ログスクール

 先週、隣村のウッズマンビレッジで、ログスクールが開かれていた。アラン・マッキー氏が第1回目を開講したのが1986年というから、30年も前のことだ。ちょうど田舎暮らしを考えはじめたころのことで、「ログビルディングを習うのもわるくないな」と、かなり真剣に思った記憶がある。
 しかし、指導するのがカナディアンタイプのログハウスだったので断念、という経緯は長くなる話なのでいずれまたにする。
 デッキ屋根架けの合間を盗み、電子書籍などほったらかして見学したが、その感想を書きはじめると、なんだかうらやましくなってきたのでやめにして、写真だけをならべておく。

チェンソー製材

 丸太を利用してデッキの屋根架けをすすめている。暇を見ながらゆっくり工事しているが、伐採木の製材にあわせて、手持ちのチェンソーでも何本か製材した。


 使用しているチェンソーアタッチメントはこれ。5、6年前から使いはじめたが、なかなか便利なもので、角材への製材はもちろん、工夫次第ではホゾ取りにも使える。ポイントはガイドになるV型レールの使い方で、製材には長くつなげるほか、短く使ったり、2本を組み合わせたりしてホゾ取り加工などに使う。
 そうした私の利用法は、ネットで検索したかぎり他では見られない。そのいくつかを写真で紹介することにした。ま、宣伝するつもりはないので、あくまで参考例です。

曲がった丸太の製材……曲がった丸太を梁に使う場合、タイコに製材しておくと、寸法が採りやすい。当然のことながら、チェンソーのガイドバーの長さが問題になる。

ホゾ取り……Vレールを2本組み合わせたホゾ取りアタッチメント。ホゾ幅は自由に変えられるが、チェンソー刃の厚みを考えてセットする必要がある。

馬乗り型(?)ホゾ……今回のデッキ屋根には、こんな形状のホゾも使っている。中心部を切り落とす必要があるのだが、チェンソーで突っ切るほどの技量はない。安全にノミで掘りこんだ。

 いずれの使用法も、Vレールをセットしたガイド板を固定することからはじめる。丸太の一部をを削ったり、断面に木片を打ち付けたり、とガイド板の固定を工夫した。もちろんガイド板は水平のほうが狂いが少ないし、切れないチェンソーでは、ついつい力が入って狂うことになる。

製材と黒芯

 5月に伐採した立木を製材した。デッキ屋根架けの桁材にするつもりだったし、出来れば丸太のまま使いたかったが、樹齢50年、直径70㎝とあまりに太過ぎる。そこで桁材と板に挽くことになり、ひさしぶりに製材に立ち会った。

P1240718-B それにしても見事な黒芯だ。伐採したときに気づいていたけど、製材オペレーターに聞いてみると、やはりめずらしいようで、このところ製材されることは少ないらしい。黒っぽい木肌が好まれないのだろう。材木にしても売れ行きがよくないため製材に回ってこないということらしい。

 中心部が黒っぽい杉は、黒芯、黒杉とも呼ばれ、宮崎県の飫肥(おび)杉がよく知られている。肥えた土地、多湿地、谷筋に多いとされているから、あるいは育った環境によるものかと思うが、わが家で伐採した二本すべてが黒芯というわけでもない。となると品種なのか、あるいは何らかの菌の侵入による変色とも考えられているらしい。
 すこし調べてみると、一般的には含水率が高いため、乾燥がむずかしいとされている。そこのあたりが黒っぽい木肌とともに不人気の理由なのだろう。

 ちなみに飫肥杉は、油分が多く、水気に強く、腐敗に耐性があり、シロアリなどの病害虫への抵抗性もあるとされているが、伐採した黒芯杉に同じような性質があるかは、むろんわからない。
 黒芯杉だった切り株椅子は、皮むきした部分がどんどん黒ずんできた。あるいは黒芯どくとくの性質かもしれないが、逆に中心部が白っぽくなってきている。たぶん乾いたせいなのだろう。そう言えば、防蟻成分には揮発性がある、との記述もあった。


