曲木の試作「電子レンジ加熱」

 今年の秋はゆっくりと進んでいる。とは言いながら、さすがに奥日光からは初霜の便りが届いた(去年より17日も遅い)。わが家でもストーブを焚きだしたのだが、そんな時期になると、何やら目についてしまうのが、この手動式薪割り機だ。
 かれこれ7,8年も前になるか。薪割りが手に余りだし、試しに買ったものだが、試しにも何にもなりやしない。2、3本は割ってみたけど、動作が遅くてまるで役立たず。
 そのまま放置することになったが、やたらと重くて片付けにくく、いずれ処分しなくちゃならない存在に成り下がっていた。

 何でも捨てられないケチな性分ゆえに、ぐずぐずと処分先送りになっていたけど、先日になって思いついたのが、曲木道具への再利用だ。動作は遅くとも油圧パワーはあるのだから、うまくすれば使えるかもしれない。

 木を曲げる方法にはいろいろあるようだ。素材に熱を加えて曲げる方法が一般的で、むかし取材した桧枝岐の「曲げワッパ」では、ヒノキ板を煮て曲げる「煮材法」だった。また曲木家具をつくる工場では、ブナ材を高圧で蒸す方法を採用している。

 この「蒸材法」は、木工工房でも多く使われるようだが、もっとも簡単な方法に「電子レンジ加熱法」がある。要するに熱を加えてやわらかくなったところを、薪割り機の油圧でじわじわと曲げてやろうと目論んだわけだ。

 まずバンドソーを利用して、こんな「曲げ型」を制作した。いろいろ試してみた結果が最後の完成形。凹型は曲面でなくてもよいようだったし、凸型にはクランプが入るよう刻み穴がくり抜いてあるのがミソ。

 いくつか試してみた曲げ工程は次の通り。
①前日から材料を水に浸しておく。
②濡れたままラップで密閉する。
③電子レンジで加熱。1000Wで1分、1分半、2分、3分と時間をのばしてテストした。写真程度の材料だと焦げることはなかったが、細い材だと焦げやすいらしい。
④火傷しないよう皮手袋を使用。
⑤曲げ型にセットし、油圧で押し込む。様子をみながら、ゆっくり曲げられるのがこの方法の利点か。加熱時間が長いほど簡単に曲がったが、写真にある直径3.5センチのヒノキの枝丸太は、2分加熱で加工した。
⑥曲がったところをクランプで固定する。

 電子レンジの大きさに制限される方法だけど、椅子の背板程度までは十分加工できる。クランプに挟んだまま十分乾燥させれば、曲げがもどることはほとんどなかった。

坂道のアプローチ

 玄関前の坂道アプローチは、どうしても冬の時期に痛んでしまう。直接の原因は、霜で地盤がゆるんだところに、主屋裏への薪の積み込みや灯油配達のトラックの通路となるからだろう。車幅にあわせてコンクリート舗装してあるけど、往々にして道を外れて路肩を崩してしまうのだ。

 そこで路肩に石を積み、土を運びいれて補修し、ついで道標を立てたのは、舗装通路への誘導のつもりだが、効果のほどはわからない。
 そうした工事をすませたのは、まだまだ寒さがのこる春先のことだが、あとは斜面全体をセンチピートグラス(ムカデ芝)で緑化し、きっちり根張りさせて崩れ防止とする計画だった。

 草丈が25~30センチと低いところから放牧場への導入を決めたセンチピート芝は、評判どおりに雑草抑制と草刈り回数減に効果的だったが、予期しないモグラ忌避効果にはちょっとびっくり。ゴワゴワした硬い根っこなのか、あるいは臭いでもあるのか、とにかく繁茂した部分にモグラの穴や土の盛り上がりを見かけたことがない。

 一方、欠点がないではない。まず初期成育がおそろしく遅いのだ。発芽に時間がかかるうえ、せっかく苗を植えても雑草の陰になってしまうと枯れたりする。そのため生育期には日当たりを確保するため。ひんぱんに雑草刈りをする必要があり、そうした手間暇を3年間ほどもかけて放牧場が完成している。

