納豆菌液をつくる

 いよいよ蒸し暑くなってきたので急いで「納豆菌液」をつくった。昨年の夏、栽培していたミョウガに病気が発生。楽しみにしていた「花穂」がスカスカになって食用にならなかったための対策だ。

 写真のような症状をネットで調べたところ、「いもち病」「根茎腐敗病」「葉枯病」などが該当しそうだが、はっきりとは断定できない。ただし、これらの病原は、いずれも「糸状菌(カビ)」ということが判明した。

 ミョウガはわが集落の特産として多く栽培され、夏の時期になるとキロ単位で買い求め、ミョウガ料理を大いに楽しんだ。ところが7,8年前から発生した病気により収穫はみるみる激減、ついにはミョウガ出荷組合の解散にまで追いこまれていた。

 そこでわが家では、高知県から種ミョウガを入手して栽培していたが、いつの間にか集落に蔓延した原因菌に感染していたのだろう。2年ほど前から病状があらわれはじめ、昨年になって大発生したということらしい。

 調べたところ薬剤による防除が可能なようだが、当然、農薬の使用は本意ではないわけで、症状の出はじめに消毒効果のある「竹粉」を散布したが、あまり効き目がなかった。そこで今年は「納豆菌液」を試そうと計画した。

 カビ予防に納豆菌は定評がある。現に風呂場に納豆菌の入った予防剤を置いて、その効果を確かめてある。むろんミョウガの糸状菌に効果があるかは定かではないが、試してみる価値はありそうだ。

 ネットで調べた納豆菌液のつくり方を参考にさせて頂いたが、納豆菌が病原菌をやっつけるわけではないらしい。カビ菌に取り付いて増殖しないようにするようで、予防する効果を利用することになる。つまり病状が発生する前に散布したほうが効果的ということになる。

 情報どおりに3種の納豆を用意し、3分の1ずつ1パック分取り分けた。10リットルの水は、カルキ分(塩素)のない井戸水がよく、水道水なら1日汲み置いて塩素を飛ばす。

 黒砂糖は水の1~3%とあるので200g、金魚飼育用のぶくぶく装置(エアーレーション)は、ホームセンターで購入、価格は1000円弱。そのほか保温用のヒーターがあると良いらしいが、ヤギ飼育に使った温熱ヒーターで代用する。

 30℃に温まった水に黒砂糖を溶かし、よくネバらせた納豆を溶かし入れる。あとはブクブク装置で空気を送りこむと、好気性の納豆菌が増殖してくれる。

 増殖状態はPHで判断。スタート時は中性7.0を示し、15時間経過した翌朝は6.5ほど。ネット情報ではPH5.5で完成とあるが、さらに一日置いても6.0ほどにしかならない。使用した納豆の種類か、量か、あるいは水温が低かった所為かもしれないが、あたりに納豆臭が漂い、かなり泡立っているので増殖しているのは間違いない。

 そう言えばカメラマンのころ、造り酒屋を取材したさい、3日は納豆を食べないよう念を押されたことがある。さらには日光の山間部で自給生活をしている友人が、採取したカエデの樹液を煮詰めているとき、培養している納豆菌が混入して、糸を引くメープルシロップになってしまったらしい。

 そうした納豆菌の強さがカビ菌を抑えこむのだろう。そうか、地下室で納豆菌液をつくれば、カビ臭さも取り除けて一石二鳥か。
 そんな働きを期待しながらジョウロで散布して置いたが、納豆カスが先端のハス口につまるので布で漉した方がよかったかもしれない。
 このあと夏の間や収穫近くまで数回散布する予定。写真のようなミョウガを収穫できるかは追ってお知らせする。


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