 ともあれ製材は、4メートル超の120×240ミリ角の桁材、50×240ミリの板桁をそれぞれ4枚取り、のこりは耳付き板に挽いてもらった。思ったほど木目は黒っぽくない。もっともデッキに使用するときには、色の濃いウォルナット(母屋と同じ色)に塗装予定だから、ほとんど関係はない。

 問題は含水量だ。木材であれば乾くにしたがって縮み、さらにねじれが発生するものだ。大まかに言うと、太さ方向により収縮し、木の種類によっても収縮率が違う。丸太を積みあげるログハウスの場合、3~5%程度の収縮を考慮に入れて建てねばならない。たった5%であろうと、3メートルの壁では、15センチのセトリングスペースが必要ということになる。

 桁材に使った場合でも、ある程度の収縮やねじれがあると考えるべきだろう。とりあえず人工乾燥するつもりだが、桁の繋ぎ部分は、一般に使われる「腰掛けアリ」ではまずいだろうか。暴れに対応できる「相欠きボルト締め」か、いっそ「台持ち継ぎ」がよいかもしれない。

A7-00 そうした作業の合間に、今月もデジタル本を配信しました。400字詰1500枚超の幕末長編小説です。

まずは皮むきから……。

 ログハウスに限らずログ(丸太)を使ってなにかをつくろうとしたら、まずは表皮をむかなくてはならない。そりゃまあ、皮をむいた磨き丸太もあるけれど、和風建築の床柱用だから、価格を聞けば眼が飛び出すだろう。いっそ製材して角材にしてもいいのだが、皮付き材のほうがずっと強いし、質朴(rustic)な感じが大好きなのだ。

 いろいろな方法で皮をむいた。母屋のときのように高圧洗浄機を使うのが手早くてきれいだが、機械がかなり高価だし、近くにレンタルもない。ドローナイフなどの手道具もあるが、私の場合、押して使う突きノミを多用し、とくに氷彫刻用の平ノミが気に入っている、と切り株椅子のときに書き触れた。

P1240757 たとえば5月はじめに伐採した杉なら、ほとんど力もいらず、女性でも軽々とむけてしまう。木が水を吸い上げはじめたからだで、表面の鬼皮をむくと、ピンクがかった柔らかな白い層ごとむけてくれ、その下にある固くて美しい木肌があらわれるのだ。

P1250087 ただし春伐りの木は虫がつきやすく、吸い上げた樹液を洗わないと、すぐに黒く変色する。じじつ先だって皮むきした切り株椅子は、こんなにも真っ黒、虫にも食われている。よほど美味しかったのだろう。

 雪解けの春、カエデの樹液をあつめて煮詰めたものがメープルシロップだが、たとえ杉でも樹液をなめてみればほのかに甘い。これが黒シミや虫食いの原因になるのだろう。高圧洗浄機での皮むきには、これを洗い落とす効果もあったのかもしれない。

 流通している杉材は、ほとんどが冬伐りだから、あらかた水分は抜けてしまい、やや皮がむきにくい。だからと言って鋭利な刃では、木肌に傷をつけてしまうので、平ノミの裏刃でむいてゆく。このほうが食い込みにくいのだ。
 のこった白い渋皮は、ていねいにするなら金属タワシでこすり取る。しかしデッキ材ならそこまでは必要ない、とディスクグラインダーにカップブラシをセットして磨いた。そのさい柔らかな真鍮ブラシのほうが木肌を傷つけずにすむ。


 流通材ではどうしても伐採時のダメージがあり、鬼皮の下に隠れた傷もある。こうした傷は曲面ガンナでないと補修できない。軽く削る程度でよく、デッキの柱なので、色の濃いウォルナットに塗ってしまうから、ほとんど目立たないはず、と目論んでいる。
 そう言えば、ひと月前に伐採した杉の木はどうなったのだろうか。