 そして種が高価なのが最大の欠点だろう。第一、補修したアプローチに種から育てたのでは時間がかかり過ぎるし、ピット苗を利用すれば手早いけれど、さらに高価で手がだせない。そこで挿し芽による苗づくりを試みたが、なにしろ猛暑だったので作業がすすまず、計画どおりの緑化というわけにはいかなかったのだ。

 ところで今年は、放牧場の一部を(17歳の山羊が天寿をまっとうしたため)畑に転用するのだが、はがしたセンチピート芝を移植してしまえばいいかと思いついた。いわゆる張り芝作業と同じだったが、ふつうの芝のように上手にはがせず、すぐにばらついてしまって扱いにくかった。
 挿し芽のさいに述べたようにセンチピート芝はランナー(匍匐茎)で増殖するので、地下茎でつながっていないためだろう。さらには密に生えた根が土を大量にくわえこんでいるためひどく重く、スコップではまるで歯が立たない。バックフォーを使って慎重にはがし取り、土を叩き落としてから運ぶ、というちょっとした重労働になってしまった。

 しかし張り終えてみればわるくはない。このままうまく根付いてくれれば、来年の芽吹きどきにはきちんと緑化されているにちがいない。

おまけのトピックス
 袋栽培している秋ジャガイモがだいぶ成長したので、土寄せと追肥、猿対策の袋閉じの作業を行った。しかし種イモ栽培のほうだけで、挿し芽のほうは成長が捗々しくなく、この調子では収穫までたどりつけないかもしれない。

ブレード破損・セリ自作

 バンドソーのブレードは、使用しないときにはテンション(張り)をゆるめておかねばならない。耐久性を高めるためで、使用時に規格どおりにテンションをかけてから切断する。この約束事をころっと忘れた。

 ブレードがゆるんだまま回転させ、さらには堅いケヤキ枝を切断しかけたところで、ハッと気がついたが、すでに遅かった。
 ゆるんだブレードが暴れ、バツンと大きな音とともに破断。どうやら暴れた拍子にセリ(ブレードのぶれ止め)に触れたようで、セリも破損してしまった。

 大きな音におどろいたが、保持した手がブレードと離れていたので衝撃は少なく、さいわい怪我もなかった。いやいや、気をつけなくてはいけません。
 破断したブレードは、溶接修理が可能か問い合わせたが、溶接すると全周が短くなり、結局使用できない、と返信があり新しいブレードを注文する。

 バンドソーCB65Fのセリは、切断するすぐ上と定盤下の2カ所に六角ナットで固定され、左右それぞれ0.5~0.8ミリの隙間をもたせるよう決められている。
 標準の65ミリ幅の装着時は、二股になった面でブレードを押さえる。おそらく接触面を少なくして、抵抗を抑えるためだろう。写真のような幅の狭いブレードの場合は、反対側の全体面でぶれを防止することになる。

 したがってブレード交換時には、このセリもセットし直すことになるが、上下2か所、4枚のセリを止める六角ナットを外し、逆につけなおすのがけっこう面倒な作業だ。

 ともあれ破損したセリを新調しなくてはならない。当然、部品として入手できるだろうけど、おそらく(問い合わせていないけど)結構な価格になるだろう。そこでいっそ自作することにした。

 材質はベークライト。ブレードとこすれる場所なので耐熱性を持たせるためであろう。近くに素材店がないので、いつものようにオークションで探した。送料込み600円ほどで入手できたが、厚さが9ミリある。標準部品は6ミリ厚だが、問題はないはずだ。

 標準部品の型をマーキングする。六角ナットで絞めこむ幅に、16ミリ幅のブレードで切れ目を入れるが、こうした細かい作業もバンドソーなら、手持ちで安全にできる。スライドソーを使っていたころは、ずいぶん苦労してクランプで固定していた。
 切れ目の終りに穴を空けて完成。二股になった接触面がすこし大きいが、もし問題があるようなら改めて追加切断することにした。

