ソファ改造

 10月になって本格的に薪ストーブを焚くようになると、ストーブ前に置いたソファがとても近しく思えてくる。なにやら食べながらグダグタと過ごす時間が多くなるからだが……、
「やはり邪魔だな。いっそとっ払うか」
 と前々から考えていたことがある。

 ソファと言っても出来合いの座椅子を利用し、自作した木枠にセットしたものだ。母屋を建ちあげたすぐあと作ったはずで、ナラ材をホゾで組みあげ、やや幅広の手すりはアルダー材を使った。

 ストーブ前には二人用と一人用を並べ、曲りケヤキの一枚板のテーブルとほどよいセットになっている。5,6年ほど前、座面がへたったのでポケットコイル座椅子と交換しているが、かれこれ20年ほども親しんでいたわけだ。

 しかし邪魔なのだ。間にある手すりは、コーヒーカップを置いたりするのに便利だが、寝っ転がるときに足がのばせないのである。

 そこでデッキに引っ張りだしての改造ということになったが、さしたる加工ではない。
① アルダー材の手すりをクランプを押し広げるようにセットして取り外す。
② ナラ材の柱を切断する。
③ 改造した手すりを取り付け直す。本来ならホゾを作り直すべきだが、見えない裏側からのビス止めとした。
④ 一人用も同じ作業で改造する。

 そんなこんなの2時間の作業で完成。しかしかなり古いのでやがては作り直しになるだろう。

「これでいいわ。今度の買い物でポテトチップス買わなくちゃね」
 とは、試しに寝っ転がった奥さんがのセリフ……。

ソーチェン交換

 薪づくり作業をすませたのでチェンソーの手入れをした。恒例になっている年に一度のメンテナンスだが、作業中に何度も目立てをしたさい「そろそろか」と気づいていたソーチェンの交換もしておいた。

 チェンソーはいつの間にか3台にもなってしまった。いずれもハスクバーナー製で246,346XPG、372XPGだが、新品で購入したのは、一番大きな372XPGだけ。もっともこれも米国の友人に購入してもらったもので、日本で買うより半値ぐらいで手に入れている。しかし、米国仕様のため部品入手にいくぶん手間がかかるのが難点だ。

 あとの2台は、女流ビルダーを目ざしてカナダまで行ったものの、あえなく挫折。その後始末にゆずってもらったといういわく付だが、機械そのものになんら問題はない。かれこれ8年ほども使っている。

 よく使うのは、やはり一番軽量の246だろうか。どちらかと言えば入門機に相当する機種だが、46ccエンジンに15インチバーの組み合わせはなかなかに使える。40センチ超のケヤキ材も問題なく処理できるほどで、今年の薪づくりは246だけですませてしまった。

 ちなみに346XPGは50.1cc・18インチ、372XPGは70.7cc・24インチ。名称にXPが付いているのはプロ仕様のようで、Gはグリップを暖かくするヒートハンドル機能。
 また346は排気デコンプ(シリンダー内の圧力を逃がす装置)がない割りに始動が軽い。スマートスタートという容易にエンジン始動を行える機能があるためらしい。

 ともあれチェンソーの切れ味は、一にも二にも刃の目立てによる。薪づくりのように堅い広葉樹を切断する場合、燃料を入れる度に行なうようにしているし、やわらかいスギであっても縦挽きでは負担がかかるため、おなじような頻度で目立てしている。

 写真のように刃が三角になるほどに摩耗したら交換どきだろう。新しい刃には、交換の目安として筋が入っている。今回は3年ぶりぐらいの交換か。

 あとは各所をエアーで吹き飛ばして掃除し、ガイドバーのミゾ掃除やグリス補給。つづいて燃料フィルターやエアフィルターを生ガソリンで洗うなどの手入れをしたが、キャブの分解は自信がないので手を出さないことにしている。

薪割り2017

 コロ薪小屋の完成をうけて、今年も薪割りをはじめた。しかし秋に割ったばかりの薪をすぐ燃やすことはない。水分が抜け切れていない薪は燃えにくく、無理に燃やしても温度があがらず、煙ばかりが多くて煙突を詰まらせる原因なるからだ。

 わが家では、春先から梅雨前を薪割りの季節とし、1年から2年間ほど乾かしてから燃やすようにしている。しかし今年は、原木入手が梅雨時になってしまい、すこしでも早く割ってしまいたい事情は前に書き触れた。

