A4箪笥

 引き出しを主にした収納家具は「箪笥」とよばれ、ほとんどの場合、収納するものにあわせてつくられる。それぞれ衣装箪笥・茶箪笥・薬箪笥・刀箪笥といったふうに名づけられ、変わったところでは、運び出しやすいように車輪を付けた車箪笥、二階への上り下りに使える階段箪笥、船に積みこんで使う船箪笥などがある。

 今回つくっているのは、江戸のころだったら帳箪笥とよばれた。商家の主人あるいは番頭が帳付けをする帳場に置かれたもので、金箱や大事な書付を入れる「からくり」を備えた帳場箪笥とはちがい、もっぱら大福帳などを収納する小箪笥をいった。
 ちなみに商家の帳場は木の縦格子で囲まれているものだが、仕切りというには低いものだし、むろん飾りというわけではない。主人あるいは番頭のみが入れる結界を意味し、許可なく立ち入ることを禁じているのだ。

 商家ではないので大福帳はもとより家計簿なども付けないけれど、多少なりとも保存したい書類や資料があり、そのほとんどがA4サイズなので、A4箪笥とでも名付けようかと思っている。
 高さを変えた引き出し5種類×2列とちょっと欲張った。じつは10年ほど前、ほぼ同じデザインで製作しているが、A4サイズきっちりにつくったためクリアファイル入り書類が収納できず、やや使いにくかった。

 側板はナラ材で組み上げ、鏡板はクリ板をはめ込み、引き出しを支える仕切り板を差し込むための溝を彫る。6ミリ厚の合板用と表面側は10ミリ溝にする。見栄えを考えてナラ材をはめ込むためだ。
 天板はナラ材をビスケットで張り合わせ、側板は2か所、中板1か所を同じくビスケットで接合する。
 底はナラの細角材で組み上げ、合板をはめ込む溝を彫り、見えない部分で側板とねじ止めした。

 仕切り板をはめ込み、表面側からナラの細材を組み入れ、すべてボンド止めとした。
 表板は一つひとつ、正確に削りだしてきっちりに納めたい。今回は表板をすこし沈ませて、仕切り桟を強調することにした。そのぶん側板や底板を短く計算する。

 なにしろ引き出し10枚だから材料が多い。ちなみに表板はナラ材、側板・奥板はヒノキ材、底板はシナ合板を使った。
 表板に側板を納める段を切りおとし、側板とともにシナ合板用の溝を彫る。まず底板を差し込んでから側板を組み込むが、側板はわずかに沈むよう薄く仕上げておく。引き出しの出し入れがスムーズになるからだが、むろんガタ付くようではやり過ぎだ。
 ボンドを併用し、頭が小さな化粧板用の細くぎを打ち込んだ。

 撮影用に表板にツマミを付けてみたが、色付けやオイルフィニッシュの作業を終了させてから取り付けるほうがよいだろう。
 今回は柿渋による色付けを試してみるが、次回掲載とする。

石垣補修工事

 いままで意識したことなんて一度もないが、良くて50年、大体は30年経ったらそろそろ考えたほうがよいらしい。ほとんど半永久的と思っていたコンクリートやモルタルの話で、その耐用年数の短さをいまさらのようにおどろいた。

 1960年の東京オリンピックの舞台となった国立競技場も建替えられているが、敷地にある石垣は、そのころ工事した、と元の地主さんから聞いている。南向きの斜面に土止めとして設け、ひな壇状の平地をつくるのに役立っていたのだが、むろん日射と風雨にさらされ放題だったわけだ。

 バックフォーのバケットがコツンと当たっただけだが、玉石を固定したモルタルは無残にもはがれてしまった。思いのほかに劣化していたようで、玉石は大きく浮き上がり、隙間に石を差し込んではみたが、このまま放置すると、どんどん崩れそうな気配がする。なにはともあれ固定処置が必要だろう。