枝ログのスツール

 地下室に大量にストックしてある枝ログを使ってしまおうと、ストーブ前に置く小さな椅子をつくってみたが、たいした量を消費できなかった。そこで枝ログを組み合わせたスツールを考えた。
 例によって拙いスケッチを描くが、この作業によって作品の全体像が把握できるので、けっこう気に入っている。プロの木工家は模型をつくるそうだが、一度やってみてもいいか。

 4本の脚部に、太さの3分の2の深さで穴を開けた。下にむかって広がるよう枝ログを固定する枕部分の高さを変えてある。2か所の穴を開けるのに枝ログを動かすと位置がずれてしまう。下に敷いた板ごと移動させるようにした。

 横桟になる枝に太さ1インチの丸ホゾをつくる。テノンカッターを使い、穴の深さに合うようホゾの長さを調節。それぞれ木工ボンドを塗って組み上げるが、後になってゆるむようならピンを打ちこめばいいだろう。

 はしご状の脚部を上下2本のつなぎ桟で固定する。横桟の内側に穴を開けるのがすこし面倒だったが、手で固定しただけでもうまくいった。
 組み上げてみたら案外がっしりしている。座板を乗せてからでは刷毛が届かない部分があるので、この状態でオイルを塗ったほう簡単か。

 座板に通し穴をあける。脚部を逆さにして現物あわせに円を描いておくが、位置が変わると入らない。より正確にするには、円の中心にガイド穴を開けたほうがよいかもしれない。また固定するための穴ではないため、すこし大きめにし、半円にしても面白いデザインになるだろう。

 座板の穴はカドをなめらかに仕上げ、オイルを塗ってしまう。見えない裏からつなぎ桟とビス止めするが、座板に突き出た脚部をダボ切りノコで切断、カドをまるめるなどの仕上げをしてから止めた。

 座板が水平になるよう脚部にクサビをおき、ぐらつきを調節する。木片を台にしてぐるりに印をつけ、狂わぬようノコで切断。きっちり固定するほうが安全だが、今回は脚部がひろいのでそのまま切断した。

 脚部の枝ログに曲がりがあるため、いくらか不安定な感じになるが、座ってみると思いの外がっしりしている。枝ログの太さにもっと変化をつけたほうが面白いかもしれない。座板の木目と、大きく開けた穴があんがい印象的に仕上がり、気に入っている

子供用椅子?

 テスト加工した丸ホゾで何かつくろうと、こんな小さな椅子を考えた。子供用にも見えるが、いやいや、立派な大人が使うことになるだろう。
 ストーブ前に置くものだが、田舎暮らしを好む連中ときたら、焚き火やら薪ストーブとなると目の色を変えるほどご執心する。オモチャを欲しがる子供とすこしも変わらないから、子供用と言ってもたいして違いはない。

 栗の根元を挽いた板(30ミリ厚)を座板に使う。大まかな形をチョークで描き、バンドソーCB65Fで曲線切りした。
 使用した刃は16ミリ幅だが、挽き割り用の65ミリ幅から交換するのが少し厄介。刃を入れ替えたときには、ぶれ止めとなる「セリ」4カ所の向きを変えなくちゃならず、この作業に1時間ほども費やしたが、切るのはたった3分もかからない。

 1インチの座ぐりビットで穴を開ける。スケッチにあったように脚に角度をつけるため座板は斜めに保持した。下に段つけ用の板を差し入れての手持ち作業だったが、もちろんクランプで固定するほうが失敗はすくない。

 脚4カ所の穴開けをすませたところで座板削りをした。本来ならお尻にあわせて深めに削りたいところだが、板厚の関係で形だけの彫りですませる。またデザインが決まっていない背もたれ用の穴は後の作業とした。

 脚用の枝にテノンカッターで丸ホゾを削り、仮装着してみる。枝の曲がりが外向きになるようセットするが、ほんの少しの曲がりでも安定感がずんと違ってくる。

 クサビを入れる向きを書いておき、裏側にも枝の曲がりが狂わぬよう印をつけておいた。
 のこ目を入れてからボンドで接着。クサビは黒檀の端材でつくり、ボンドを塗って叩き込んでおく。このときには背もたれ用の穴も開けてある。
 よく乾かしてからアサリのないダボ切りノコで切断する。ちなみに普通のノコギリは、刃の動きに抵抗がないよう刃を左右に押しひろげてアサリをつくる。そのため板面に押し当てると傷がつきやすく、それを防ぐため古葉書を敷いて切ったりした。