 使っているのはやたら重い薪割り機だ。車輪付だが、敷地は舗装されていないので役には立たず、バックフォーがなければセットすら出来ない。
 と書いて思いついたが、この薪割り機導入の顛末にふれるのも一興か。

 田舎暮らしをはじめて20年ほどは、手割りで過ごしてきた。薪を割ること自体を楽しんだ時代もあったが、年に6トン近くの薪づくりだから、70歳近くになるとさすがにしんどい。いよいよ薪割り機導入かと考えた。

 油圧式のエンジン薪割り機については、前々から考えていた。しかし、これまで使っていた広葉樹を割るとなると、破砕力20トン級が必要だし、そうした大型機の国産機はなく、多くはアメリカやカナダ製で5~60万円とべらぼうな価格。とても買えやしない。

 そんな気持ちがオークションで見かけた薪割り機に入札させたらしい。たしか5万5千円ほどの最低価格だったから、どうみても冗談半分。しかし、どうしたはずみか落札してしまうのだから、いやもう、びっくり。

 運賃2万円で運ばれてきたのは、重さ350キロ・破砕力270トンの大型機。ただし半製品で自分で組み上げねばならず、その説明書も怪しげな英文で書かれている。そう、中国製だったのである。

 なんとか組み上げ、油圧の作動油やエンジンオイルを別途購入。エンジンをスタートさせると、割り刃は遅いものの動きはスムーズ。早速はじめた割り作業も問題なかったが、ほどなく故障。

 しかもぞくぞく発生。作動油の低圧ホースのひび割れ・シリンダー固定のU字ボルト破損・振動による各所のボルト脱落etc.……。1年目は薪割り作業より修理のほうが時間がかかる始末。それが中国製の現実なのだろうが、なに、かつてのmade in Japanもそうだったのだ。

 以来、曲がりなりにも5年ほども使えているから、元は取れた感じだろうか。なにせ破砕力27トンは強力で、繊維のねじれたケヤキやカシ材もむしりとるように割れてしまう。割り刃の遅い動きにイライラさせられたが、慣れてしまえばさほど気にならず、かえって安全かと思えるようになった。

 かかりが悪かったエンジンだが、停止するとき電気スイッチを使わず、燃料コックを閉めて自然停止させれば、スムースに再起動する。キャブの燃料を空にさせてしまうのがコツのようで、今年の作業はごくごく快調だった。

 やや余談だが、玉切りのさいの切り屑は、「なるべく回収してね」とヤギ担当の奥さんに言われている。ヤギ糞掃除に使うととても具合がよいらしい。

 先週まで話題にしていた寸足らずのコロ薪は、全薪量の10分の1ほどもある。こんな感じに新設されたコロ薪小屋に納まり、やがては火持ちのよい薪として重宝するのだ。

猿来襲

「来たわよ。やられたわ」
「え?」
「猿、ジャガイモ全滅よ」
 起き抜けに奥さんから告げられ、あわててデッキに出てみる。その惨状に声もない。
朝早くにあらわれた一群の猿が、よってたかってジャガイモを朝食としたらしい。
「かわいい小猿もいたわよ」
 とたまたま来客していた女性カメラマンが撮影したらしいが、口惜しさのあまり写真を見るどころではない。
 そうした失意を乗りこえての臨時投稿ゆえ、来襲状況をくわしく述べる気にもならないので奥さんのブログでどうぞ。

「やれやれ」と気をとりなおして荒らされた畑を片づける。茎を引っこ抜いたあと、イモを掘り出した形跡があるが、穴はさほど深くはない。
「このぶんなら少しは残っているか」
 とかすかな期待をこめて掘り起こしてみると、結果、予想外の収穫だった。

 今年はマルチを張り、芽欠き・土寄せをちゃんと施したので、ことのほか生育がよかった。梅雨が明けて地面が乾いたころ収穫か、と思っていたところ猿に先を越されたわけだが、どうやら早く実ったイモは深いところで成熟したおかげで被害をまぬがれたらしい。
「猿害がなければこの倍はあったろう」
 といくぶん口惜しさがこみ上げてくるけど、あんがいの収穫量に気分はわるくなく、隣に植えた収穫前のズッキーニに被害が及ばなかったのは幸いだった。
 ただし、こんな湿気った時期の収穫だけに長く保存はできない。この先ポテト料理を増やすことになるだろう。

