いまさらのバンドソー②

 腕力(うでじから)にはまったく自信がない。持つのは箸とペン……などと言うつもりはさらさらないけど、3×6合板一枚運ぶのがやっとなので、そんな男がログハウスを造ったと言ってもなかなか信じてもらえないのだ。

 という話はともあれ、入手したバンドソー日立CB65Fは73㎏もの重量がある。とてもじゃないが持ち上げられない。もちろんバックフォーはデッキ下には入れず、アームも届かない。
 完成した台座を前にしてしばし考えることになる。

 薪割り機移動のためのハンドウィンチや滑車があるが、吊り揚げるとなるとやはりチェーンブロックだろう、と近所の自動車修理所から借りてきたが、吊り下げる場所がない。デッキを支える丸太にフックをねじ込んだが、やや場所がちがう上、はたして70㎏の吊り揚げにフックが耐えられるか不安がある。

 そこで「建て起こし」を考えついた。丸太の柱などの全体をつり上げるより、上部先端を引き起こして立ち上げる方法のほうが(どのくらい減るかは知らないけれど)少ない力で作業できる。この方法ならねじ込みフック+滑車+ハンドウインチで行けそうだった。

 まずバンドソーを横に倒し、完成した台座を取り付けてしまう。バンドソー側に用意された取付け穴は12㎜だが、10㎜のボルト4本を使用する。これなら台座側が多少狂っても取付けられる。
 スプリングワッシャをかませてしっかり固定したあと、スリングベルトを巻き付けてゆっくり引き起こし、45度ぐらいになったところで肩を入れて直立させた。
「案ずるより産むが易し」……あんがい簡単な作業だった。

 さび付きを処理したあと平行ガイドを造ることにした。CB65Fの作業テーブルは、鉄板をプレスして作られている。そのためきっちり直角になっていないので、おそらく既製のリップフェンスが使えないだろうし、そもそも「買うより造る」がモットーなのだ。

 そこで古い丸のこスタンドに付いていた鋳鉄製の平行ガイドに目をつけた。同じようなプレス鉄板用だからと試してみたが、バンドソーの折り下げ部のほうが3㎜ほど長い。つまり取付け穴を長穴に改造する必要があり、チェンソーの目立てヤスリがちょうどよかった。

 フェンスになるナラ集成材に穴加工を施し、六角ボルトを通してナットではなくノブで締め付けた。ホームセンターで売られていたプラスチック製ノブの利用は、たぶんドリフトの調整が必要になるだろうから、そのさいスペーサーをはさみ込むのに便利だろうと考えたのだ。

 とりあえず完成させた形状は、およそはネットで検索した平行フェンスに準じていて問題ないはずだ。ところが「ひょっとして違うのか」という懸念が浮上した。

いまさらのバンドソー

「午後に届くらしいわ、家財便」
 電話を受けた奥さんが不審そうな顔でつづけた。
「バンドソーってなあに、オークションでまた買ったの?」
「ああ、木工機械……。板に挽くもの」
「この前はチェンソーで切っていたじゃないの」
「細かに切るのは無理だからね」
「ふーん、板ならいっぱいあるじゃない。第一、何を造るのよ」
「…………」
 すぐには答えられない。必要な家具はあらかた揃ってしまい、いまさらバンドソーを入手しても造るものがない。

 運ばれてきたのは日立バンドソーCB65Fの中古格安品。コンパクトな形状ながら挽き割り250㎜の性能があるのが気に入ったが、なにせ70㎏を超える重さがある。積んできたトラックは低床タイプで県道から入れず、係員二人がかりで坂道を運んでくれた。

 設置したのは、物置状態だったのを前もって片付けてあるデッキ下。運びこみやすいよう柵は取り外しタイプにし、地面には軽トラ用のゴムマットを敷いて湿気除けとした。

 さっそく動作点検をする。6㎜の細いブレードが付いていたが、平行フェンスや取扱説明書は付属していない。モーターの動きに異常はなかったが、ブレードの横ぶれ止め(セリと呼ぶらしい)を上下させる軸およびブレード背後のベアリング軸が固着し、セリ自体もブレードにこすられて損傷していた。
 とりあえず潤滑油をスプレーしてみたが、さび付きはとれない。しばらく放置して台座を造ることにした。

