やっと秋……との思いが強い。なにせ今年は、梅雨明けが7月末にずれ込んだあと、連日猛暑の8月を過ごし、9月になってもこれでもかと残暑がつづき、台風通過後の35℃超えにはうんざりさせられた。
そうした異常気候も秋を迎え、小さな菜園ながら収穫がつづいている。
デッキでの鉢植え菜園では、例年ミニトマトを中心に栽培している。2020年は1本だけ購入した苗から、脇芽挿しで3本ほど増やしたほか、F1種のミニトマトから自家採種した苗を10本ほど育てた。
雨つづきのため成長はかんばしくなく、梅雨が明けたころ、1本の購入苗からボチボチ採れ始めたが、挿し芽や自家採種の苗はようやく花がつきはじめたばかり。
その後の猛暑襲来で一斉に成長することになるが、なにせ鉢植え栽培だから水やりが大変。トマトだからすこし乾燥気味に育ててもよいが、ちょっと油断すると葉が萎れてしまう。1日置きに底からしみ出るぐらいの大量給水が必要だった。
そうした1ヶ月を過ごした甲斐あって収穫は順調。いや、順調すぎて大変。毎日数十個も採れるうえ、大粒を選んで自家採種したのでミニトマトと思えないほどの大きさ。生食ばかりでは飽きてしまい、肉巻きやフライにしたり、味噌汁やスープにしても追いつかず、ドライトマトやケチャップづくりで毎日いそがしく消費している。
ちなみに赤色のほか黄色いミニトマトが混ざっているのは、どうやら自家採種した苗のようで、遺伝上の「先祖返り」ということか。
どうした理由からかわが集落では、ナスをほとんど作られていない。どうも病気になりやすいようで、あるいは地質が関係するのか、地植えを試しても実なりも少なく形もわるい。いろいろ調べてみたところ、ナスは水気を欲しがるくせに過湿に弱いようで、風通しよく育てる必要があるらしい。
そこで風が通るデッキでの栽培を試してみた。単為結果性(虫による受粉がなくてもよい)で、へた部にトゲがない「PC筑陽」という品種を選び、種から育てた。もちろん自然育苗だから成長が遅く、9月に入ってようやく実が肥りはじめた。
鉢植え栽培なので大した収穫はないが、実はやわらかく、あんがい美味。涼しくなって実も多くつき始めた。ただし肥料を欲しがるようで、10日に1度、ひとつまみほどの化成肥料を与えている。
今年はヘアリーベッチによる叢生栽培を試した。ヘアリーベッチの雑草抑制、根粒菌による肥料効果のほか、草むら状態にすれば、猿どもに気づかれない「目くらまし効果」も期待しての実験だった。
なんだか能天気すぎるか、とも書いておいたが、結果を先に言ってしまうと、まったくその通り。ほぼ失敗の実験に終わった。
ヘアリーベッチが雑草を抑制したのは確かで、テントウムシなどの害虫天敵も多く、バターナッツ・地植えキュウリなどの生育もわるくなかった。ところが梅雨明けごろにヘアリーベッチが枯れはじめると、夏草が一斉に芽吹き出し、すさまじい勢いで成長した。
つまり根粒菌による肥料を吸い上げての繁茂だったわけで、幾種類かの苗は夏草に埋まってほぼ全滅。成長のよかったバターナッツだけが、かろうじて収穫をむかえられたが、例年より数はすくない。とりあえずハクビシン除けの保護かごを被せておいたので「目くらまし効果」とのかかわりも不明。
一緒に植えていた地植えキュウリは、せっかくの実なりも草に埋れて発見出来ず、ほとんどがお化けキュウリと化してしまった。そこでリベンジとばかりに秋成りキュウリを植えてみたが、まだまだ実は小さく、はたして収穫までたどりつけるかこれまた不明だ。
そんなこんなで失敗ばかりだが、まったく懲りずにあらたな実験と、「子持ちタカナ」を種まきした。冬のころ脇芽を収穫するもので、さわやかな苦みが特長らしい。
去年、冬物野菜に「ハニーケール」を試してみた。甘みのある大きな葉がなかなか美味だったが、猿にかじられたあと、ヒヨドリにも突っつかれて全滅している。くらべて「子持ちタカナ」は苦みが特長だから、ひょっとしたら猿もヒヨドリも嫌うかも知れない。そんな目論見での実験なのである。