昨年、里芋がイノシシに全滅させられた。里芋が猿害を免れるのは、たぶんかゆみ成分のためだろうけど、イノシシは鈍感にもまったく感じないらしい。
この写真はヤギ柵のむこうをうろついていたのを奥さんが撮影したものだが、大きさは50センチほどか。いわゆるウリ坊より少し成長したぐらいだろうが、丸々と肥った感じが見てとれる。
隣集落がイノシシ害に遭った話は聞いていたが、わが集落だけが無事というわけにはいかず、わが家の菜園にもとうとう出没。定植したころ種芋を掘り返され、それを植えもどして成長させたところを再度襲撃され、きれいさっぱり食べられてしまった。
足跡をみると偶蹄目とはっきりしているし、大きさは前述写真のイノシシより大きいと思われる。たぶん味をしめただろうから毎年の襲来を覚悟せねばならないだろう。
10年ほど栽培していたのは石川早生という品種。やや小さめで丸い形は、塩ゆでしただけの「衣かつぎ」で食すると絶品だった。
今回、あたらしく種芋を導入することになるので、同じ種類にするかとも思ったが、ふと思いついて山形産の里芋をネット購入した。いわゆる「芋煮」の本場の味を試してみようというわけだ。
芽出しのあと定植した様子は先週にお伝えした。例年とおなじように黒マルチを張り、20個ほどの芋をやや深めに埋め込んだ。これだけで草取りも土寄せもしないズボラ栽培だが、夫婦ふたりが楽しむ程度の収穫がある。
今年は芽を下にした「逆さ植え」を試したが、はたして結果はどうなるか。
ともあれイノシシ防除を施さねばならない。電気柵か鉄のネット柵が一番だろうが、ヤギの放牧場のようなわけにはいかない。里芋は連作を嫌うだけに、毎年、栽培場所を変えたほうがいいのだ。
そこで土間コンクリートに使用するワイヤーメッシュを柵代わりに利用することにした。近くのホームセンターでφ5㎜×150㎜×150㎜のメッシュを入手。たまたま5㎜鉄棒にねじりを入れた製品だったが、防除の性能には関係はないはずだ。
1メートル×2メートルのメッシュを6枚使い、長方形の柵を組みあげると、90センチ幅の黒マルチを使った4メートルの畝を2本囲める。
4メートルの中間に単管杭を打ち込み、それぞれ左右にメッシュを立て、やわらかいアルミ針金で縛り付けたが、たまたまの余り物なので、ふつうの針金でもかまわない。
メッシュの下側は、足で踏みつけて土に固定させただけだから、大型イノシシの突進を止めるほどの強さはない。もし倒されるようだったら方法を考えねばならないだろう。
ちなみに角部分に杭はなく、メッシュ同士を縛り付けて固定してある。あまりに弱い部分には、異形鉄筋の杭を打ち込んで補強した。
こうして柵が完成し、定植した芋から芽が伸びてきた。つまりイノシシどもに種芋のありかを知らせるようなもので、そろそろ掘り返しに来るかもしれないが、いまのところ出没はなく、どうしたことか猿の襲来もない。
今年の暖冬ゆえ山に餌が多いはずと推測したが、まさか猿やイノシシどもまでが外出自粛を実践しているわけではあるまい。
このまま被害がなければ幸いだが、いずれ忘れて安心したころに被害が露わになるのは、獣害も新型コロナも変わらないと考えている。