 どのくらいの台座が作業しやすいかわからない。本体の作業テーブルは高さ35センチほどで、あまりに低くすぎるだろう。調べたネット情報では胸の高さが多いようだから、とりあえず65センチ高の台座を造ることにした。

 材料はありあわせの45×90㎜のスギ材。ルーターで溝を掘ったのは、強度補強に12㎜の針葉樹合板をはめ込むため。汚れていたのでオイルステインで黒く染め、表面から止めたクギも黒マジックでごまかした。
 いつものようにポケットジョイントで組上げ、中に棚を造るだけにするつもりだったが、勢いづいて扉も製作する。あいにく1寸厚の板しかなかったのでやや無骨な扉になってしまう。こうしたときバンドソーがあればすぐさま挽き割りできるわけだ。

 仕上げの塗装もないので簡単に完成したが、70㎏をどうやって持ち上げるかが問題だった。

ソファ改造

 10月になって本格的に薪ストーブを焚くようになると、ストーブ前に置いたソファがとても近しく思えてくる。なにやら食べながらグダグタと過ごす時間が多くなるからだが……、
「やはり邪魔だな。いっそとっ払うか」
 と前々から考えていたことがある。

 ソファと言っても出来合いの座椅子を利用し、自作した木枠にセットしたものだ。母屋を建ちあげたすぐあと作ったはずで、ナラ材をホゾで組みあげ、やや幅広の手すりはアルダー材を使った。

 ストーブ前には二人用と一人用を並べ、曲りケヤキの一枚板のテーブルとほどよいセットになっている。5,6年ほど前、座面がへたったのでポケットコイル座椅子と交換しているが、かれこれ20年ほども親しんでいたわけだ。

 しかし邪魔なのだ。間にある手すりは、コーヒーカップを置いたりするのに便利だが、寝っ転がるときに足がのばせないのである。

 そこでデッキに引っ張りだしての改造ということになったが、さしたる加工ではない。
① アルダー材の手すりをクランプを押し広げるようにセットして取り外す。
② ナラ材の柱を切断する。
③ 改造した手すりを取り付け直す。本来ならホゾを作り直すべきだが、見えない裏側からのビス止めとした。
④ 一人用も同じ作業で改造する。

 そんなこんなの2時間の作業で完成。しかしかなり古いのでやがては作り直しになるだろう。

「これでいいわ。今度の買い物でポテトチップス買わなくちゃね」
 とは、試しに寝っ転がった奥さんがのセリフ……。

ソーチェン交換

 薪づくり作業をすませたのでチェンソーの手入れをした。恒例になっている年に一度のメンテナンスだが、作業中に何度も目立てをしたさい「そろそろか」と気づいていたソーチェンの交換もしておいた。

 チェンソーはいつの間にか3台にもなってしまった。いずれもハスクバーナー製で246,346XPG、372XPGだが、新品で購入したのは、一番大きな372XPGだけ。もっともこれも米国の友人に購入してもらったもので、日本で買うより半値ぐらいで手に入れている。しかし、米国仕様のため部品入手にいくぶん手間がかかるのが難点だ。

 あとの2台は、女流ビルダーを目ざしてカナダまで行ったものの、あえなく挫折。その後始末にゆずってもらったといういわく付だが、機械そのものになんら問題はない。かれこれ8年ほども使っている。

 よく使うのは、やはり一番軽量の246だろうか。どちらかと言えば入門機に相当する機種だが、46ccエンジンに15インチバーの組み合わせはなかなかに使える。40センチ超のケヤキ材も問題なく処理できるほどで、今年の薪づくりは246だけですませてしまった。

 ちなみに346XPGは50.1cc・18インチ、372XPGは70.7cc・24インチ。名称にXPが付いているのはプロ仕様のようで、Gはグリップを暖かくするヒートハンドル機能。
 また346は排気デコンプ(シリンダー内の圧力を逃がす装置)がない割りに始動が軽い。スマートスタートという容易にエンジン始動を行える機能があるためらしい。

 ともあれチェンソーの切れ味は、一にも二にも刃の目立てによる。薪づくりのように堅い広葉樹を切断する場合、燃料を入れる度に行なうようにしているし、やわらかいスギであっても縦挽きでは負担がかかるため、おなじような頻度で目立てしている。