 本来なら一度崩して再度積み上げるべきだろうと思う。たとえば崩した玉石の表面を洗ってやれば、モルタルがよく接着するはずだが、どこまで崩したらいいかわからない。
 第一、丸い石を上手に積み上げる自信はないわけで、このままの状態でモルタルを詰め込んで固定してしまうことにした。

 いろいろ考えたすえ、補強用に鉄線を入れることにした。壁用にモルタルを塗るときのようにラス網があれば、あるいは亀裂防止になるような気がしたのだが、保存したはずの半端なラス網がみつからない。仕方がないので鉄筋結束用の鉄線で代用することにし、適当に折り曲げながら隙間に押しこんだ。

 使ったのはインスタントコンクリート。ただ水で練ればいいだけだから、こうした補修工事にはもってこいの材料だろう。やや固めに練ったほうが扱いやすく、なるべく隙間の奥までとどくよう手で直接塗りこめてゆく。

 最後に濡れ雑巾で塗り面の凸凹をおさえ、同時に玉石の表面に着いた余分なモルタルを拭きとって仕上げておいた。1時間ほどの作業だったが、いずれはきちんとした擁壁工事になりそうな気配だった。

おまけのトピックス
 さわさわと冷たい風が吹きはじめたら、いきなり落ちてきた。雹(ひょう)だ。あわてて屋根の下に飛び込み、ダウンベストを着こんだけど、トマト苗のつぼみが折れてしまった。

無垢板マーケット

「ここに積んだ150本だけど、なんなら注文流れにしてもかまわないよ」
 との言葉にも気づかず、ただ茫然と丸太の山をみつめていた。眼前に高々と積み上げられた杉丸太は、セルフビルドするログハウスのために注文したものだが、今だったら中止してもいいんだよ、と言われているのだ。

 そりゃそうだろう。2,3年前に近くに引っ越して、日曜大工用の材木を買いに来ていた都会者が、いきなりログハウスを建てると聞いてもにわかには信じられない。とりあえず注文された杉丸太150本は集めたけれど、あるいは後悔しているかもしれない。もしそうならこのまま製材にまわしたほうがいい、と思われたのだろう。田村材木店・先代社長の思いやりだ。

 そのときどう返答したかは、なにしろ25年も前のことだから覚えていないが、その丸太で組み上げた家に住んでいるのだから、むろん注文流れにはしなかったわけだ。以来4半世紀、懇意にお付き合い願った田村材木店で、つい先ごろ無垢板マーケットが開かれた。

 ちなみに先代社長はすでに第一線を退き、ふたりのご子息が経営を切り盛りしている。兄弟仲よく車の両輪のように……というよりエンジンとブレーキのような役割だろうか、といつも興味深く拝見しているのだが……。

 この手のイベントは、往々にして理想主義的なエンジン役(兄弟のどちらとは、予想がつくけど言わないでおく……)の発案するものだろう。そして現実主義のブレーキ役は、はじめは首を傾げたりしたくせに、当日になるとやたら張りって動き回る、と相場は決まっている。

 そうした光景を眼のすみで確かめながら、広々とした天然乾燥施設にならべられた展示板を見てまわった。じつは三寸角ほどの一般建築材をトラスに組み上げたこの巨大施設こそが、若い経営者たちの理念と意気込みのあらわれなのだが、それはまた別の話。

 2尺3尺といった幅広板が整然とならべられている。背後に黒シートを貼ったのは、木目を見やすいようにとの配慮だろうか。これだけ展示に手をかけて一日だけの開催ではもったいないな、と思っていると顔見知りのログビルダー氏が、何枚もの展示品を購入している現場を目撃する。ログハウス向きの玄関ドアをデザインする彼にとっては、構想を刺激する無垢板ばかりだったのだろう。あいさつもそこそこに、それじゃまた、といそがしそうに展示品のほうに行ってしまった。

