ケースを木製にした最後の作業と、取り外したパーツを組み直して起動させる。じつは最近、これに失敗して一台おシャカにしてしまった。
半年ほど前、メインPCの「勝手に再起動」に悩んだことをお知らせしたが、いよいよ症状が嵩じてしまい、セットアップして原因追及を、と考えたのがそもそもの間違い。その作業中、CPUクーラーを取り外したところ、どうしたことかCPUごとスポンと外れてしまった。
そう言えば当該PCを9年前に自作したとき、AMD製CPUは軽くひねって外す、と読んだことがあるが、それ以来の作業ですっかり忘れてしまった。固着したCPUを苦労して外してみたが、そのさいピンを曲げたか、それに気づかず再装着してボードを痛めたか、まったく起動しなくなってしまった。
CPU、マザーボードどちらの原因か、ことによれば両方交換だが、なにせ古い機種なので部品入手は難しく、費用も多大。そこで諦めて三千数百円でオークション購入してみれば、故障機とほぼ変わらぬ性能。もともと文章主体の使用だから、それで十分満足できている。
という前置きは、失敗したときの言い訳に聞こえる。ならば一層慎重な作業をすすめようと、まずはクーラーの古いグリスの拭き取りからはじめた。無水エタノールできれいに拭き取れたが、これが適当かどうかは定かじゃない。
クーラーの錆びようから古さが知れる。つづいてCPUも拭き取るが、装着されていたのはインテル製のCeleronG1610 2.60 GHz。いかにも低スペック過ぎると、Corei3-3220をオークション入手したが、2コア・動作周波数3.30 GHzの性能がたった300円+送料というのだから、まったくもって昔日の感。
ここまですべて手持ち材料で作業をすすめてきたので、この金額が今回の木製PCプロジェクトの総費用、という余談とともにCPUを交換、きっちりロックしてから、ボードを木製ケースに装着する。
分解のときに書き忘れているが、マザーボードを止めているのは、頭が星形のトルクスビス。適合ビットはT15だったと思うが、わからないときは大きな番号から試すのが、ビス頭を舐めない鉄則。
マザーボード8か所のビスを留めたあと、大きなCPUクーラーを取付けてしまうと作業のじゃまになる。そこで電源ユニットを先に装着し、主電源の6ピン、12Vの4ピン、さらにはスイッチや前USBユニットをそれぞれ色どおりに接続してしまい、ついでに内蔵電池(CR2032)も予備と交換した。
CPUにグリスを塗った。たぶん数年前の購入だろうけど、性能低下はないと判断。米粒大を盛りあげ、広げたりせずクーラーを装着したが、いちどきにきつく締めず、すこしずつ対角に締めるのがこれまた鉄則。
ついでHDD、DVDを換装し、システム起動にはSSDを使ったが、ATX電源とは違い、ボードの黒ソケットから配電される方式。専用の電源ケーブルを使用してそれぞれ接続したら、通信用のSATAケーブルもボード上のSATAポートーにつなげる。
このSATAポートは、色別になっていて青(6Gbps)、白(3Gbps)といった具合に通信速度が違う。互換性はあるが、システム用のSSDは一番速い青ポートに接続する。
それぞれの機器をキッチリ納め、ファンフードをセットすると、ケーブルを束ねて固定できるようになっている。写真では説明しなかったが、ファンケーブルの接続を忘れやすいので注意。
背面パネルに主電源、モニター、LANなどを接続したら、いよいよ電源投入。調整に苦労したチーク材の丸ボタンを押しこむと、LEDランプがチカチカ輝いて、無事に起動……
とは行かず「フロントUSBの2番が接触不良」とのメッセージ。ふたたび蓋を開けて接続プラグを点検する。どうやら緑色がUSB2番のようで、これを抜き差しして一件落着。
こうして木製パソコンを完成させた。まあまあの出来映えにおおむね満足だが、あくまで予備機なので客間に置くことになろう。
ただし新型コロナ禍の今日このごろ、重症化しやすい高齢者宅だから来宅は自粛してもらうつもり。したがって客間の木製パソコンなど文字通りの「不要不急」の品物ということになる。
それでも300円+送料でけっこう楽しめたから、あるいはメイン機かサブ機でもう一度つくるかも知れない。