝、いつものように起動させたパソコンにトラブル発生。禍々しい黒い画面に何やら英文メッセージが表示されていた。
「ディスクの読取りエラーが発生した。Ctrl+Alt+Delを押して再スタートさせよ」

 指示通りにすると難なく起動する。一日中使用しても問題はなく、何のメッセージも表示されなかった。
 ところが翌朝から毎日、同じように表示されるようになった。しかし、いったん起動すれば異常はなく、スリープやシャットダウンをくり返してもスムーズに起動する。どうやら朝一番の起動時だけの現象らしい、と見きわめをつけたころ一度ではだめになり、二度三度とCtrl+Alt+Del押しを試さないと再スタートしなくなった。

 とりあえずネット情報に当たってみる。まず周辺器機の接続が原因になっていないかを確認したあと、BIOSのBoot設定が変更されていないか調べた。
 6年前に自作したPCのマザーボードはGIGABYTE製。電源ボタンを押したあとDeleteを連打してBIOSに入る。3D-BIOS画面をチェックするが、Boot順序№1はちゃんとHDD(使用しているのはSSDだが)のマークになっていた。

 もしやと考え、BIOSのUpdaingを行なった。電源ボタンを30秒ほど長押しすると、自動的にUpdaingがはじまり、およそ5分ほどで終了する。この日のチェックはここまでだったが、しかし翌朝の起動時には、まったく修正されていない。

 ふたたびネット情報探しだ。内部電池は交換したばかりなので原因から除外し、パーティション内のブートマネージャの読み込めないためのエラーかも知れないと考えた。その不具合を修正する「chkdsk」を行なおうとしたが、どうしたことかwin10用のシステム修復ディスクが見当たらない。確かに作成した記憶があるが、ひょっとするとそれはwin7のときだったかもしれなかった。

 ならばいっそ、とPCを初期状態にもどすことにした。アプリを入れ直さねばならないけど、一番確実な方法だろうと思ったのだ。
 スタートメニューの設定…→更新とセキュリティ…→回復…→このPCを初期状態に戻す…→個人ファイルを保持するを選択し、インストールは約30分ほどで終了する。しかし翌朝には、変わらずCtrl+Alt+Delを押す羽目になった。

 となればSSD本体の故障しか考えられない。予備のSSDにクリーンインストールするかとも考えたが、前々から欲しかったクローン作成機を急ぎ購入し、win10導入時の小容量SSDからのクローンを作ることにした。さすが専用機だけにクローン作業も早かったが、結果は変わらない。いや、変わらないどころではない。Ctrl+Alt+Delを何度も試さないと起動しないようになり、エラー症状はいよいよ重篤の気配になってしまった。

 やれ、困ったぞ……とWin10が入った二つのSSDを取り替えつつ、あれこれ試すことになる。どこをどうしたかわからなくなったころ、まったく症状が出ていないことに気がついた。
 あれ! と思ってSSD②に換える。症状が出る。そこでSSD①にもどす。またも症状が出る。再度SSD②に換えてみる。すると無症状。おいおい……どうしたことだ。

 そこに至ってやっと気がついた。SSDを交換するさい予備のSATAケーブルを使っていたのだ。そこでテストすると、すぐさま判明。つまり原因は、それまで使用していたオレンジ色のSATAケーブルだったわけで、ケーブル交換後はごくごく快調に起動している。

 断線か接触不良かわからないが、あるいは気温低下とともに金属部の収縮でもあったのかもしれない。いずれにしろ人騒がせなトラブルだった、と思いつつネット情報をたどってみると「SATAケーブルの接点不良」を原因の一つにあげているサイトがちゃんとあるのを発見……。
 どっと疲れがよみがえってくるのだった。

丸太のテスト挽き

 本格的な冬が来るまえに、バンドソーのテスト挽きをした。かれこれ二年前、わが家の前の川岸から台風による倒木を引き上げ、薪原木としたことがある。そのうち樹種不明ながら直径40センチ近い玉切りを保管してあるで、これを板に挽いてみた。