 じっさい南会津の製材所との協賛だけに、種類は多いし、品質は申し分ない。加えて価格もかなり低い。いや、低すぎるほどだ。見ればみるほど欲しくなるが、しかし、そうはいかない事情がある。
「もう買っちゃだめよ。いまある板をちゃんと使いきってからにしてね」
 と奥さんに厳重に言われて出かけて来ている。どれほど安くても購入するわけにはいかないのだ。

 まったく、敷地のあちこちに積み上げてある材料は、いつの間にか溜まってしまったものだが、どこになにがあるか自分でもわからない始末だし、いちおうは雨除けをしてあるが、一度しっかり点検せねば腐らせてしまう、と考えたりするけど、
「せいぜい木工仕事に精を出さなくちゃな……。小説なんて書いてられないや」
 と、いつもの結論に達しながらこの一文を書いている。

酷暑対策・窓用エアコン

 やはり異常気象だったのか。気象庁の発表によれば、先月の平均気温が3℃も高かったらしい。もちろん史上最高だったのだが、こんな数字を見せられると、この夏の猛暑が思いやられる反面、どうやら予感が当たりそうだ、とうなずいたりしている。

 2月中旬の大雪のころ酷暑対策をスタートさせた。去年、試しに窓用エアコンを入手しての実験を踏まえて決めている。むろんオークション購入の中古品だが、案外の冷房性能を発揮し、はじめ考えていた室外機付きエアコン導入が大幅な予算オーバーだったので、ならぱと窓用エアコンに変更したのだ。

 それにしてもエアコンか、といまさらのように思う。移住したころの日光は一流ホテルでさえ冷房なしが普通だったし、天然氷を切り出すような土地柄だけに、夏の涼しさは格別。夜、窓を開けたまま寝入って風邪をひきかけたことが何度もあるくらいで、むろんセルフビルド計画にエアコン導入など考えもしなかった。

 そうしたわけでエアコン導入には専用コンセントの追加工事が必要なのがわかった。どの程度の工事費か調べてもいないが、窓用エアコンならまったく無用だし、取り付け工事も自分で行える。さらには格段に低価格なのがいい。むろんオークションでの中古機入手になるわけで、その結果次第では複数導入を考えてもよいだろう。

 かくて大雪をながめながらエアコン探しのオークション調べとなった。こんな時期外れなら応札がすくないだろう、との目論見だったわけだが、それが奏功したにちがいない。送料とほぼ同価格という低さで落札。17年製と15年製の2台入手したが、カバーを外して点検したところ機能に問題はなさそう。当初計画の三分の一ほどの費用ですんでしまった。

 ただしわが家は、米国製のペアガラスの木製サッシ。エアコンメーカーが推奨するアルミ製取付枠は、ほとんどがアルミサッシ対応だから使用できない。そこで丈夫なナラ材を使って組みあげることにしたが、すべてビス止めにしたのでさほどむずかしい加工はない。木取りをふくめて2日の木工作業だった。

 しかし25㎏もの重さがあり、木枠をサッシにはめ込むだけては荷重を支えきれない恐れがある。丈夫な棚受けをつくり、窓を支える窓台にビス止めすることにした。
 こんな仕上がりだが、アルミ製の無粋さとくらべるまでもない。しかし、まあ、それもこれも計画どおりの性能を発揮してくれての話になるだろう。

 とりあえず奥さんの部屋とベッドルームに取付け、そのあと客間にも導入したが、吹き抜けにある書斎はとうてい無理だろうし、取り付けられる横開きの窓もない。もともと夏の仕事は、いくらか涼しい一階の和室でしているのだが、ここでは別方式での冷房を計画している。

いまさらのバンドソー③

 中古入手したバンドソーCB65Fには、ご多分にもれず取扱説明書が付いておらず、そのためいろいろ探し回ることになった。
 それにしても取扱説明書はおよそ冷遇されている。ろくに読まれず、そのまま捨てられたり忘れられたりするのは、かつて広告物制作にたずさわり、取説やマニュアルづくりの経験があるだけに悲しい。

