ローテーブルをつくる・①

 ルータービット衝動買いの後始末にクリの幅広板を削りながら、そうか、と思いついた。リビングのローテーブルをつくり直すことにしたのだ。

 いま薪ストーブ前で使っている曲ったケヤキ板のテーブルは、かれこれ20年前の制作になろうか。個性的な形が気に入ってはいるが、すでに抹殺リスト(技術的に未熟なので遺しておきたくない作品。小説なんかにもある)に入っているし、一緒に写っているソファも作り直して代替わりしている。

 そうした想いがスケッチにも反映したのだろうか。このところ多かったお手軽製作とは違い、やや本格的な木工作業をはじめることになった。

 トップボードを支える脚部には、二組の格子組みの箱をつくり、その中には物入れの箱が八つ入る。初めは引き出しにするつもりだったが、箱ごとテーブルに置いて使うにはやや見苦しいので、ボックスジョイント(あられ組み)で組み上げることにした。

 ボックスジョイントはルーター付属のテンプレートを使用するが、8組となるとかなり大変だし、一つ二つの失敗も見越しておく必要がありそう。脚部の格子部分は、きっちりホゾ組みとし、このところ仕舞い放しの「角ノミ機」を使ってみるが、なにせ久しぶりなので作業手順をすっかり忘れている。

 格子部の枠にはナラ材を使い、ホゾ穴を3分(約9ミリ)の寸法で彫る。部材の墨付けに「毛引き」を使ったりすると、なにやら「指物師」気分だが、穴開けにノミを使わないところがアマチュアか。

 ドリルを利用した「角ノミ機」は、母屋のセルフビルドのころ「腕は買えないから」と言い訳しつつ、やたらの道具漁りの日々を送った名残だ。使用した3分の切れ味がよかったのは、ほとんど使っていない所為だろう。

 つづいてホゾを刻む。いつもならバンドソーで作業するが、装着されている挽き割り用の65ミリという幅広刃ではちょっと無理。細い刃に交換するのが面倒と、丸のこスタンドを使ったのはいいが、刃の出しやストッパーの設定に予想以上に手間取った。

 たとえば外枠と中格子の寸法を違えたので、ホゾの大きさも変えてみたが、同寸法でもよかったと気づいても、すでに穴を彫ってしまったので「後の祭り」。さらには木工ヤスリでの修正も加わり、やはりバンドソーだった、と大いに後悔しながら、枠の縦横16本、中の格子20本を削りおえる。

 枠と格子を組上げる。すべて接着なので作業は単純だが、ホゾ穴の一つひとつにボンドを塗るのがちょっと面倒。

 また両枠と5本の格子ホゾは、同じ長さなので同時に嵌めるのは難しく、端から順番に入れるようにする。そう言えば3本の柱のホゾ長をすこしずつ変え、梁にはめ込んで組んだことがある。1人作業ではそんな工夫が必要だったのだ。

 ボンドが乾くまでクランプで締めておく。寸法があっていれば組み上げに狂いが出ないのがホゾ組みのいいところか。
 一晩乾かしたあと、混み入ったところの面取りをすませておいた。

 2組の格子に内板を入れる。底と中間をとめるつなぎの枠は、ホールジョイントでねじ止めした。枠にホゾ穴を彫るのを忘れてしまったのだ。

 2段に底板を張る。あり合わせのケヤキとヒノキ板を使ったので色が違うが、完成するとまったく見えないのでよしとする。

 脚部の作業だけで3日かかった。つづいてボックスジョイントの箱をつくるが、これまたかなり手間取ったので次回配信も長くなりそうだ。


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