 写真のように刃が三角になるほどに摩耗したら交換どきだろう。新しい刃には、交換の目安として筋が入っている。今回は3年ぶりぐらいの交換か。

 あとは各所をエアーで吹き飛ばして掃除し、ガイドバーのミゾ掃除やグリス補給。つづいて燃料フィルターやエアフィルターを生ガソリンで洗うなどの手入れをしたが、キャブの分解は自信がないので手を出さないことにしている。

薪割り2017

 コロ薪小屋の完成をうけて、今年も薪割りをはじめた。しかし秋に割ったばかりの薪をすぐ燃やすことはない。水分が抜け切れていない薪は燃えにくく、無理に燃やしても温度があがらず、煙ばかりが多くて煙突を詰まらせる原因なるからだ。

 わが家では、春先から梅雨前を薪割りの季節とし、1年から2年間ほど乾かしてから燃やすようにしている。しかし今年は、原木入手が梅雨時になってしまい、すこしでも早く割ってしまいたい事情は前に書き触れた。

 使っているのはやたら重い薪割り機だ。車輪付だが、敷地は舗装されていないので役には立たず、バックフォーがなければセットすら出来ない。
 と書いて思いついたが、この薪割り機導入の顛末にふれるのも一興か。

 田舎暮らしをはじめて20年ほどは、手割りで過ごしてきた。薪を割ること自体を楽しんだ時代もあったが、年に6トン近くの薪づくりだから、70歳近くになるとさすがにしんどい。いよいよ薪割り機導入かと考えた。

 油圧式のエンジン薪割り機については、前々から考えていた。しかし、これまで使っていた広葉樹を割るとなると、破砕力20トン級が必要だし、そうした大型機の国産機はなく、多くはアメリカやカナダ製で5~60万円とべらぼうな価格。とても買えやしない。

 そんな気持ちがオークションで見かけた薪割り機に入札させたらしい。たしか5万5千円ほどの最低価格だったから、どうみても冗談半分。しかし、どうしたはずみか落札してしまうのだから、いやもう、びっくり。

 運賃2万円で運ばれてきたのは、重さ350キロ・破砕力270トンの大型機。ただし半製品で自分で組み上げねばならず、その説明書も怪しげな英文で書かれている。そう、中国製だったのである。

 なんとか組み上げ、油圧の作動油やエンジンオイルを別途購入。エンジンをスタートさせると、割り刃は遅いものの動きはスムーズ。早速はじめた割り作業も問題なかったが、ほどなく故障。

 しかもぞくぞく発生。作動油の低圧ホースのひび割れ・シリンダー固定のU字ボルト破損・振動による各所のボルト脱落etc.……。1年目は薪割り作業より修理のほうが時間がかかる始末。それが中国製の現実なのだろうが、なに、かつてのmade in Japanもそうだったのだ。

 以来、曲がりなりにも5年ほども使えているから、元は取れた感じだろうか。なにせ破砕力27トンは強力で、繊維のねじれたケヤキやカシ材もむしりとるように割れてしまう。割り刃の遅い動きにイライラさせられたが、慣れてしまえばさほど気にならず、かえって安全かと思えるようになった。

 かかりが悪かったエンジンだが、停止するとき電気スイッチを使わず、燃料コックを閉めて自然停止させれば、スムースに再起動する。キャブの燃料を空にさせてしまうのがコツのようで、今年の作業はごくごく快調だった。

 やや余談だが、玉切りのさいの切り屑は、「なるべく回収してね」とヤギ担当の奥さんに言われている。ヤギ糞掃除に使うととても具合がよいらしい。

 先週まで話題にしていた寸足らずのコロ薪は、全薪量の10分の1ほどもある。こんな感じに新設されたコロ薪小屋に納まり、やがては火持ちのよい薪として重宝するのだ。

コロ薪小屋再建③

 古いコロ薪小屋は、母屋裏手の斜面にむりやり建てたものだ。ブロックを礎石代わりに置いてみたが、土固めもせず高さも十分ではなかったため、運び入れた薪の重さでブロックが沈み込んでしまった。ジャッキで上げてレンガを差し入れてみたが足らず、バックフォーで引っ張って斜めになったポストを起こしたりした。