 世間では「マニュアル人間になるな」などと言ったりする。マニュアルに書かれた決まったことしか出来ず、予想外の事態に対処できないような人間では困る。自分で判断しろ、ということであるらしい。むろんマニュアルは無視してもよいとの意味ではない。
 そもそもマニュアルには、一番大切な事柄を書いてあるもので、それ以外の事態や対策をすべて書くのは不可能ごとだ。つまり予想外とされる事態の多くは、マニュアルに記載された絶対守るべき事項をおろそかにした結果であって、「マニュアル人間」からの脱却は、マニュアルを完全に理解してからの話だろうし、そのためマニュアルはいつも手許に置いておくのがいいと思う。

 CB65Fの取扱説明書は「木工屋 hiuma」さんから譲っていただいた。ネット上を探しまくり、厚かましくもコピーをお願いしたところ、こころよく送ってくださったのだ。まことに深謝……。

 まずは一読する。その結果10ページ下段にある「オビノコの刃幅1.25㎜」は「12.5㎜」の間違い……などとつい校正してしまうのに苦笑する。
「ガイドの使い方」にある図解によれば、ガイドの先端は、のこ刃より先には出ていない。加えて切断材とはがき一枚のすき間をもたせ、ガイド末端を1㎜ほど傾けるのが挽き曲りを防ぐコツらしい。

 また標準装備された「挽材案内装置」は、挽き曲りを防止するため木材を押しつける働きがあるようで、その量は5~10㎜が適当と書かれている。この数字はどうやら押しつけるスプリングの曲り量らしいが、それでいて「はがき一枚」のすき間、というのはどうした意味だろうか。

 自作した平行ガイドには、のこ刃の先まである長めの板を設けてある。これがどう影響するかは、むろん取説には書かれていないが、あくまで「挽き曲りを防ぐコツ」であって安全性には問題はないらしい。だからこそ市販されている多くの平行ガイドも長いのだろうと判断した。

 のこ刃は「岩崎目立加工所」に3種類注文した。のこ幅10㎜・16㎜(各1102円)・50㎜(2424円)+送料・消費税とかなりの格安。いろいろ試そうととりあえずの購入だったが、注文後の連絡・届いた品物の丁寧な梱包ぶりはとても好感が持てた。

 まずは幅50㎜刃を取付けてみた。0.8㎜とやや厚みがあるのこ刃だけに、弾力が強くて取り扱いに苦労した。鋭い刃先で指を傷つけぬよう皮手袋を使い、純正のこ刃65㎜と同様、のこ車から刃先がすこし出るように調整した。これは刃に設けられたアサリ(抵抗を少なくするため刃を一枚ずつ左右にひろげてある)がのこ車でつぶされるのを防止するためらしいから、50㎜幅ながら純正65㎜と同じよう処置することにした。

 また取説には、のこ刃のぶれ止めとなるセリは、65㎜幅とそれ以外の細刃では反対に取付けると記載されている。購入機には6㎜の細刃が装着されていたため、セリも反対になっていた。切削テストのあとに気がついて二股側につけ直したが、取説がなければ気がつかなかったかもしれない。

 切削は杉材でテストした。モーターの駆動音はかなり大きいが、チェンソーのエンジン音ほどではなく、のこ刃も下にむかって走るだけなので、回転するチェンソーやテーブルソーのようなキックバックは起こらない。そうした安全性がバンドソー購入の大きな理由なのだ。

 切削速度は思っていたより速い。切削面の仕上がりは他機種を知らないので比較は出来ないが、チェンソーを使い慣れた身には十分満足できる。全刃チップ付(6439円)も用意されているので、堅い材で支障があるようならぜひ試してみたい。
 心配したドリフトはわずかに起こるようだが、テスト切削では紙一枚はさむ程度で解消でき、自動鉋で仕上げるのだからまったく問題はない。