 座面が水平になるよう脚元にクサビを入れ、ガイドの板に沿ってぐるりに線をひく。4本の脚すべてに印をしてから切断。この作業は面倒でもクランプで固定したほうがいい。少しのガタつきも座り心地に影響する。
 背もたれの固定も脚と同じだが、最上部の横木の接続は、はじめにクサビをセットしてから横木をかぶせて叩き入れる。いったん入れたら絶対に抜けない「地獄ホゾ」だ。

 白木のままでもよかったのだが、欲をだして柿渋で塗ったのがよくなかった。ありふれた民芸家具みたいで安っぽく、貴重な黒檀を使ったクサビが全然見えない。失敗した。

丸ホゾ加工

 もともと整理整頓は苦手な方だが、地下作業場の一角を占領している枝の自然木はどうにも片づかない。
 杉丸太の皮むきに高圧洗浄機をレンタルしたのは、もう15年ぐらい前のはずだが、そのときに広葉樹の細枝の皮をむいて白木に仕上げ、乾燥させるつもりで地下室に放置したままになっていたのだ。

 多くは薪用に仕入れたケヤキやナラ、サクラのはずだが、皮をむいてしまったので見分けがつかなくなってしまったし、ときおりドアや窓、引き出しなどの取っ手に使用しただけでほとんど減っていない。

 そうした自然木の枝を片づけがてら何かに組み上げてみようと思い、となれば丸ホゾが必要になろうから、といくつかの方法を試してみた。

 このテノンカッターは、自然木で柵をつくるつもりで購入したが、設計変更で使わずじまいになっていた道具だ。
 たしか『手づくり木工事典』の著者・芝地正履(しばち まさぶみ)さんが代表を務めていたTAMA CRAFTで購入したものだが、もう何年も前に販売は停止してしまったらしい。いまはオフ・コーポレーションで買えるようだが、すこし価格が高くなったような気がする。

 言わば大きな鉛筆削りのようなもので、カッターをドリルにセットし、万力に固定した枝に押し当てて削る。いくつかサイズがあり、一番大きな1インチを使ってテストしてみた。

 刃の調整・固定ネジをしっかり締め、水準器をみながら水平に注意する。また太い枝は、あらかじめテーパーに削っておく必要がある。
 アルミ製のカッターが重く、回転時にかなり振動するが、傾かないよう保持して一気に削るほうがうまく削れた

 前述のオフ・コーポレーションに「埋め木カッター」を利用した丸ホゾづくりが掲載されているが、やや高価なのが欠点。そこで「のほほん木工房」さんが紹介する激安ホールソーでの丸ホゾ加工を試してみた。

 激安だけに切削力に劣るので、硬いケヤキの枝は無理かと思ったが、案外スムースに削れた。周囲を切り落とせば丸ホゾが完成する。テノンカッターと違い、胴付きなので組み上げたとき丈夫になるはずだ。
 すこしばかり木肌が荒れてしまうが、ホゾ穴に組み込んでしまえば問題はない。中央に大きなガイド穴が空いてしまうのが最大の欠点か。

 また「のほほん」さんは、こうした加工をドリルを逆さに固定した「逆ドリル」で行っていた。曲がった自然木を固定するのはいささか面倒なので、あんがい効果的な方法かもしれない。いずれ試してみるつもりだ。

箱入り娘の箱

 出産祝いに木工で何かつくろうか、と聞いたら、
「木馬なんていいわね」
 と言われたけど、それはちょっと、と口を濁してすませてしまった。おもちゃながら木馬はむずかしそうで、それほどの技術もない。第一、壊れでもして怪我をさせたらエライことになる。なにしろ誕生したのは女の子なのだ。

