脚部に納める箱も8個となると、部材を揃えるのも容易じゃなく、予定していた薪原木からのクリ材はあきらめる。製材されて幅の合ったナラ材を挽き割りし、自動ガンナで12ミリ厚に調整したあと、前後板と左右板の計32枚+予備5枚ほどをつくるのに1日近くかかった。これに底板に加えなくちゃならない。
箱には取っ手が必要だろうが、引き出し用の金具やツマミを使うと出っ張るのが気に入らず、指が入るよう長穴を空けることにした。手間はかかるが、購入費用がないのがなにより
まずフォースナ―ビットで穴を二つ空け、ジグソーで長穴に加工、トリマーに取り付けたボーズ面で丸く削り、さらにサンドペーパーで仕上げるという手順。両手で持てるよう二つ空けるつもりだったが、前板のみに省略する。
いよいよボックスジョイントを刻む。ポーターケーブル(PORTER CABLE)製のダブテール・ジグ(DOVETAIL JIG)を使用するが、いい機会なのでマニュアル風に順を追って書いてみる。
ダブテール・ジグにボックスジョイント用のテンプレートを使い、ルーターに1/2インチのストレートビットを装着しておく。
①削る板と同じ厚さの予備の板を上部クランプに乗せてクランプする。テンプレートをセットして、左右にあるノブできっちり固定する。
②切削する板を、縦位置になる下部クランプを使ってテンプレートの左側にセットする。そのときテンプレートのフィンガー(指)に対して左右対象、つまり指からの出が左右同じになるようキッチリ計る。長い物差しだと計りにくいので、私は古いメジャーの切れ端を使っている。
③Tハンドルレンチを使い、あらかじめ左に寄せてあった黒色のオフセットガイド(B)を切削板まで移動させる。これで何枚でも同じように切削できる。
④上部クランプをゆるめ、予備の板を切削板にピッタリ合わせると、切削時の欠けを予防できる。
⑤テンプレートの左端(⑥の矢印部)にあるビット深度ガイドにルーターを乗せ、ビット刃の出を決める。これによって切削深さが決定する。
⑥検索した動画よって違うこともあるが、板の右端から削りはじめるのがスムーズだった。テンプレートに沿ってゆっくり移動させるが、私の場合、右指に押し付け気味にしたほうがきれいに削れた。あるいはビットとテンプレートの相性から来るのかもしれない。
⑦あわてずゆっくり削る。写真のように予備の板まで削れて欠けを防止している。またルーターの回転速度は一番速くしたが、もしかしたら板材の硬さによって変えるのかもしれず、要研究としておく。
⑧削りおえた状態。②で計ったように左右端の削り幅が同じになっている。削り終えた板材を外すが、オフセットガイドの位置を保ったまま8組の前後になる板16枚を切削した。
⑨削り終えた板をテンプレートの右端にセットする。そのさい予備の板も移動させておき、右オフセットガイドもゆるめて右端に移しておく。
⑩削り終えた板の凸部を指の間に入れ、その中央になるよう同じようにメジャーで計って固定する。
⑪右オフセットガイドを板に接するよう移動し、固定する。
⑫削り終えた板を外し、新しい板(左右になる板)をオフセットガイドと接するようセットする。上部クランプの予備の板とも隙間がないはずだ。
⑬同じように板の右端からゆっくり削りはじめる。
⑭仮組みした状態。すこし窮屈だが、ボンドを塗ると簡単に入る。仮組みなので凹みぎみだが、じっさいにはピッタリしている。逆にすこし出っ張らせたほうが、修正時に削る面が少なくなると、ビット深度を深くすることもある。
とにかく箱8個には4面の板があり、しかも両側を切削するのでかなりの作業量。むろん切削クズも大量になり、しかもルーターの手前に吹き出すので大変。前掛けやゴーグルを用意するんだったと後悔する。
つづいて接着に入る。ボンド塗りには歯ブラシが便利。順番を違わぬよう組みあげ、形を崩さぬようクランプで固定する。しかし、ひとつの箱にこれだけ使用するのでクランプが足らない。
そこで荷台用のゴムバンドを利用した。きつめの輪にした2本をかけ、さらに木片を挟み入れて締め上げる。.ゴムなのでずらしたり浮かせたりすれば、ボンドの拭き取りも簡単。
ゴムバンドをかけるとき、中板代わりの十字にビス止めした板を利用すると形が崩れず、内側のボンドの余りも拭きとりやすい。これだけで直角になるはずだが、念のためスコヤ(直角定規)で確かめておいた。
こうした状態で一晩乾燥させた。
ベルトサンダーやオービタルサンダーで仕上げたあと、底板を入れる段付けを作業する。
こうした箱状の切削にはルーターテーブルが便利。箱の内側を時計回りに削ってゆく。使用するのは頭にベアリングが付いたルータービットだが、ベアリングを交換できるこのビットなら、板厚に合わせた段付け幅が選べるのが便利。
ルーターでは角がまるく削れる。ノミで直角に彫ってもよいが、ともすると段が欠けやすい。底板を丸めたほうがはるかに簡単かつ安全。
寸法にあわせた2枚をボンド接着するが、念のため細クギで止めておいた。
かくて各部の加工を終了。次回は組み上げとオイル塗りをお伝えして完成させる。