材料のクリ板や角材は、乾燥した挽き材から荒取りし、自動ガンナやベルトサンダーであらかじめ仕上げておき、すべて組み上げてからオイルを塗る。部材の組み上げにホゾはなく、すべてビス止めなので、作業としたらごくごく簡単だ。
ビス1本で固定するため、部材を段付きにしたり、ボンドを併用するなどの補強対策を施してある。またボンドを塗った部材は滑って動きやすい。ビス止めのさいには、あらかじめ下穴を空けたり、クランプを使うなどの工夫を考えたい。
ちなみにビスは堅木用を愛用しているが、当然、突き出ないよう部材の厚さを決め、ビス頭が見えないよう内側になるほうから止める。
特別なボンドは使わない。低価格の国産ボンドだと乾くのに多少時間がかかるようだが、強度そのほかに不満はない。はみ出した部分は、ぬれタオルでていねいに拭きとっておかないと、最後のオイル仕上げをはじいてしまう。
はしご状に組み上げたのは側板。前板はクリの一枚板を使用した。高さは16㎝、前板61㎝、奥行き68㎝とかなり大きく、引き出し部が入る背後は、太めのナラ角材1本で固定されている。
引き出し部の前板は同じくクリ材。側板、後ろ板はありあわせのヒノキを使い、底板はシナ合板をくぎ止めでごまかし、残り物のつまみを取り付けておいた。、
この引き出しは床に直接置くことになる。かなり大きく重さもあるので、直接すべらせると床を傷つける恐れがあり、使い道のなかった古い金属ローラーを取り付けた。
母屋建築のとき、丸太を動かすのにコロ代わりに使用したものだが、捨てずにおいたらこんなところで役に立った。
一応の仕上がりはこんな感じだ。実際に座椅子を乗せたみたところ、中央底部がややたわんだように思われたので、真ん中に補強の角材を1本追加した。
座椅子の固定は、底部にある鉄パイプと針金で結びつけた。座椅子を裏返し、セットした台の木枠にビスで止める。やや不格好だが、見えない裏側なのでよしとする。
組みあげてテストしたが、ほとんど問題はなく、座りごこちもわるくなかった。あとはクリ板や側枠をオイルで拭き上げれば完成だが、いまひとつしっくりこないのは、やはり「ひじ掛け」がないせいだろう。となればつくるしかない。