 とりあえず薪材の丸太を板に挽いてみるつもりだが、本格使用がいつになるかはわからない。冬ごもりの季節は小説書きと決めているのだ。

いまさらのバンドソー②

 腕力(うでじから)にはまったく自信がない。持つのは箸とペン……などと言うつもりはさらさらないけど、3×6合板一枚運ぶのがやっとなので、そんな男がログハウスを造ったと言ってもなかなか信じてもらえないのだ。

 という話はともあれ、入手したバンドソー日立CB65Fは73㎏もの重量がある。とてもじゃないが持ち上げられない。もちろんバックフォーはデッキ下には入れず、アームも届かない。
 完成した台座を前にしてしばし考えることになる。

 薪割り機移動のためのハンドウィンチや滑車があるが、吊り揚げるとなるとやはりチェーンブロックだろう、と近所の自動車修理所から借りてきたが、吊り下げる場所がない。デッキを支える丸太にフックをねじ込んだが、やや場所がちがう上、はたして70㎏の吊り揚げにフックが耐えられるか不安がある。

 そこで「建て起こし」を考えついた。丸太の柱などの全体をつり上げるより、上部先端を引き起こして立ち上げる方法のほうが(どのくらい減るかは知らないけれど)少ない力で作業できる。この方法ならねじ込みフック+滑車+ハンドウインチで行けそうだった。

 まずバンドソーを横に倒し、完成した台座を取り付けてしまう。バンドソー側に用意された取付け穴は12㎜だが、10㎜のボルト4本を使用する。これなら台座側が多少狂っても取付けられる。
 スプリングワッシャをかませてしっかり固定したあと、スリングベルトを巻き付けてゆっくり引き起こし、45度ぐらいになったところで肩を入れて直立させた。
「案ずるより産むが易し」……あんがい簡単な作業だった。

 さび付きを処理したあと平行ガイドを造ることにした。CB65Fの作業テーブルは、鉄板をプレスして作られている。そのためきっちり直角になっていないので、おそらく既製のリップフェンスが使えないだろうし、そもそも「買うより造る」がモットーなのだ。

 そこで古い丸のこスタンドに付いていた鋳鉄製の平行ガイドに目をつけた。同じようなプレス鉄板用だからと試してみたが、バンドソーの折り下げ部のほうが3㎜ほど長い。つまり取付け穴を長穴に改造する必要があり、チェンソーの目立てヤスリがちょうどよかった。

 フェンスになるナラ集成材に穴加工を施し、六角ボルトを通してナットではなくノブで締め付けた。ホームセンターで売られていたプラスチック製ノブの利用は、たぶんドリフトの調整が必要になるだろうから、そのさいスペーサーをはさみ込むのに便利だろうと考えたのだ。

 とりあえず完成させた形状は、およそはネットで検索した平行フェンスに準じていて問題ないはずだ。ところが「ひょっとして違うのか」という懸念が浮上した。

いまさらのバンドソー①

「午後に届くらしいわ、家財便」
 電話を受けた奥さんが不審そうな顔でつづけた。
「バンドソーってなあに、オークションでまた買ったの?」
「ああ、木工機械……。板に挽くもの」
「この前はチェンソーで切っていたじゃないの」
「細かに切るのは無理だからね」
「ふーん、板ならいっぱいあるじゃない。第一、何を造るのよ」
「…………」
 すぐには答えられない。必要な家具はあらかた揃ってしまい、いまさらバンドソーを入手しても造るものがない。

 運ばれてきたのは日立バンドソーCB65Fの中古格安品。コンパクトな形状ながら挽き割り250㎜の性能があるのが気に入ったが、なにせ70㎏を超える重さがある。積んできたトラックは低床タイプで県道から入れず、係員二人がかりで坂道を運んでくれた。