 つまり斜面なりに傾斜した床に、まっすぐポストが立っている状態。いわゆる菱形小屋になっていたわけで、それでも10年以上は薪小屋として使えたのだから、まあまあ文句は言えない。

 パレットを利用するのだから斜めにポストを差し込むわけにはいかない。いろいろ考えたすえ、こんなふうな階段式土台ということになった。余ったU字溝を礎石に利用し、パレットの一部を重ねれば何とか水平になる。これでポストは垂直に建てられるわけだ。

 ただし樹脂製のパレットは堅いようでも案外やわらかい。底面に空間が出来たまま重量をかけると、長い間には変形してしまう。そこで底面全体で保持できるよう段差部分に土を運び入れたが、これがけっこう重労働だった。

 U字溝のずれ止めにプラスチック杭を打ち込み、ポスト4本を垂直に建て込んでしまう。むろん段差があるのだから、ポスト長はパレットの厚さ分(15センチ)を考慮するわけだが、4本とも寸法や形状が違う。たとえば斜面下側の2本は15センチ長くするが、片流れの下にあたるポストは勾配分短いことになる。

 また片流れ屋根なので工程はかなり簡単だが、ポストだけだと不安定なので、壁となるラティスをある程度張ってしまってから屋根工事に取りかかった。仮筋交いを打ち、ポストの垂直を確かめながらラティスやザラ板を張ってゆく。

 正面の柵は、材料とするラティスの関係で半分ずつの2枚となったが、あるいはこのほうが使いやすいかもしれない。敷居がわりの2×6材にずれ止めを打ち、上部は針金で止める。蝶番でドァーを取り付けるより丈夫だろう。

 そんなこんなでコロ薪小屋が2棟完成したが、このあとの薪割り作業を考えると、いささかうんざりしてくる。

コロ薪小屋再建②

 4本のポストを梁でつないだあと、4寸の角材で束柱を建てた。屋根勾配を3寸としたのは、昨年のデッキ屋根工事で残った材料なので、それ以上の長さに出来なかったためだが、後述する「棟包み」とたまたま一致した。

 梁と棟木とした2×6材に差し込むためのホゾを彫る。当然、上下の向きを90度変えておき、取り付けたあとはビス留めしておく。

 つづいて垂木を取り付ける。材料はいんご(1寸5分角)を使い、横桟はいんにっさん(1寸2分×1寸3分角)を使った。この二つはさすがに手持ち材がないので、屋根材のポリカ波板とともに新たに購入。

 長いビスを使って脳天止めしたが、不安定なので屋根上には乗れない。脚立や足場を利用するわけだが、45センチ間隔の間に入り込むのに苦労した。近ごろの肥満気味を実感する。
 また部材は塗装をすませてから固定した。とくに足場が必要な場所は前もって塗装するほうがずっと楽で、低い位置なら奥さんにお願いする、というのがセルフビルダーの常套手段だ。

 それにしても使っているインパクトドライバーはいかにも古い。20数年前の母屋建築時に購入したものだが、まだまだ使えている。

 古いと言えば、壁に張ったラティスも旧コロ薪小屋に使っていたものだ。腐りにくいウエスタンレッドシーダー製だが、15年近くも雨に濡れたため、腐食部分を斬り落として再利用した。

 寸法の合わない部分や足らない所には、ヤギ小屋に使ったザラ板(モルタルや左官下地の板。ラス板とも言う)を張る。余り物や古材をフルに使った「古フル建築」とでも名付けようか。

 屋根には長さ6尺のポリカ波板6枚を張った。3枚で1間四方になるので、切り妻の両方に流し、ステンレスの波板ビスで固定した。セルフビスのはずだが、滑ってしまうので下穴をあけたほうが仕事がずっと早かった。
 ちなみに購入したポリカは両面耐候性だった。低価格のポリカには、耐候性能が片面だけというのがあるので要注意。

 切り妻の合わせ部分には、安かった既製の「棟包み」を使用した。内側に木桟を取り付け、かぶせたあと横から傘クギで固定。足らない部分に塩ビ板を使ってこんなふうに取り付けてみたが、はたして正しい使い方なのかはわからない。

 雨漏りしなければ「それでよし」としたが、残る1棟にはちょっとした問題があるのだ。

コロ薪小屋再建①

 とにかく早いところ薪を割らなくちゃならない。ひさしぶりに薪の原木が入手出来たのはいいのだが、まずいことに梅雨時だったのが原因だ。これを断ると何時になるかわからないので運んでもらったが、ご承知のように夏の天候不順で、キノコが生えかかっている。