 バンドソーCB65Fの最大挽き割りは250㎜しかない。すこし余裕をみて240㎜の高さになるようチエンソーで切断する。
 年輪を数えると50年生ほどのようで、表皮からすると樺系のように思われる。保管中に雨に濡れたこともあるが、切断面にさほどの水染みはなく、木目も案外おとなしい。

 バンドソーに装着したのは、岩崎目立加工所製の幅50ミリの高周波焼入振分刃(焼き入れして左右に振り分けたアサリ刃という意味だろうか)。@2,446円とあんがい格安だが、どれほどの切れ味か興味がある。

 作業テーブルに潤滑スプレーを吹きつけ、丸太を乗せる。これがやたらと重く、作業台が高すぎたのを後悔する。一度には乗せきれず、途中に置いた台まで持ち上げ、気を入れ直してテーブルに設置する。あやうくギックリ腰になるところだった。

 目一杯高くしたセリシャフトぎりぎりなので、怖々とした切断になった。時間を計ったわけではないが、240ミリの挽き割りとして十分満足する。
 柔らかい杉をチェンソー製材するよりずっと楽だし、なによりソーダストの量が格段に少ないのがうれしい。
 半割にしたあと20ミリ厚の板にしてみたが、これもスムーズな切断だった。

 板材をプレーナーにかけてみた。切削の加工性はよく、仕上がりもわるくない。目が詰まり、ややおとなしい木目だが、濡れ肌にしても趣のある色合いになった。オイル仕上げにむいた板材になるだろう。

 それにしても樹種はなんだろう。玉切りしたときの表皮からは樺系と見当をつけてあるが、プレーナー仕上げの肌目は桜に似ている。あるいは水目桜(ミズメサクラ・別名ヨクソミネバリ)ではないか、と思っているがどうだろうか。

いまさらのバンドソー③

 中古入手したバンドソーCB65Fには、ご多分にもれず取扱説明書が付いておらず、そのためいろいろ探し回ることになった。
 それにしても取扱説明書はおよそ冷遇されている。ろくに読まれず、そのまま捨てられたり忘れられたりするのは、かつて広告物制作にたずさわり、取説やマニュアルづくりの経験があるだけに悲しい。

 世間では「マニュアル人間になるな」などと言ったりする。マニュアルに書かれた決まったことしか出来ず、予想外の事態に対処できないような人間では困る。自分で判断しろ、ということであるらしい。むろんマニュアルは無視してもよいとの意味ではない。
 そもそもマニュアルには、一番大切な事柄を書いてあるもので、それ以外の事態や対策をすべて書くのは不可能ごとだ。つまり予想外とされる事態の多くは、マニュアルに記載された絶対守るべき事項をおろそかにした結果であって、「マニュアル人間」からの脱却は、マニュアルを完全に理解してからの話だろうし、そのためマニュアルはいつも手許に置いておくのがいいと思う。

 CB65Fの取扱説明書は「木工屋 hiuma」さんから譲っていただいた。ネット上を探しまくり、厚かましくもコピーをお願いしたところ、こころよく送ってくださったのだ。まことに深謝……。

 まずは一読する。その結果10ページ下段にある「オビノコの刃幅1.25㎜」は「12.5㎜」の間違い……などとつい校正してしまうのに苦笑する。
「ガイドの使い方」にある図解によれば、ガイドの先端は、のこ刃より先には出ていない。加えて切断材とはがき一枚のすき間をもたせ、ガイド末端を1㎜ほど傾けるのが挽き曲りを防ぐコツらしい。

 また標準装備された「挽材案内装置」は、挽き曲りを防止するため木材を押しつける働きがあるようで、その量は5~10㎜が適当と書かれている。この数字はどうやら押しつけるスプリングの曲り量らしいが、それでいて「はがき一枚」のすき間、というのはどうした意味だろうか。