 いろいろ考えたけど、おもちゃを整理する箱をつくることにした。夫婦ともにクリエーターなのでデザインには「一家言」ありそうだから、飽きのこない基本的な箱にしたわけで、言ってみれば「箱入り娘の箱」をつくるわけだ。

 例によってノートにスケッチしてみたが、ほんとうに変哲もない箱だ。多少かわっているのは、ダブテール接合だろうか。テスト加工したばかりだったのと、釘やネジなどの金属を使いたくなかったからだ。同じような意味で取っ手もでっぱらない穴方式にし、すべての角を丸くする。

 材料には、先だって引っ張り出した厚さ30mmの栗材を使い、取っ手穴をつくる側板は20mm、前後板は半分、底板は10mmほどにバンドソーで引き割りした。
 取っ手部から加工する。フォスナービットで穴を空け、ジグソーでつなぎ、ルーターテーブルで角を丸めるといった作業だが、組み上げてからではちょっと面倒。こまかな仕上げは後にして作業をすすめる。

 接合部はハーフ・ブラインド・ダブテールで、20mm厚の側板にダブ穴を刻むようにする。仕上げてから角を丸めるさい、ダブテール部分まで削らないよう余地をのこすためだ。作業台にダブテール・ジグを固定し、切削順序を間違わぬよう板をならべておいた。

 ダブテール切削を慎重にすすめる。テスト加工のヒノキ材より硬めの栗材だが、欠けや割れもなく、硬いだけに角がきっちり削れる。組みがやや窮屈だったが、ボンドを塗ったらスムーズに入った。ゴムハンマーを使い、念のため当て木をして叩き入れる。
 10mm厚の底板は5ミリの段付きにしたが、ボンドで接着せず差し込むだけ。ボンドのはみ出しをきれいに拭い取って一晩乾燥させた。

 組み上げた箱ごと乗るようなルーターテーブルがあると、こうした作業はとても楽だ。すべての角を丸め、空研ぎペーパーやサンダーで仕上げる。小さなアイロン型のサンダーなら箱内部のスミまで作業できるので便利。
 フィニッシュオイルを塗り、サンダーで磨いたあと空拭きで仕上げる。

 栗材は、導管が太いため木目がよく目立つ。ややうるさくも感じるが、ダブテールの木口はオイル塗りで濃く見え、木目との組み合わせがおもしろくなった。

ダブテール・ジグ

 歴史的円高のころ、PORTER CABLE(ポーターケーブル)のルーターと一緒に購入したダブテール・ジグだが、いまだに一度も使用していない。とにかく使ってみなくちゃ話にならない、と英文のマニュアルを苦労して読むのだが、いま一つ理解できない。ついには作業台にパソコンを置いて、あれこれ視聴しながらテスト加工することになった。

 まずは解説したYouTubeを繰り返し視聴して、その原理と手順を頭に叩き込んだ。英文だけに理解できない細部があり、それは日本語ブログで補い、さらにはウェブサイトの英文マニュアルをGoogleの翻訳機能を利用して読む、といった方法で作業をすすめ、その忘備録としてまとめておいた。

①升状の箱にする4枚の板(板厚15mm)を用意。引き出しなどに多く利用するハーフ・ブラインド・ダブテールで加工する。

②まず板1をテンプレートの下に差し入れてセットする。これはテンプレートの高さを板厚に合わせるためで、2か所の黒いノブを締め付けてテンプレートを固定する。ちなみに幅が狭い板の場合、同じ厚さの板を添えて斜めにならないようにするとよい。

③つづいて板2を垂直部にセットする。このさいテンプレートの線に合うよう締め付けノブと黄銅ネジで位置を調節すること。
 またテンプレートの爪と左右の出が同じになるようにセットすること。

④オフセットガイドを垂直な板2にぴったりセットして、六角ボルトをしっかり締め付ける。そのためには前もって六角ボルトをゆるめて左側に寄せておく必要がある。

⑤固定されたオフセットガイドに、水平な板1をセットし直して位置を決定させる。同時に垂直板2の欠けを防ぐ当て板も添えてもよい。当て板なしでテスト加工したが、割れや欠けは見られなかった。