 その薪割りの前には、コロ薪(薪の端材)を収納する小屋を建て直すつもり……と昨年9月の投稿にも書いてある。母屋裏手の斜面に建てたものだが、土台としたブロックが沈んでポストが腐食し、床も抜けてしまっている。補強ではとても追いつかない状況なのだ。

 新しい小屋は、基礎にパレットを利用する。樹脂製で腐らず、空洞部分があるため湿気対策にも有効だろう。薪の置き場も少ないので、切妻と片流れと屋根型をかえて2棟建てようかと考えた。

 主な材料は、昨年解体した旧デッキで使っていた丸太プランター材。腐食防止の注入材だからまだまだ使え、これを製材してポストや梁に利用する。
 すこし余談だが、新しいチエンソー製材アタッチメントをamazon,comで見かけた。手持ちの製材アタッチメントのようにアルミレールを使用せず、2×6材そのものをガイドにする形式のようで、機構が単純なのは好ましい。低価格だし、案外使えそうな感じだった。

 チェンソー製材したポストは、パレットに差し込むためのホゾを刻む。ちなみにパレットにはさまざまな形があり、ポストを差し込めろようなものを選んでオークション入手したのだ。

 ホゾ加工は、さすがにチェンソーではむずかしい。そこで一度買い損ねたブラックアンドデッカー製の電動レシプロソーを改めて購入した。どちらかといえばアマチュア向きの機器のようだが、その低価格ひかれたわけで、おどろいたことに注文したら翌日午前中に配達されてきた。

 あまり芳しくない製品レビユーだったが、まあまあ使える。例えば「振動がひどく危ない」との評価があったが、チェンソーを使いなれた身にはオモチャのようなもので全然気にならず、丸ノコより安全だろう。

 切れ味は値段相応といったところ。切り始めに振動でずれやすいので、手鋸の要領で切り目を入れてからスイッチONするとよい。また切断中は、手鋸のように前後させて鋸くずを排出させる。そのさい押しているときのほうが切れている感じがする。
「なるほど」洋風のノコギリは押して切るのだった。

 ちなみにパレットの穴に合わせたホゾは、5センチほどの長さしかないが、ずれ止めのためだからこれで十分。
 またパレットは、平らに整地したあと防水シートを敷いたうえに設置してある。すこしでも湿気が上らないようにと考えたわけだ。

 製材と刻みをすませたポストを4本をパレットに差し込み、梁をコーチボルトで取り付けてその日の作業は終了した。

フィトン・チッド

 梅雨明け以降の天候不順に閉口している。気候学的にはオホーツク海高気圧の張り出しが強いため、北方の冷たい空気が流れ込み、太平洋側に雲がひろがりやすくなったということらしい。
 この気圧配置になると、冷たい寒流(親潮)の上を吹き渡ってくる東風が「やませ」と呼ばれ、東北地方に低温と日照不足をもたらして稲の生育に大きく影響し、あるいは1993年のような東北冷害となるかもしれない。

 わが家がある谷間でも湿った東風が流れこみ、8月に入って雨の降らない日がないくらいで、日照時間は平年の20パーセントほどしかない。
「涼しくて過ごしやすい」
 などと喜んでいたのは最初のウチで、そのうち家中がカビ臭くなってきた。

 丸太づくりに漆喰壁のわが家は、かなり調湿機能にすぐれているはずだが、90パーセント近い湿度が一ヶ月以上つづくと、さすがに湿気ってしまう。あちらこちらの掃除に精出していた奥さんは、とうとうサイクロン掃除機を新調したほどだ。

 ふと「ひのき効果」を思い出した。樹木の香り成分に消臭・殺菌、さらには精神安定効果があることはよく知られている。いわゆるフィトン・チッドの効果によるものだが、とくに「ひのき」に多く含まれている。

 例えばえのき茸栽培の瓶に「ひのきのオガクズ」が混入すると、菌が死滅してキノコがまったく生えないらしい。また「ひのきの林」には鳥が食べる虫が生息しにくいためバードウォッチングにむかない。あるいは「ひのきの木片」をいれたビニール袋で食パンや餅を保存すればカビが生えにくいという話もある。