 自作した平行ガイドには、のこ刃の先まである長めの板を設けてある。これがどう影響するかは、むろん取説には書かれていないが、あくまで「挽き曲りを防ぐコツ」であって安全性には問題はないらしい。だからこそ市販されている多くの平行ガイドも長いのだろうと判断した。

 のこ刃は「岩崎目立加工所」に3種類注文した。のこ幅10㎜・16㎜(各1102円)・50㎜(2424円)+送料・消費税とかなりの格安。いろいろ試そうととりあえずの購入だったが、注文後の連絡・届いた品物の丁寧な梱包ぶりはとても好感が持てた。

 まずは幅50㎜刃を取付けてみた。0.8㎜とやや厚みがあるのこ刃だけに、弾力が強くて取り扱いに苦労した。鋭い刃先で指を傷つけぬよう皮手袋を使い、純正のこ刃65㎜と同様、のこ車から刃先がすこし出るように調整した。これは刃に設けられたアサリ(抵抗を少なくするため刃を一枚ずつ左右にひろげてある)がのこ車でつぶされるのを防止するためらしいから、50㎜幅ながら純正65㎜と同じよう処置することにした。

 また取説には、のこ刃のぶれ止めとなるセリは、65㎜幅とそれ以外の細刃では反対に取付けると記載されている。購入機には6㎜の細刃が装着されていたため、セリも反対になっていた。切削テストのあとに気がついて二股側につけ直したが、取説がなければ気がつかなかったかもしれない。

 切削は杉材でテストした。モーターの駆動音はかなり大きいが、チェンソーのエンジン音ほどではなく、のこ刃も下にむかって走るだけなので、回転するチェンソーやテーブルソーのようなキックバックは起こらない。そうした安全性がバンドソー購入の大きな理由なのだ。

 切削速度は思っていたより速い。切削面の仕上がりは他機種を知らないので比較は出来ないが、チェンソーを使い慣れた身には十分満足できる。全刃チップ付(6439円)も用意されているので、堅い材で支障があるようならぜひ試してみたい。
 心配したドリフトはわずかに起こるようだが、テスト切削では紙一枚はさむ程度で解消でき、自動鉋で仕上げるのだからまったく問題はない。

 とりあえず薪材の丸太を板に挽いてみるつもりだが、本格使用がいつになるかはわからない。冬ごもりの季節は小説書きと決めているのだ。

いまさらのバンドソー①

「午後に届くらしいわ、家財便」
 電話を受けた奥さんが不審そうな顔でつづけた。
「バンドソーってなあに、オークションでまた買ったの?」
「ああ、木工機械……。板に挽くもの」
「この前はチェンソーで切っていたじゃないの」
「細かに切るのは無理だからね」
「ふーん、板ならいっぱいあるじゃない。第一、何を造るのよ」
「…………」
 すぐには答えられない。必要な家具はあらかた揃ってしまい、いまさらバンドソーを入手しても造るものがない。

 運ばれてきたのは日立バンドソーCB65Fの中古格安品。コンパクトな形状ながら挽き割り250㎜の性能があるのが気に入ったが、なにせ70㎏を超える重さがある。積んできたトラックは低床タイプで県道から入れず、係員二人がかりで坂道を運んでくれた。

 設置したのは、物置状態だったのを前もって片付けてあるデッキ下。運びこみやすいよう柵は取り外しタイプにし、地面には軽トラ用のゴムマットを敷いて湿気除けとした。

 さっそく動作点検をする。6㎜の細いブレードが付いていたが、平行フェンスや取扱説明書は付属していない。モーターの動きに異常はなかったが、ブレードの横ぶれ止め(セリと呼ぶらしい)を上下させる軸およびブレード背後のベアリング軸が固着し、セリ自体もブレードにこすられて損傷していた。
 とりあえず潤滑油をスプレーしてみたが、さび付きはとれない。しばらく放置して台座を造ることにした。

