イモ、いも、芋・2020

 かなりのイモ好き、と自認している。毎年3種類のイモを栽培しているが、とくにジャガイモが好みのようで、都会から移住した当時はまるで興味がなかったはずの家庭菜園で、最初に手がけたのがジャガイモだった。

 芽が出て食用にならなくなったイモを、試しに地に埋めたところ見事に育ったのがきっかけ。いまでは春植えジャガイモでは飽き足らず、日光のような寒地では無理とされる秋ジャガイモを手がけるようになったが、なにより猿害に頭を悩ませている。

 数年前までは、それほどの被害でもないので「ま、野生の取り分かな」などと気取っていたものだが、集落に耕作放棄地が増えるにしたがい、わが家の菜園が集中攻撃されてしまい、いまでは全面対決を余儀なくされている。

 猿対策のために考えた土嚢による袋栽培は、口元を縛ってしまう独特な方法で、苗は抜かれてもイモは取れないぞ、という「嫌がらせ栽培」だ。加えて袋に仕込んだオモチャのヘビによる「びっくり装置」などの対策を講じているが、どのくらい効果があるのか計りがたく、未だ実験の域にとどまっている。

 とは言いながら、それなりの収穫をあげているのも事実で、今年の苗も順調にそだって花が咲き始めている。どうやらアンデスレッドの花のようで、そのほかグウェン、さやあかねの3種を栽培した。
 一部分、白の土嚢袋を利用してみたのは、袋の黒白でイモの育ち具合が違いがあるかを確かめるためだが、あるいは日光が透過してイモが緑化するかもしれない。

 そのなかにCsと書き入れた袋がある。セシウムが多いとされる薪ストーブの灰を混入して栽培しているもので、本来、ジャガイモのよい肥料とされてきた草木灰をふたたび利用するための実験だ。収穫したイモを放射線検査する予定にしており、くわしくは稿をあらためて報告する。

 さつまいもの苗には、毎年感心させられる。伸びたツルを切っただけの根も生えていない苗が、しっかり根付き、夏の暑さに負けずぐんぐん育つのだから不思議というほかはない。
 根も葉もない話けど、うまく育てて小説に仕上げてみようか……などと思ったりする。

 因みにさつまいもはヒルガオ科。ナス科のジャガイモとは連作障害がなかろう、と独り決めして、秋ジャガを収穫した土嚢袋にそのまま植えてみた。はたして無事に育つだろうか。

 里芋は、縄文のころに渡来したらしい馴染み深い品種だ。わが集落のように湿気の多い土地でよく育ち、かゆみ成分のためか猿も食わないが、イノシシの大好物というのだから困ったものだ。

 昨年はみごとに荒らされて全滅、ひさしぶりにスーパーで里芋を買ったりした。そこで芋煮の本場山形産の種芋をネットで購入。ポット植えを苗帽子で暖めてておいたが、そろそろ芽が出て来たので畑に定植した。

 ふた畝に黒マルチを張り、15㎝ほどの穴に種芋を埋め入れた。もう一列の畝では、逆さ植えを試した。芽が深くのびるので収穫が多い、と聞いての実験だ。

 ところで掲載した写真でわかるように、畝の外側に2本の単管杭が打ち込んである。イノシシ除けの鉄柵を設置する準備だが、これも稿をあらためてお伝えしよう。

おまけのトピックス
 ようやくファーベが収穫出来た。生食ソラマメで数年前から栽培しているが、昨秋の定植どきに猿襲来がつづき、ヤギ小屋で冬越しさせたのがよくなかったか。苗の育ちがわるくて実の付きもよくなかったが、いつものように羊のペコリーノチーズを添えて味わった。


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