生ファーベを食す

 そら豆が収穫時期をむかえた。昨年の秋に植えた一寸そら豆と生食用ファーベ(fave)が冬の寒さを克服し、猿に引っこ抜かれながらも辛くも持ち直してぐんぐん育ち、宙を指していた莢が大きくふくらみつつ下がってきた。

 いよいよ食べ時だろう。スーパーマーケットで鹿児島産のそら豆を見かけたのは、かれこれ2ヶ月も前だったが、それをぐっと我慢してきたわけで、その甲斐あってか試食の結果は予想以上だった。

 野菜の採り立てのおいしさ体験は、田舎暮しの醍醐味のひとつだが、採り立てそら豆の味はとびきりだった。わが家ではトウモロコシ・アスパラ・枝豆を三大採り立てと認定しているが、それと肩をならべる高い評価となった。

 茹でて食べる一寸そら豆にくらべ、ひとまわり小さいファーベ(fave)を食べるのは初体験だ。しかも生食と知ったのは、かなり以前のブログだったが、なにしろ市場で売られていないので試しようがない。昨年それを思い出して種を蒔いたのだが、はたして無事育つのかと危ぶんだけに、試食をひどく楽しみにしていたのだ。

 ブログにあるように羊チーズのペコリーノ・ロマーノを購入し、どうせならと冷蔵庫に入っていた山羊チーズもならべてみたが、断然ペコリーノのほうがうまい、というのが私の感想だ。
 ちなみに山羊飼いの奥さんは、山羊チーズのほうがいいらしいが、たぶん山羊好きの身びいきが働いているのだろう。

 ともあれオリーブオイルともよく合い、爪楊枝にチーズのかけらとそら豆を刺して食べれば、酒のつまみに絶好だった。生のそら豆だけにわずかながら青臭さが感じられるが、ペコリーノを一緒にかみしめると、その塩味と相まって味は絶妙。
 かるく茹でてパスタに合わせてもわるくなく、かくてリピート栽培が文句なく決定したのだった。

ニンニク収穫

 思いのほか豊作だった。毎年栽培するのは国産の福地ホワイト6片だが、昨年はデッキ屋根架け工事で忙しく、ついつい種ニンニクを買いそびれてしまった。仕方なく中国産ニンニクで代用したものの、ほぐしてみると10片近くあって小ぶりニンニクばかり……。
「こりゃあまり期待できないな」
 と思いつつ植え込んだ記憶がある。

 ニンニクは、例年、10月ごろに植え込み、梅雨入りどきの6月中ごろ収穫、と約8ヶ月以上の長期栽培になる。年の暮れには10センチほどに育つ苗は、土が凍りつくような寒さにも負けず、雪に埋れながらも青々とし、春に先駆けてモシャモシャと葉をのばしてくる様子は感心するほど逞しい。

 連作障害は出にくいそうだが、3年目には収穫が落ちる、との情報もある。そこで出来る限り場所を変えることにしているが、昨年は堆肥置き場の近くに、山羊餌用のイタリアンライグラスとならべて植え込んだ。いつもより発育がいいのは、堆肥運びの手間がはぶけて量が多くなったせいもあるのかもしれない。

 ともあれニンニク栽培は、その匂いのせいだろうけど、猿の害にも遭わず、もちろん鹿の食害もない。隣りあったイタリアンライグラスは、まるでバリカンで刈ったように鹿に喰われてしまい、あわてて周囲にネットを敷き、水糸を張り巡らすのが、わが家の鹿除け方法だが、ニンニク畑にはまったく近寄らないのだ。

 草取りもしない雑草だらけになったニンニク畑に、一輪車を持込んで収穫を始めたが、予想外の豊作に、軽トラックを横付けしての作業となった。

 根張りがよくて引き抜きが大変だったし、珠の育ちもわるくない。粒は小さいながら匂いが強く、試食したところ風味もよかった。

 根を切り取り、茎を裂いて中の芯を切り取ったほうがよく乾く。茎を短く切り落として乾燥させる方法もあるが、あとで編み込むつもりなので葉を残して乾すことにしている。
 ちなみに寄生した虫は、上に昇るから珠を下にして乾燥させるほうがよい、とネット情報にあったように思うが、効果のほどは知れない。

