ケヤキ黄葉

 今年は木々の色づきがとくに良いようだ。夏の猛暑で葉がよく育ち、台風がひとつも上陸せず痛むことがなかったからだろうが、放牧場の大ケヤキがひときわ鮮やかだし、敷地の隅っこで紅く染まったドウダンツツジもわるくない。

 ひと口に「紅葉」と言ったりするが、すべてが紅く変わるわけではない。じっさい周辺の山をみわたせば(針葉樹が多いながら)、どちらかと言えば黄変する木々のほうが多い。すこし調べたら「黄葉」と書いても間違いではなく、同じく「こうよう」と読むことになっている。そう言えば「黃河」と書いて「こうが」と読む例がある。

 ちなみに敷地内では、一番早くエンジュ(槐)が枯れはじめ、ドウダンツツジ、ケヤキが色づいたあと、コナラ、ヤマグワが落葉し、常緑のサザンカが花をつける。とりわけ直径60センチを超える大木に育ったケヤキは、敷地の中心近くにあって一番目立つ存在だ。

 そこで当ブログのヘッダー画像に採用したりと、いわゆるわが家のシンボリツリーとして位置づけてあり、四季それぞれ眼を楽しませてくれるが、色づきから落葉までの変化はすこしも見飽きない。

 10月の半ばごろに色づき出し、すべて落葉するのは20日ほど後だが、吹き抜ける木枯らしに呼応して、落ち葉が一斉に舞い上がるさまは、思わず声をあげて見あげてしまう。しかし、単に眼福を得ているだけというわけにはいかない。

 年々大きくなるケヤキは、膨大な量の落ち葉をまき散らす。放牧場の青々した芝生(センチピートグラス)が見えなくなるほど埋め尽くすが、センチピートに限らず芝生は日照が大好きな植物だ。

 たとえば刈り取った芝(サッチ)をそのまま放置しておくと、日陰になった部分が半月ほどで枯れてしまうことがある。このため刈り芝の取り除き作業(サッチング)が大切なのだが、落ち葉による日陰も同様。芝生が青さをまったく失い、完全に枯れて冬眠に入る(12月半ばごろ)までは、日照不足に気をつけることにしている。

 そこで落ち葉掃きが欠かせない作業となる。出来れば完全に落ちきってから掃除をしたいが、一度でも雨ふりがあると、文字通りの「濡れ落ち葉」となって処理がむずかしい。そこで天気の良い日を選ぶわけだが、そんな日にかぎって風が強く、せっかく集めた枯れ葉をまき散らされたりする。

 まず落ち葉を掃きよせるのだが、箒(ほうき)より熊手(くまで)のほうが疲れが少ないようだ。今年は電動ブロアを使ってみたが、乾いた落ち葉は舞い上がりやすく、一か所に集めるのがけっこうむずかしい。結局、熊手使用が一番効率的だった。

 ただし熊手は芝草がからまり易く、そのため葉が落ちる前に芝刈りをすませておく必要がある。何年か前、芝生を刈らずに落ち葉になり、長い芝生に落ち葉が紛れてしまい、取り除くのにひどく苦労した記憶がある。

 ついでながら「落ち葉掃き」を「落ち葉さらい」と言う例があり、「浚い」の文字を当てたりするが、部首に「さんずい」があるのは水・河川に関する漢字。つまりは「川浚い」「溝浚い」などに使うものであろうけれど、誤読や誤用がまかり通るご時世だから、むずかしく考えるのはやめにしよう。

 山のように積みあげた落ち葉だが、冬の間に堆肥にする作業がのこっている。ヤギがいたころはヤギ糞を混ぜていたが、今年からは米ぬか、鶏糞を利用して発酵させるつもりでいる。