 そこでベッドのすのこ板を「ひのき材」に変えることにした。それまでのすのこ板はホールソーで穴をあけた合板で、いずれ交換を考えていたのだ。
 使用したのは厚さ1寸×幅4寸の間柱材。流通材だけに比較的安く、もちろん節があってもかまわないわけで、寸法に切断して自動盤を通すだけだから、加工というほどのこともない。

 デッキ下の作業場にある2機種は、いずれも母屋建築にも使った古い道具だ。とくに自動盤は、銘木店だった地主さんから貰った中古品だが、それから4半世紀も壊れずに使っている。

 交換後の使用感はすこぶるよろしい。かび臭さは一掃され、寝付きがよくて眠りが深いように思われるのは、まぎれもなく「ひのき効果」なのだろう。
 以来、毎夜の森林浴を楽しんでいるわけだが、年に一度ぐらいは自動盤で削り直せば、薄まった香りも復活するにちがいない、と考えながら、
「それにしてもこのベッド、母屋より古いぞ。そろそろ作り直しかな」
 などと思ったりもしている。

スターターロープ交換

 梅雨明け宣言があったはずだが、なぜか雨降りが多く、夏の盛りとは思えない涼しい日がつづいている。水分たっぷりだけに草の成長がはやいように思われ、仕方がないな、と刈払機をスタートさせた。

 刈払機やチェンソー、さらには薪割り機などのエンジン起動は、多くはリコイルスターターが使われる。ブーリーに巻きつけられたロープを引き、クランクに回転を与えることでエンジンを始動させるものだが、むかしからどうもこれを苦手にしている。

 腕力がないのが大きな原因なのだが、スキュバーダイビングに凝っていた20代前半のころ(なんと!50年前の話だ)、ゴムボート搭載の船外機がどうしても起動せず、プラグを外しては装着し、3時間ほどもスターターロープを引きつづけたことがある。その間に潮にながされ20キロ近くも漂流。
 たまたま陸に向かっての海風だったから助かったものの、逆の風ならはるか太平洋だったわけで、そのトラウマは今でも残っているのだ。

 ともあれエンジンは起動した。が、どうしたことか吹き上げが不調。回転をあげるとブスブスと停止してしまい、2度3度と起動しているうちに、プツンとロープが切れてしまった。
 かれこれ10年は使っている刈払機だからロープ交換も止む無し、とホームセンターに飛んで行き、ロープを購入して交換修理とあいなった。

 プーリーを外したあと、スプリングをほどかぬよう慎重にロープを通し、ストッパー代わりに結び目をつくるが、どうにもいけない。購入したのは3㎜φと一番細い交換ロープだったが、結び目が大きすぎて入りきらず、むろん出っ張ったままではセット出来ない。

 仕方がないのでライターでよくあぶり、繊維を溶かした塊を大きめにつくって溝に納めた。よく考えてみれば古いロープの残骸がなかった。つまり切れたわけではないので、この方法が正しいのかもしれない。

 ロープを通した取っ手がきちんと納まるようロープの長さを調節し、元通りに組み立ててロープ交換は終了。

 クリーナーカバーを開けて不織紙のエアクリーナーを生ガソリン(混合燃料を使って目詰まりさせたことがある)で洗い、スパークプラグを交換する。写真に撮り損ねたが、燃料タンクから針金を使って燃料フィルターを引き出し、同じくガソリンで洗浄する。

 ほとんどの場合、ここまですればエンジンの調子は回復するが、ときには燃料調節スクリューの調整が必要。取扱説明書に記載があるはずだが、スクリューを動かすときには、左右に何回転したかを覚えておくとよい。とにかく始動しやすく、アクセルに応じて回転数があがるように調節するのだが、要はエンジン音の調子でわかるように慣れることが一番だろう。

 ちなみにキャブレター分解は、自信がないのでほとんどしない。燃料の混合比を25:1から50:1(ハスクバーナのチェンソー用を使用)に替えたせいか、キャブやマフラーの汚れは感じなくなった。

 それにしてもこの涼しさはちょっと異常ではないか。気象庁もようやく騒ぎはじめたようだが、宮沢賢治が「オロオロ歩いた夏」とはこのことかと思い当たる。