作業室の掃除ついでに、ふと思い出してベルトサンダーを修理した。格安の小型機で、軽くて扱いやすいので結構多用していたが、ときとして作動不能を起こすのが難点だった。しばらく放置したりすると起動するところから、スイッチまわりの接触不良だろうと見当はついている。
それにしても最近、木工技術の劣化をつくづく感じる。以前ならカンナで仕上げるところを、ついついサンダーを手にしていることが多い。たとえばカンナでの仕上げは、ほんの5分ほどですむのだが、その前に刃研ぎが欠かせず、砥石や水を用意したあと、少なくとも30分の研ぎ作業を要する。それでたった5分というのだから間尺にあわない。
そうした手間暇を惜しむ気持ちがサンダーに向かわせるのだろう。仕上げは断然カンナのほうがよいのだが、ほとんどの場合、オイルフィニッシュで仕上げるようになる。そのさいのオイル研ぎを丁寧にすればカンナ仕上げと変わらない、という事情も隠れているのかもしれない。
ま、技術の劣化というより、気持ちの劣化とするのが正しいか。
ともあれサンダーを分解する。スイッチを格納するカバーは、まず7本のネジを外し、反対の駆動ベルト側の3本をゆるめる。なお3本のうち1本は長さがちがうので覚えておいたほうがいいだろう。
カバーをドライバーの先などでこじ開ける。スイッチ部とモーターだけの簡単な構造で、一見したところ断線等は見られなかったが、スイッチから出た1本のケーブルが所定の位置から外れているのが原因のようだった。
スイッチを通った白ケーブルの先が、宙ぶらりんの状態になっていた。ケースにある切れこみから外れていたためで、ケーブルの揺れ具合によってはスイッチ内の接点が傾いて接触不良を起こすのだろう。
結局、切れ込みにケーブルをきちんと収めて修理は終了。そのあとの導通テストでもなんら支障は出ないから、たぶん組み立て不良だろうと思われるが、あるいは作業のさいの振動で外れてくるのかもしれないので、ケーブルを収めた切れ込みに、接着剤を盛り付けておいた。いくらか外れ防止になるだろう。