ソファをつくろう・③

 ソファの「ひじ掛け」は、一番目立つ部分だ。しかも常に体に接し、手や指で触っていることが多いから、ていねいに仕上げなくちゃならない。製作はできるだけ簡単にしたいが、グラスやカップが置けるぐらいのスペースがほしい。

 そんなコンセプト(こころづもり)で考えたのは、底のない箱のような形。いかにもシンプルだが、ソファの一枚板と同じクリ材を使い、組み方に工夫を凝らし、最後のオイル仕上げで木目が引き立てば、けっこう様になるはずだ。

 まず固定方法を考えなくちゃならない。ナラ材などの堅木に鬼目ナットを埋め込み、ひじ掛け側の木組みとはしご状の側板を挟みこむ方法を採用した。ソファ側面のはみ出したウレタン部分を測り、すこし押しこんだ形になるようスペーサーを計算し、2か所で固定するとぐらつかない。

 鬼目ナットは丈夫なツバ付を使ったが、見えない内側になるので、長ネジのサイズが合えば埋め込まなくてもいい。また長ネジ側にはワッシャをかませれば、より強く締め付けられる。

 箱状の接合には、ポーターケーブルのダブテールジグを使い、ハーフ・ブラインド・ダブテールとボックス・ジョイントを試した。

 ボックス・ジョイントは、フィンガー・ジョイント、あられ組みとも呼ばれる継ぎ方式。継ぎ手の断面があらわれて強度や木工感たっぷりだが、2枚それぞれ別に加工する必要がある。ジグを使用すれば正確さに問題はないが、削り量が多いので閉口した。

 ハーフ・ブラインド・ダブテールは引き出しなどに使われる方式だ。ジグに2枚の板をセットするので、一度の切削ですむのが最大のメリットだが、板のセットを間違えると組みあがりが違ってしまう。くわしい方法を以前に配信してあるので参考にしてほしい。

 そう言えばボックス・ジョイントはまだ記事にしていない。いずれ『つくる暮らし・木工編』を配信するさいには詳細な説明を入れるつもりだ。

 組み上げにはビス類は一切使っていない。下支えの横板はビスケット・ジョイントを使用し、すべての接合部にボンドを塗り、いちどきに組み上げてしまう。接合が固いとき無理に叩きこむと、ジョイント部が欠けたりする。クランプと当て木を使ってゆっくり締め付けるのが安全だろう。

 ボンドのはみ出しは丁寧にふき取り、完全に乾かしてから仕上げ作業に入りたい。接合部の角はルーターで丸く削り、ペーパーで仕上げた。

 最後にオイルを塗る。やや乾いたら耐水ペーパーをかけ、削りカスを木目にすり込んで、再度オイルを塗った。クリ板の木目や切断面には、オイルがしみ込んで効果的になったように思う。

 仕上がりはこんな感じ。ソファとしては普通だが、フラットにしたときのオリジナル感はちょっと面白い。


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