何だか判じ物のようなタイトルになった。超芸術と菜園新事情、とまるっきり関係がなさそうな話題だが、わが家の敷地内では、ほんの隣り合わせに見られるのだ。
超芸術トマソン現象
赤瀬川源平さんらが提唱した芸術上の概念。存在がまるで芸術のようでありながら、その役立たなさ、非実用的な様子が芸術よりもっと芸術らしく、はるかに超えた存在として「超芸術トマソン」と呼んだ。
トマソンの語源は、元大リーガーで読売ジャイアンツに入団したゲーリー・トマソンに由来する。来日1年目は元大リーガーとしてそこそこ活躍したものの、2年目はまったくの不振をつづけながらも、不動の4番打者としての地位が与えられた。
まるで鮮やかな空振りを見せるためとしか考えられない起用方法だった。それは「不動産に付属して、あたかも芸術のように美しく保存された無用の長物」と定義した「超芸術」にぴったり符合するわけで、その名称として採用された。とここに解説されている。
じっさい芸術は、実生活にほとんど寄与していないものだけど、同じように役には立たず、なくたって全然困らない小説なんぞを書いていると、よくわかる概念だし、身にも詰まされる話題だ。
そんなことを思い出しながら、ヤギの放牧場撤去のさい出入り口ドアーを残してみたが、ポツンとそこに立ち尽くす様は、文字通りの無用の長物。そろそろ取り壊そうかと考えている。
ヘアリーベッチのアロレパシー
その10数メートル南側にわが家の菜園がある。ヤギを飼い始めてから家庭菜園なんぞを耕しているが、連年の耕作で土壌の力が衰えたのかもしれない、と緑肥効果のあるヘアリーベッチを播種し、非力な耕運機でも耕せるよう早めにすき込みした話題はすでにお伝えした。
その後、例年どおりに苦土石灰を撒いて再度耕し、2週間ほどのちウネ立てとマルチ張りを終わらせたが、ふと例年と様子が違うことに気がついた。雑草がまったく芽生えていないのだ。
例年なら耕して2週間も放置すると、雑草がもやし状に芽を出しているのだが、そんな気配がまったく見られない。菜園の端っこには、いつものように雑草が繁茂している。これはヘアリーベッチの雑草抑制効果としか考えられない。
ヘアリーベッチにアロレパシー(他感作用)があり、果樹園の下草抑制に使われることは知っていた。その抑制作用の多くは、ヘアリー(毛深い)と呼ばれるほど繁茂したベッチが枯れ、敷き藁状になるマルチ効果だと認識していたが、くわしく調べると少し違うようなのだ。
この記事によると、ヘアリーベッチには「植物生長阻害物質」があるらしい。「シアナミド」と名付けられた物質で、これまで知られてきたヘアリーベッチの耐虫、耐病、抑草作用のほか、生草を過剰摂取した家畜の中毒症も、このシアナミドの存在で説明できる可能性が高いと書いてある。
ちなみにシアナミドは肥料である石灰窒素に含まれるらしい。それでいて上記のような毒性があるのが納得できないが、苗を植えるとき、根が肥料には触れないように注意するが、あるいはこれと関連するのかも知れない。
ともあれ「植物生長阻害物質」というのは無視できない。まさか定植した苗が育たない、ということがあるのだろうか。シアナミドの抑制作用が「発芽を抑制」するもので、苗の「生長を抑制」するものではない、と願いながら数種の苗を定植した。