ネットショップのコピーに「友達を失うかもしれません」などと書いてあったので、何となくクリックをせずにおいたが、100円ショップに行ったついでに、ついつい3匹ほど購入してしまった。
「いやよ、やめてね」
と奥さんからさんざん言われている猿対策だが、こうした事情から強行実施することにした。
ご覧のような代物だから、とりあえずは閲覧注意としておこうか。じっさい100円ショップのレジ係おねえちゃんに、まじまじと顔を見返されてしまったほどだから、これほど人に嫌われる存在はない。名前を書くだけで生きた姿を思いだすので、いっさい書かずに一文を仕上げることにする。
人ばかりか猿も同じらしい、との研究を読んだことがある。樹上生活獣にとって最大の天敵としての恐怖心は、かれらの脳内組織につよく植えつけられていると書いてある。他方、研究室で育った猿は怖がらないとの報告もあるから、じっさいに襲われたりするほか、仲間の猿から学習するのかもしれない。
こうしたことから猿対策に有効との説もあり、試した例がネットでも多く報告されている。ほとんどがオモチャを使用したもので、畑のあちこちに置いてみた結果は、効果あり、効果なしが半々ぐらいか。
置いた当初は怖がるようだが、そのうちに慣れてしまう。どうやら動かないところからオモチャと見破るらしい。頭のいい連中だからあり得る話だ。
そこで一計を案じた。いつもは見えない。しかし、苗を引っこ抜くと、ずるずると飛び出してくる。これには猿どももビックリするだろう。
そんな計画なら袋栽培が最適、とジャガイモに透明なテグスで結びつけみた。こうしてみるとオモチャながら愛嬌のある顔をしている、などと思いながらの作業だった。なんだか猿相手に遊んでいるふうにも見えるが、本人けっこう真面目に猿対策に取り組んでいるのだ。
ところが猿が全然あらわれない。まさか天敵の殺気を感じた、なんてことはないだろう。梅雨に入って雨降りがつづいているせいだと思うが、その間にも苗が枯れはじめたので収穫がてらに一つだけ抜いてみた。
ずるっと一緒に抜かれた感じは、オモチャと知っているのに気持ちわるい。知らなければなおさらだろう。猿もそう思ってくれれば成功なのだが……。一度抜かれた苗なので収穫はこんなものか。
育ったサツマ苗に結びつけておいた。テグスでは切れ易いので、今度は丈夫な水糸に変えてあり、黄色の糸が「閲覧注意」だよ、と奥さんに伝えてある。