記録的な猛暑もようやく峠を越えたと思ったら、もうすぐ秋のお彼岸が来てしまう。かろうじて「暑さ寒さも彼岸まで」の言い伝えを破らずにすみそうだが、これは比較的涼しい日光でのこと。暑さがぶり返した地域もあるようだし、秋台風の襲来があればさらなる残暑復活があるやもしれない。
秋ジャガの苗づくりに使っている地下室は、例年なら25~26℃の室温だが、今年の猛暑で29℃近くにまでになってしまった。25℃を超えると成長がにぶるジャガイモだから、苗づくりに影響が出やしないか心配したが、どうにかこうにか間に合ってくれ、少しずつ植え付けが始まっている。
一番順調なのが、種イモを購入した「ニシユタカ」。一般的に秋ジャガイモは、種イモが暑さで腐りやすいため、小粒なのを選んで植え込む。しかし、入手した「ニシユタカ」はかなりの大粒。このまま芽出し作業をすると苗を分離するのが難しいし、ときには根を痛めてしまうこともあった。
そこで一部は芽部分を切り分け、切り口にストーブ灰をまぶしてポットに埋め込んだ。室温の低い地下室なら種イモが腐る前に発芽させられるかも知れない、との思惑によるテストだ。
結果はまあまあ順調で、大粒組、切り分け組あわせて20本以上の苗が育った。6個の種イモだから4倍近くになったことになり、気温の低下をみはからって土嚢袋に植え付けた。例によっての袋栽培で、猿除け・イノシシ除け効果を期待している。
いま一つ、去年の秋ジャガの植え残した「アンデス赤」からも、何本かの苗が育った。植え込んだポットに湿り気を与えたところ、干涸らびた根が復活し、枯れかかっていた芽が成長し、20本近くの苗取りに成功した。
成長が早く、9月に入ってすぐ土嚢袋に植え込んだが、台風一過の猛暑に遭い、徒長した苗の一部が枯れてしまった。残った10数本は、すこぶる順調に育ち、たぶん一番はやく収穫されるだろう。
驚異的な生命力は感激ものだが、うまく利用すれば種イモ保存に使えるかも知れない。
これら二つは、言わば予備的な苗作りで、春ジャガイモ3種からの苗取りを本命としていたが、いずれもうまく進まなかった。
たとえばジベレリンによる休眠打破をおこなった種イモのうち、「アンデス赤」にある程度の発芽・発根がみられるものの、植え付けするほどは成長していない。
その後、未処理の「アンデス赤」に発芽の兆しが見られたが、6月末の掘出しから約75日ほどが経過している。これがわが家産「アンデス赤」の休眠期間と見てよく、そのことからジベレリン処理による発芽促進は、1週間から10日ほどのようである。
ちなみに「グウエン」「さやあかね」に発芽の兆しはまるでなく、まだ休眠期間がつづいているようだ。これら3種の種イモは、成長しだい植え付ける予定だが、はたして霜が降りるまでに収穫できるか疑問だろう。
猛暑の余波がつづき、暖かい秋になりそうだが、長期予報ではラニーニャが発生しつつあるらしい。この現象のときは起伏がはげしい気候になりやすく、あるいは冬の訪れが早まるようだと、これら3種は収穫までたどり着けないことになりそうだ。