 設置したのは、物置状態だったのを前もって片付けてあるデッキ下。運びこみやすいよう柵は取り外しタイプにし、地面には軽トラ用のゴムマットを敷いて湿気除けとした。

 さっそく動作点検をする。6㎜の細いブレードが付いていたが、平行フェンスや取扱説明書は付属していない。モーターの動きに異常はなかったが、ブレードの横ぶれ止め(セリと呼ぶらしい)を上下させる軸およびブレード背後のベアリング軸が固着し、セリ自体もブレードにこすられて損傷していた。
 とりあえず潤滑油をスプレーしてみたが、さび付きはとれない。しばらく放置して台座を造ることにした。

 どのくらいの台座が作業しやすいかわからない。本体の作業テーブルは高さ35センチほどで、あまりに低くすぎるだろう。調べたネット情報では胸の高さが多いようだから、とりあえず65センチ高の台座を造ることにした。

 材料はありあわせの45×90㎜のスギ材。ルーターで溝を掘ったのは、強度補強に12㎜の針葉樹合板をはめ込むため。汚れていたのでオイルステインで黒く染め、表面から止めたクギも黒マジックでごまかした。
 いつものようにポケットジョイントで組上げ、中に棚を造るだけにするつもりだったが、勢いづいて扉も製作する。あいにく1寸厚の板しかなかったのでやや無骨な扉になってしまう。こうしたときバンドソーがあればすぐさま挽き割りできるわけだ。

 仕上げの塗装もないので簡単に完成したが、70㎏をどうやって持ち上げるかが問題だった。

ソファ改造

 10月になって本格的に薪ストーブを焚くようになると、ストーブ前に置いたソファがとても近しく思えてくる。なにやら食べながらグダグタと過ごす時間が多くなるからだが……、
「やはり邪魔だな。いっそとっ払うか」
 と前々から考えていたことがある。

 ソファと言っても出来合いの座椅子を利用し、自作した木枠にセットしたものだ。母屋を建ちあげたすぐあと作ったはずで、ナラ材をホゾで組みあげ、やや幅広の手すりはアルダー材を使った。

 ストーブ前には二人用と一人用を並べ、曲りケヤキの一枚板のテーブルとほどよいセットになっている。5,6年ほど前、座面がへたったのでポケットコイル座椅子と交換しているが、かれこれ20年ほども親しんでいたわけだ。

 しかし邪魔なのだ。間にある手すりは、コーヒーカップを置いたりするのに便利だが、寝っ転がるときに足がのばせないのである。

 そこでデッキに引っ張りだしての改造ということになったが、さしたる加工ではない。
① アルダー材の手すりをクランプを押し広げるようにセットして取り外す。
② ナラ材の柱を切断する。
③ 改造した手すりを取り付け直す。本来ならホゾを作り直すべきだが、見えない裏側からのビス止めとした。
④ 一人用も同じ作業で改造する。

 そんなこんなの2時間の作業で完成。しかしかなり古いのでやがては作り直しになるだろう。

「これでいいわ。今度の買い物でポテトチップス買わなくちゃね」
 とは、試しに寝っ転がった奥さんがのセリフ……。

コロ薪小屋再建③

 古いコロ薪小屋は、母屋裏手の斜面にむりやり建てたものだ。ブロックを礎石代わりに置いてみたが、土固めもせず高さも十分ではなかったため、運び入れた薪の重さでブロックが沈み込んでしまった。ジャッキで上げてレンガを差し入れてみたが足らず、バックフォーで引っ張って斜めになったポストを起こしたりした。

 つまり斜面なりに傾斜した床に、まっすぐポストが立っている状態。いわゆる菱形小屋になっていたわけで、それでも10年以上は薪小屋として使えたのだから、まあまあ文句は言えない。

 パレットを利用するのだから斜めにポストを差し込むわけにはいかない。いろいろ考えたすえ、こんなふうな階段式土台ということになった。余ったU字溝を礎石に利用し、パレットの一部を重ねれば何とか水平になる。これでポストは垂直に建てられるわけだ。

