春ジャガイモの芽出し

 春植えのジャガイモの芽出しは、例年なら三月の末ごろ、種イモを日射に当てることからはじめる。いわゆる「浴光催芽」という作業で、イモを発芽させてから定植すれば、その後の成長がそろい、かつ早くなるというメリットがある。

 わが家のジャガイモ栽培は、一にも二にも「猿対策」ということで、3年ほど前から土嚢を利用した「袋栽培」を行っている。そのくわしい方法は、このブログで何度もお伝えしているが、苗を大きく育ててから土嚢袋に定植するのを特色としている。

 すでに購入済みの種イモがある。フランス産の「グウエン」というめずらしい品種のため、入手がやや難しいのでネットで購入したものだが、地下室の段ボールで保存してあった。ご承知の暖冬だからと2月末に点検したところ、ご覧の通りの発芽状態。まるでモヤシと化してしまったが、このまま廃棄するつもりはまるでない。

 発芽はしていても土嚢袋に定植するのはちょっと早すぎるし、第一、こんな弱々しい苗では成長はおぼつかない。とりあえず芽を折らないよう袋から取り出すのが一苦労。これをポットに植え付けて日射に当てるが、まだまだ夜はマイナスまで冷える日もある。
 そこで屋根緑化したヤギ小屋に置いてある。屋根上の土のおかげでかなり暖かく、種イモが凍る心配はないのだ。

 窓際において浴光させて2週間。モヤシ苗もかなり緑化してきたので掘り出してみると、発根の状態もわるくない。ここまで来れば苗として使えそうな感じになってきた。

 発芽したイモは、種イモ付きと根付き苗に分類。苗の付いた種は、ナイフで分割し、腐らないようストーブ灰をまぶしてから、再びポットに植え付ける。このまま15㎝ほどの大きさになるまでヤギ小屋で育苗する。

 根付きの苗も同じようにポットに植え付けるが、なにせ小苗なのですこし心配。ポットに植え付けて3日が経過したが、枯れた気配はない。

 ほかに2種類の種イモを発芽させている。写真上段の「アンデス赤」は、秋ジャガイモとしても栽培しているが、情報によれば発芽が早いため2期作も可能らしい。下段の「さやあかね」も小粒なタイプだが、粉質でコロッケやサラダに向いてるらしいと初めて栽培する。

 今回、試している「グウエン」「アンデス赤」「さやあかね」の3種類は、疫病やセンチュウに抵抗性があり、繰り返し栽培しても収量が落ちない、との福島の育成家・菅野元一さんのレポート(現代農業、2020年2月号)を読んだのがきっかけ。
 この栽培を成功させて、ジャガイモの自家採種を確立させたい、と目論んでいる。