⑥ルーターにアリビットとリング状のガイドを取り付けたあと、テンプレート左側のビットガイドにあてて刃の深度(出し)を設定する。テンプレートに取り付けられたビットガイドの深さは、ぴったり組み合うよう調節されているので、たとえば板厚が変化しても動かす必要はない。

⑦ルーターをテンプレートに沿わせて動かして切削する。ちなみに参考にした英文YouTubeと日本語ブログでは動かす方向がちがっていたが、テスト加工では、英文YouTubeと同じく、画面奥から削り始めた。これはルーターの回転と切削方向が一致してコントロールし難い面もあるが、欠けや割れが生じにくいらしい。
 慣れないとルーターが勝手に動くような感じがあるが、テンプレートによって削り過ぎは心配ない。ゆっくりと削り残しがないよう作業する。

⑧一組の切削が終了した。上つまり水平にセットした板1にダブ穴が削られ、垂直セットの板2がダブ頭になる。あとは接続する方向を違えぬよう作業をくり返せばよい。

 仮組みする。組みのきつさはビットの出し具合で調節できる。たとえば刃を深く出せば、ダブ頭が大きく、ダブ穴が小さくなり、つまりきつい組みとなる。⑥で述べたように、ビットガイドはデフォルトで調節されているので、なるべく動かさないほうが無難だろう。
 またテンプレートの前後調節を奥にすると、切削が深くなる。ぴったりに越したことはないが、すこし深めのほうが削る面が少ないので手直しが簡単。

 また引き出しなどの底板を入れる溝は、ダブ頭の部分に入れれば、組み上げたとき見えることがない。

 初めての加工にしてはうまくいった。あとは板厚を変えてみたり、テストしたハーフ・ブラインド・ダブテールのほか、段付きになったラビット・ハーフ・ブラインド・ダブテール、両面にダブ接合がみえるスルー・ダブテールなどが出きるようなので、いずれ試してみたい。

お歯黒で木を染める

 江戸期の既婚女性の化粧法に「お歯黒」がある。欧米人にやたら不評だったようで、外面を気にする明治政府が躍起になって禁止したり、故意に女性を醜くみせて貞操をまもろうとしたにちがいない、とうがった推測をする英国公使がいたりしたが、虫歯や歯周病予防に効果があったとの報告もある……という話は書き出し早々の余談で、この「お歯黒」を利用して木を染める方法を試してみた。

 お歯黒は、簡単にいうと鉄分とタンニンの反応による「鉄媒染」だ。鉄漿付け(かねつけ)とも称され、酒・酢・ぬかを混ぜた水に古釘を入れて半年ほども寝かしてつくった溶液(つまり鉄漿水……酢酸第一鉄)を、タンニンと結合させて黒変させるものだ。

 そうした鉄漿水もどきの溶液は、キッチンにあったお酢にスチールウールを漬けこんで反応させる。三日ほどでよいとの情報なので、その間に木工品をつくり上げてしまおう。

 小さなマガジンラックをつくることになるが、材料には栗を選んだ。鉄漿水と反応させるには、なるべくタンニンが多いほどよいわけで、となれば栗材ということになる。もし他の材料を使うなら、組み上げたあとタンニン液を塗ってもよいらしい。歯を染めるには生薬の五倍子粉(ふしこ)を使ったようだが、栗の渋皮・のこ屑の煮出汁、あるいは濃い紅茶を塗る方法もあるらしい。

 主題が染めなので、工程は写真で判断していただこう。もちろんすべてを黒く染めたいので、細い材もふくめて総クリでつくり上げ、ビスケット接合を多く使用したが、木工ボンドのはみ出しは丁寧にふき取らねば、染め残しの原因になる。

 三日ほど漬け込んだ鉄漿水は、ややドブ臭さを感じる。時代小説に書かれる「お歯黒ドブ」とはこんな臭いだったのだろうが、すぐに慣れてしまいさほど気にならない。塗った直後は褐色だが、反応がすすむにつれて濃度を増し、重ねて塗りすすめれば真っ黒に変化してくる。塗りおえたら完全に乾かしておく。

