やぎ糞堆肥

 あるいは時期遅れなのかもしれないが、わが家の堆肥づくりは、毎年、春にさきがけた仕事として行なっている。やぎ放牧場に立っているケヤキの落ち葉と、二匹のやぎ糞を利用した堆肥で、毎年の畑仕事に利用しているのだ。


 セルフビルドしたころには直径15センチほどしかなかったケヤキだが、20数年も経つとかなり大きくなり、わが家のシンボルツリーとしての存在感を十分発揮している。そのぶん落ち葉も大量になっているわけで、毎年の落ち葉掃きのころになると、ついつい梢を見あげてため息がでる。
「いっそ伐採して薪にするか」
 とつぶやいたりするのは、年々、身体にこたえる作業になっているからだろう。軽トラック二台分ほどもかき集め、やぎ小屋近くに積み上げておき、雨ざらしのまま冬を越す。

 本来なら、積み上げたところに水を十分そそいで「踏み込み」をすると、早く腐葉土になるらしいが、急ぐ必要もないのでそこは省略。
 冬の間に貯まりにたまったやぎ糞と落ち葉に、発酵促進剤のコーランに米糠を混ぜたものを交互に積んでゆく。コーラン1に米糠5倍との割合らしいが、このあたりも適当。
 初めのころは、やぎ糞、落ち葉、コーランだけて積み上げていたが、3年ほど前から少量(やぎ糞の三分の一ほど)の土を加えている。土にふくまれている土壌菌も利用する方法らしく、このほうがよく発酵するようだ。

 またビニールで覆ったほうが発酵がすすむようで、50~60℃の温度に達したら切り返しをして空気にふれさせるのだが、それも適当。温度は測らないほうが多く、夏までに2~3度気がむいたら行なっている。そのさい過リン酸石灰を加えよ、と書いた資料もあったが、余計なような気がして使ったこともない。

 こんな調子のほとんど適当仕様の堆肥づくりだが、秋をむかえるころには、ほとんどの落ち葉は原型をとどめていない。つまりは腐葉土化したのだろうと、これまた適当に判断して、その年のニンニク植え込みから肥料として使用している。
 まったりと寝そべっているやぎを見れば、紛うことなくニンニク体型。そのせいか、わが家のニンニクは味も量もなかなかの出来で、かなり料理に使うほうだが、ほとんど買うことなく収穫をむかえることが多い。
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