畝立て器を試す

 かれこれ二十年近くになるはずだが、アマチュア感覚がぬけきらない農作業だ。毎年の経験はまるで身につかず、加齢ばかりがまとわりついて、年々しんどい作業になるばかりで、5,60坪ほどの小さな畑をもてあましてしまう。

 春先、バックホーで掘り起こしたあと小さな耕運機で耕している。オークションで購入した中古機だが、キャブレターを掃除してから動作は快調。これでかなり楽になったが、畝づくりがうまくできない。
 ご近所さんのようにクワをうまく使いこなせないのが原因だろうか。土を盛り上げるのにスコップを使ったりするものだから、腰がすぐに痛くなり、そのあとのマルチ架けを考えるとうんざりしてくる。

 耕運機に取り付ける畝立て器なるものがあると知った。いわゆる土を寄せる培土器とはちがうようで、左右に土を押しやり、畝の高さに土を盛りあげてしまうらしい。やや自虐的タイトルのブログを拝見すると、所有機(ヤンマー製車軸ロータリー式)でも十分使えそうなので、とりあえずSタイプを購入。こうしたニッチなアイデア商品をみるとすぐにも試してみたくなる性格なのだ。

 耕運機後部にある尾輪と畝立て器と交換するだけだから、装着はごくごく簡単。ただし取り付け軸に差し込まれたクレビスピンとR型ピン(スナップピン)を引き抜いたさい、畑近くの草地で作業したため、うっかり落としたRピンを探すのにひどく苦労した。さっそく予備を手に入れることにする。

 二度ほど耕したあと、畝立て器を走らせた。回転するロータリーが耕しながら進むにつれて、V字にひろがった鉄板が土を左右に押しひろげてゆく。結果、深さ20センチほどの溝が出来、行って帰ってくれば畝が完成している仕組みだ。

 よく耕したせいか、重たい感じは全然なく、ごくごくゆっくり歩くほどのスピードで畝が立てられた。土の性質や乾きぐあいにもよるのだろうけど、シンプルな形状ながらそれなりの効果に感心し、その発案と工夫に苦労しただろうな、と思わせる商品だった。

クレーム……一件落着

 デッキ家具を計画していたころ、やはり電動のレシプロソーがあったほうが便利かしれない、とネットで探したことがあり、たまたまのぞいたAmazonページに出物があったので、ついついクリックしてしまった。

 プロ用ではないながら定評のあるブラック&デッカー社製で、定価の半値ほどに値引きされたAmazon価格の、そのまた半値以下の2500円ほどで売られていた。いわゆるマーケットプレイスの商品だったが、新品と明記され、中古品ではない。

 いかにも低価格すぎるし、配送予定に日数がかかるところから、たぶん中国大陸の販売元だろうと推測され、あるいは偽物をつかまされるかとも危惧した。しかしブラック&デッカー社の製品はすべて中国産であるから、横流し品または荷崩れ品の可能性もあるぞ、などと考えたりもする。

 言ってみれば、都合のよいほうに考えたがる世の常、人の常に背を押されてクリックしたわけだが、とりあえず品物が届くまでの一部始終のスクリーンショットを保存しておこう、と考えたのは、一抹の不安があったからであろう。

 不安は的中した。上記に示したように「配送状況」のスクリーンショットでは、順調に運ばれているかのように表示されているが、「お届け予定日」を過ぎても届かない。こうした場合には出品者に連絡するように、としたAmazonの指示に従うと、ほどなく出品者からの返信メールが届いた。

「ご迷惑をおかけします。アカウントを乗っ取られました。したがって詐欺のサイトです。発送もされてないと思われます。
アマゾンマーケットプレイス保証を申請してください」

 すぐさまAmazonページの「注文の詳細」にある「マーケットプレイス保証を申請」をクリックする。ほどなくAmazonから申請を受付けた旨のメールが届くのだが……、

 細かくて読みにくいが「Amazonのギフト券」なら2時間以内に返金されますよ、という意味に書かれている。
 いやいや、巧妙だ……と苦笑してしまうが、早いに越したことはないし、いずれ買い物があるだろうから損はないか、と考えれば大方の人がクリックする。そうしてAmazonの仕掛けにまんまとはまってしまうわけだ。

