ローテーブルをつくる・③

 半地下の作業場で完成させた部材をデッキに移した。屋根付きにしてからは、オイル塗りなどの仕上げをする作業場にしている。風が通って気持ちよく、オイルの臭いも軽減されるのがいい。

 格子組の脚部とクリ板のトップボードは、長穴仕様の「コマ止め金具」で止める。完璧にするなら「吸い付き桟」を採用したいところだが、クリ材は乾燥が早く、10年も乾かしているので大丈夫、と言い訳しつつ金具を使用している。

 格子組の上枠をトリマーで金具の厚さ分をさらってビス2本で止め、1脚に4か所、都合8か所で固定する。

 裏返したトップボードに脚部を逆さに乗せて固定する。どちらもオイルをすでに塗ってあるのは、固定してからのオイル塗りはひどく面倒な作業になるからで、ほとんどの場合、この方法を採用している。

 トップボードにねじこむビス穴には、左右数ミリの余裕があり、ボードの伸び縮みに対応するが、薪ストーブの近くに設置するので、たぶん収縮方向に動くはずだ。

 脚部を固定して裏返すと、ようやくローテーブルの全体像がみえる。それにしても重く、一人では無理と奥さんに手助けを頼む。たった1.2メートルのトップボードでも手に余るようだと、いずれ製作と板材を確保してある2.5メートルの巨大テーブルなぞ、とてもとても無理であろう。部材にするつもりのカエデ材は、ほかに利用してしまおうか。

 トップボードの表側にオイルを塗る。母屋でのセルフビルドでも同じだったが、塗料塗りになると奥さんの出番だ。
「なんだかザラザラしている。よく磨いた?」
 と突っ込みが入ったりするので、まったくの休憩というわけにはいかない。

 理想をいうなら平ガンナを使いたい仕上げだが、使いこなしや研ぎがひどく難しい。そこでサンダーによる研磨で仕上げることになり、多くの場合、粒子130番のベルトサンダー、オービタルサンダーを180番か240番で使い、さらに細かいペーパーを三角サンダーで使用、という手順で研磨している。

 そして最後に、オイルを塗ったあと400番の耐水ペーパーで研ぎあげている。力をこめて円を描くように磨きあげ、浮き出た研ぎカスで木の導管を埋めるようにしたあと、乾いた布で拭き取る。

 小1時間(夏)から半日(冬)ほど乾かしてから再度オイルを塗り、半乾きのころ乾いた布で拭き取るのが私の方法。あまりテカテカせずしっとりした艶に仕上がるのが気に入っている。

 こうしたオイルフィニッシュには、乾性油の桐油や亜麻仁油が多く使用されるようだが、このところはより早く乾くよう調整されたワトコ・オイル(ナチュラル)をよく使う。

 ついでながらアメリカの木工家の間では、亜麻仁油にウレタンを混合させる方法が流行しているらしい。早く乾き、オイルの硬度がまして耐水性も向上するようである。
 飲み物を置いたりするローテーブルなので試してみようと、ワトコ・オイルに油性ウレタン30%を混ぜて塗ってみた。ワトコ・オイルは亜麻仁油系なのでいまのところ問題はないが、何年か経過をみないとわからない。

 箱はすべて普通のオイル仕上げ。前板だけは軽く研ぎあげたが、ほか部分は1回塗りで拭き上げるだけにした。ただし内側も塗ることになるのでけっこう作業量は多い。
 9個の箱を完成させた。予備をひとつ考えたからだが、案の定、底板の段付き加工で欠けが発生した。

 たぶん見えない割れがあったようで、ジョイント部の端がぽろりと欠け落ちてしまった。欠け部分と同じく木口がみえるようエポキシ接着し、よく乾かしてからアサリのないノコギリで切断。ペーパーで丁寧に補修し、オイルを施しておけば、写真程度の状態にまで仕上がる。

 完成まで半月ほどもかけたろうか。どのみちどこにも出かけられない自粛の夏だったので、ちょうどよい巣ごもり作業になった。

 こうしてセットしてみると、なかなかいい雰囲気。とくに8個の箱にたっぷり収納できる、と奥さんにも好評だが、奥の薪ストーブに炎が入り、一段と雰囲気があがったころには、酒のグラスや資料やらでゴチャゴチャするような気がしている。