 ただし樹脂製のパレットは堅いようでも案外やわらかい。底面に空間が出来たまま重量をかけると、長い間には変形してしまう。そこで底面全体で保持できるよう段差部分に土を運び入れたが、これがけっこう重労働だった。

 U字溝のずれ止めにプラスチック杭を打ち込み、ポスト4本を垂直に建て込んでしまう。むろん段差があるのだから、ポスト長はパレットの厚さ分(15センチ)を考慮するわけだが、4本とも寸法や形状が違う。たとえば斜面下側の2本は15センチ長くするが、片流れの下にあたるポストは勾配分短いことになる。

 また片流れ屋根なので工程はかなり簡単だが、ポストだけだと不安定なので、壁となるラティスをある程度張ってしまってから屋根工事に取りかかった。仮筋交いを打ち、ポストの垂直を確かめながらラティスやザラ板を張ってゆく。

 正面の柵は、材料とするラティスの関係で半分ずつの2枚となったが、あるいはこのほうが使いやすいかもしれない。敷居がわりの2×6材にずれ止めを打ち、上部は針金で止める。蝶番でドァーを取り付けるより丈夫だろう。

 そんなこんなでコロ薪小屋が2棟完成したが、このあとの薪割り作業を考えると、いささかうんざりしてくる。

コロ薪小屋再建②

 4本のポストを梁でつないだあと、4寸の角材で束柱を建てた。屋根勾配を3寸としたのは、昨年のデッキ屋根工事で残った材料なので、それ以上の長さに出来なかったためだが、後述する「棟包み」とたまたま一致した。

 梁と棟木とした2×6材に差し込むためのホゾを彫る。当然、上下の向きを90度変えておき、取り付けたあとはビス留めしておく。

 つづいて垂木を取り付ける。材料はいんご(1寸5分角)を使い、横桟はいんにっさん(1寸2分×1寸3分角)を使った。この二つはさすがに手持ち材がないので、屋根材のポリカ波板とともに新たに購入。

 長いビスを使って脳天止めしたが、不安定なので屋根上には乗れない。脚立や足場を利用するわけだが、45センチ間隔の間に入り込むのに苦労した。近ごろの肥満気味を実感する。
 また部材は塗装をすませてから固定した。とくに足場が必要な場所は前もって塗装するほうがずっと楽で、低い位置なら奥さんにお願いする、というのがセルフビルダーの常套手段だ。

 それにしても使っているインパクトドライバーはいかにも古い。20数年前の母屋建築時に購入したものだが、まだまだ使えている。

 古いと言えば、壁に張ったラティスも旧コロ薪小屋に使っていたものだ。腐りにくいウエスタンレッドシーダー製だが、15年近くも雨に濡れたため、腐食部分を斬り落として再利用した。

 寸法の合わない部分や足らない所には、ヤギ小屋に使ったザラ板(モルタルや左官下地の板。ラス板とも言う)を張る。余り物や古材をフルに使った「古フル建築」とでも名付けようか。

 屋根には長さ6尺のポリカ波板6枚を張った。3枚で1間四方になるので、切り妻の両方に流し、ステンレスの波板ビスで固定した。セルフビスのはずだが、滑ってしまうので下穴をあけたほうが仕事がずっと早かった。
 ちなみに購入したポリカは両面耐候性だった。低価格のポリカには、耐候性能が片面だけというのがあるので要注意。

 切り妻の合わせ部分には、安かった既製の「棟包み」を使用した。内側に木桟を取り付け、かぶせたあと横から傘クギで固定。足らない部分に塩ビ板を使ってこんなふうに取り付けてみたが、はたして正しい使い方なのかはわからない。

 雨漏りしなければ「それでよし」としたが、残る1棟にはちょっとした問題があるのだ。