 かくてアカウントにカードで支払った金額が登録され、詐欺事件のクレーム処理の一件、ぶじに落着するわけだが、ふと思い出したことがある。

「クレームは必ず発生するけど、べつに困ったりしませんよ。それを速く処理すればするほど信用につながりますからね」

 とは、30数年前の仕事で取材したベテラン自動車セールスマンの言葉だが、それにしても電動レシプロソー、買い直すかを考えねばならない。

そら豆の摘花

 そら豆栽培に初挑戦している。去年の晩秋に種をまいたあと、ネット情報の手順どおりに不織布での霜よけなどを施し、なんとか無事に冬を越した。デッキの鉢栽培、畑の直植えともに順調に育っているようで、気がつくと花が咲き出していた。

 まだ3,40㎝ほどの背丈だが、かなりたくさん開花している。この状態が良いのか悪いのかわからないけど、とりあえず支柱を立て、風で倒れないよう紐を張ってやった。このあと60㎝ほどに育ったら先端の芽をつんで葉の成長をとめる予定だ。

 そのまま枝や葉を伸ばしてしまうと、養分が無駄に吸い取られて収穫が減ったりするようで、また大きな豆に育てるには摘花するほうがよい、とネット情報にあった。花ではなく莢(さや)が小さなうちに摘果する方法もあるようだが、どうせなら早めに、と花を摘んでしまうことにした。

 花は一節に3~4つ咲いている。けっこうかわいい花だが、根元のひとつを残して摘んでしまう。これまたよいのかどうかわからないが、まだつぼみ状態のものはそのままにして、莢になってからの摘果とすればいいだろう。

 ちなみに苗は、普通の一寸そら豆とイタリア産の生食用ファーベ(fave)を栽培している。ファーベは、そら豆あるいは豆を意味するイタリア語で、たしかポポロという品種だったはずだ。

 生で食べるそら豆には前々から興味があった。莢から取り出して口に放り込み、羊乳からつくるペコリーノチーズと一緒にかみ砕くと、豆の生臭さとチーズの強い塩分がからみあって絶妙なハーモニーを醸すらしい。
「たぶん山羊チーズでもいいんじゃないかな」
 などと勝手に想像しているが、はたして味わえるかどうかは、これからの育て方次第ということになる。

芽出しと種まき

 町に出たらサクラが満開だ。先生のお気に入りになろうと、ハイハイハイと一斉に手をあげる良い子のようなソメイヨシノがそろって開花していた。手をあげないと仲間はずれになるからと、無理して咲いているような感じがするサクラだった。

 くらべて山里のサクラは個性的だ。教室をぬけだしたり、居眠りしたり、あるいは机に落書きする悪ガキさながらに、白かったり、桃色がかったり、枝垂れや八重になったりと、それぞれ勝手で自由で、みんなで一緒に咲くつもりはまるでないヤマザクラたちがひどくおもしろい。
 そんな一本の八重サクラが咲き出すころ、芽出しや種まきをはじめる目安としている。

 わが家をふくめた山里では、何はともあれ里芋を第一に栽培する。やや湿り気の多い地質は、竹の子や大根、あるいは里芋などの根菜類にむいているようだが、なにより里芋には猿の害がないのがいい。
「喰ってみたら口のまわりがかゆくなるんでないかい」
 などと土地っ子が解説してくれるが、わが家では、猿害除けを第一に菜園計画を考えることにしている。

 どうやら猿どもは、親子や仲間同士で学習しているようだ。一度懲りたものには手を出さないようだし、見たこともない品種は狙われにくい傾向がある。しかし、いずれは熟しどきや喰いどきをマスターされてしまうわけで、そうした猿どもの裏をかくような新品種を探すことが多い。

 たとえばいまの時期、青々と葉を茂らせているニンニクだが、これも猿の被害を受けない。ときおりネギと間違えて引っこ抜かれるが、一度囓ってみたらその辛さと臭さにコリゴリするらしい。鹿やイノシシにも敬遠されている様子だ。

 カボチャは猿の大好物だが、同種のコリンキーやバターナッツは好まないらしい。生食用のコリンキーは、大して甘みがないのが理由らしく、皮が固くて形が変わっているバターナッツにもほとんど手を出さない。

 そんなこんなで今年の菜園は、里芋、枝豆、落花生、コリンキー、ズッキーニ、バターナッツ、ピクルスキュウリをラインナップしてみたが、相変わらずのアマチュア栽培だからうまく行くかどうか、ともあれ5月末の定植めざして今年の農作業がはじまった。