 おもしろいことに乾くにつれて青みを帯びてきた。万年筆などに使ったブルーブラックのインキを思い起させる色合いだが、オイルフィニッシュをほどこすと深みのある黒に代わる。それがまたおもしろい。

 オイルを塗ったあと、少し時間おいてふき取ってしまうと、木目に入り込んだオイルが木目を浮き立たせる効果がある。また木地に脂分があったらしい部分がすこし黒さが足らなかったので、黒マジックで補修してみたが、ほとんど差異がなかった。

 仕上がったマガジンラックはこんな場所に置いている。栗材のタンニンは、消臭効果のある柿渋石鹸の何倍もふくまれているようなので、いわゆるデオドランド効果も期待できるだろう、とのおもいもある。

A4箪笥+柿渋

 わが家にある柿渋染めの酒袋製品をみながら、いつかは柿渋を試してみようと思っていた。じつを言うと母屋をセルフビルドしたとき、丸太用の柿渋づくりに挑戦したことがあり、青柿ジュースを絞るまでやってみたが見事に失敗。仕方なく市販の柿渋を使ってみたが、思うような結果が出なかった記憶がある。

 今回、A4箪笥に試してみる「上柿渋色人」とは、着色専用の柿渋らしい。染料などの着色料は一切使わず、天然の渋からつくられていて、木材はもちろん、布・和紙などにも使えるとある。ただし通常の柿渋のように耐水性、防虫防腐効果はないらしいので、塗り乾かしたあと、オイルフィニッシュで仕上げるつもりだ。

 A4箪笥は240番ほどの細かいペーパーで丁寧に仕上げた。とくに木工ボンドの塗り跡には着色されないので注意が必要。
 柿渋人のキャップをあけると、オイルスティンのような石油臭とはまったくちがい、かすかな発酵臭(腐敗臭?)がする。使用する分量をとりわけるが、そのあときっちり蓋を閉めておかないと、ゲル状に固まって膜が張ってしまう。通常の柿渋でも同じょうな現象が起きるらしい。

 かなり濃いので水で2倍にうすめて使用するが、塗り方にコツはない。ハケは木目に沿って動かしたほうがムラなく塗れ、2度塗りしたほうが濃くなるようだが、今回は一度塗りですませた。
 水溶性なのでハケは水洗いでよいのだが、ふと懸念があるのに気がついた。

 一晩乾かしたあと、やはり、とすこしばかりがっかりする。ツルツルにペーパー仕上げしたはずの表面が、ひどくザラザラしている。このあたりがサンダー加工の欠点で、水分を吸って木の繊維が起きあがってしまったのだ。よく切れる和鉋仕上げのようなわけにはいかない。

 そのぶんオイルフィニッシュ時の研ぎ上げに時間をかけた。オイルを塗り、乾かないうちに400番ほどの耐水ペーパーで円を描くように研ぐ。研ぎカスを十分だしたあと、乾いた布で木目に沿って拭いとれば、研ぎカスが細胞の導管に入り、同時に繊維の毛羽立ちを寝かせてくれる。

 完全に乾かしたらもう一度オイルを塗り、よく乾いた布でふき取ってしまえば、好みのしっとりした感じに仕上がる。
 柿渋の色合いもわるくなかったが、作業している間に次は「お歯黒染め」を試してみようか、と思いついた。

 

 

おまけのトピックス

 猿来襲! ジャガイモ全滅だ。しかも二度にわたっての波状攻撃。
 初めの来襲では、囮栽培の畑だけの被害ですんだので、もくろみ通りの展開だ、とほくそ笑んでいた三日後に再来襲されてはたまらない。
 もう大丈夫だろうと、追肥と土寄せした北側の畑はむざんに荒らされ、行きがけの駄賃とばかりに芽を出しはじめた苗類やソラマメもひっこ抜かれてしまった。
 ニンニク、茗荷は無事だったが、しかし許さん! と思わず動物撃退用のゴムパチンコをポチッってしまった。