なぜか猿が来ない、と先週書いたけど、そのインクが乾かぬうちに(完全な死語。いまやパソコン執筆でインク使用は40年前の記憶)、やはり来ました、やられました。袋栽培のジャガイモ畑のむざんな状況に、しばし呆然。
ただし猿の仕業ではなさそう。近くの土の掘り跡、その付近の足跡からどうやらイノシシ。昨年荒らされた里芋畑はワイヤーメッシュで囲んで無事だったけど、かわりに袋栽培ジャガイモが狙われた。
近くの掘り跡は、どうやら野良ジャガ(掘り残しの小イモから発芽)のようである。あるいは収穫できるか、と抜かずにおいたものだが、そうしたケチ精神が仇になった。
つまりイノシシは、そこでジャガイモの存在を知り、ついで袋内で育ったイモを嗅ぎつけたのかもしれない。そう言えばトリュフ探しには豚が使われる。
ともあれ一度目をつけたら、毎夜のように襲来して食べ尽くすのがイノシシの習性だ。失意なんぞは払い飛ばし、梅雨空もかまわず出陣する。これ以上の被害を防止するため、急いで収穫することになる。
植え付けや草取りなんぞは一切しないけど、収穫となると俄然張り切る奥さんも、ごらんの完全装備で手伝ってくれるので大助かりだ。
かなり丈夫な土嚢袋だが、こんな感じに破られている。猿どもでは到底無理な力技だし、破られ具合から牙のある大人のイノシシか。破れ目から鼻をつっこんでイモを探し当てるのだろう。袋内はきれいさっぱり食べられている。
しかし倒されただけなら袋内のイモは無事のはずだ。これを収穫できるところが袋栽培の最大メリット。普通の地植え栽培では全滅間違いない。
袋の口を縛った紐をほどくと、育ったイモが顔をのぞかせている。ジャガイモは苗からのびるストロンと呼ばれる地中茎にイモが育つ。浅い部分なので土寄せが欠かせないが、これを省略できるのも袋栽培のメリットだし、当然、草取りの必要もない。
植え付けた苗は「アンデス赤」。丈夫な品種でやや小粒だが、この程度の大きさにはなり、ひとつの袋で平均4,5個のイモが育つ。写真には色のあせたイモが写っているが、これが種イモ。3本ほど芽を採取して別の袋で栽培し、その残りを植え付けたものだ。
かくて収穫を完了させた。いますこし育てれば粒が大きくなったろうが、まあまあ、この程度の収穫量なら仕方が無い。
本来ジャガイモの収穫は、三日ほど晴天がつづいたあとがベストだが、日光あたりでは梅雨時と重なることが多い。まして今回は、小雨の中の緊急収穫となっては最悪。そのぶん保存性が落ちてしまうが、扇風機で風をおくって乾かせば多少違うかもしれない。
ちなみに上段の3箱が「アンデス赤」、右側2箱の薄赤いのは「さやあかね」、左2箱はフランス品種の「グウェン」。どれも種イモは10個ほど購入したが、いずれも自家採種できるイモ品種。うまく休眠打破できれば、秋ジャガの種イモにつかう予定。