 どのくらいの台座が作業しやすいかわからない。本体の作業テーブルは高さ35センチほどで、あまりに低くすぎるだろう。調べたネット情報では胸の高さが多いようだから、とりあえず65センチ高の台座を造ることにした。

 材料はありあわせの45×90㎜のスギ材。ルーターで溝を掘ったのは、強度補強に12㎜の針葉樹合板をはめ込むため。汚れていたのでオイルステインで黒く染め、表面から止めたクギも黒マジックでごまかした。
 いつものようにポケットジョイントで組上げ、中に棚を造るだけにするつもりだったが、勢いづいて扉も製作する。あいにく1寸厚の板しかなかったのでやや無骨な扉になってしまう。こうしたときバンドソーがあればすぐさま挽き割りできるわけだ。

 仕上げの塗装もないので簡単に完成したが、70㎏をどうやって持ち上げるかが問題だった。

スターターロープ交換

 梅雨明け宣言があったはずだが、なぜか雨降りが多く、夏の盛りとは思えない涼しい日がつづいている。水分たっぷりだけに草の成長がはやいように思われ、仕方がないな、と刈払機をスタートさせた。

 刈払機やチェンソー、さらには薪割り機などのエンジン起動は、多くはリコイルスターターが使われる。ブーリーに巻きつけられたロープを引き、クランクに回転を与えることでエンジンを始動させるものだが、むかしからどうもこれを苦手にしている。

 腕力がないのが大きな原因なのだが、スキュバーダイビングに凝っていた20代前半のころ(なんと!50年前の話だ)、ゴムボート搭載の船外機がどうしても起動せず、プラグを外しては装着し、3時間ほどもスターターロープを引きつづけたことがある。その間に潮にながされ20キロ近くも漂流。
 たまたま陸に向かっての海風だったから助かったものの、逆の風ならはるか太平洋だったわけで、そのトラウマは今でも残っているのだ。

 ともあれエンジンは起動した。が、どうしたことか吹き上げが不調。回転をあげるとブスブスと停止してしまい、2度3度と起動しているうちに、プツンとロープが切れてしまった。
 かれこれ10年は使っている刈払機だからロープ交換も止む無し、とホームセンターに飛んで行き、ロープを購入して交換修理とあいなった。

 プーリーを外したあと、スプリングをほどかぬよう慎重にロープを通し、ストッパー代わりに結び目をつくるが、どうにもいけない。購入したのは3㎜φと一番細い交換ロープだったが、結び目が大きすぎて入りきらず、むろん出っ張ったままではセット出来ない。

 仕方がないのでライターでよくあぶり、繊維を溶かした塊を大きめにつくって溝に納めた。よく考えてみれば古いロープの残骸がなかった。つまり切れたわけではないので、この方法が正しいのかもしれない。

 ロープを通した取っ手がきちんと納まるようロープの長さを調節し、元通りに組み立ててロープ交換は終了。

 クリーナーカバーを開けて不織紙のエアクリーナーを生ガソリン(混合燃料を使って目詰まりさせたことがある)で洗い、スパークプラグを交換する。写真に撮り損ねたが、燃料タンクから針金を使って燃料フィルターを引き出し、同じくガソリンで洗浄する。

 ほとんどの場合、ここまですればエンジンの調子は回復するが、ときには燃料調節スクリューの調整が必要。取扱説明書に記載があるはずだが、スクリューを動かすときには、左右に何回転したかを覚えておくとよい。とにかく始動しやすく、アクセルに応じて回転数があがるように調節するのだが、要はエンジン音の調子でわかるように慣れることが一番だろう。

 ちなみにキャブレター分解は、自信がないのでほとんどしない。燃料の混合比を25:1から50:1(ハスクバーナのチェンソー用を使用)に替えたせいか、キャブやマフラーの汚れは感じなくなった。

 それにしてもこの涼しさはちょっと異常ではないか。気象庁もようやく騒ぎはじめたようだが、宮沢賢治が「オロオロ歩いた夏」とはこのことかと思い当たる。