MT車冬支度

 MT車に乗り替えたことはすでにお話した。アクセルとブレーキの踏み違い防止が第一の理由だったが、統計によるとAT車より事故率が少なく、脳の活性化にも役立つといった情報にもかなり背を押された。

 やや面倒なペダル操作が運転に集中させる効果があるらしい。確かに私のような妄想癖のある人間には「漫然運転」による注意力散漫が事故につながりやすい。することの少ないAT車は、私にとって便利すぎるのである。

 先週、信州佐久から清里を経由して八ヶ岳山麓に行く用事があった。途中の野辺山は標高1300メートルを超える高地だから、積雪はともかく路面凍結は十分予想された。そこでやや早めながら冬タイヤを装着することにした。

 スノーチェーンやスパイクタイヤを使った記憶もあり、さらには日光に移住し、スタッドレスタイヤの時代になって30年、秋と春のタイヤ履き替えは必ずしているわけで、さして難しさを感じる作業ではない。それなのに運ぶタイヤがやたらと重く感じるようになったのは、当然ながら年齢のせいということになる。

 国産B社の新品スタッドレスタイヤを購入した。ただしホイールは中古品、しかもスチール製を使用している。
 いまやアルミホイールが普通だろう。軽くてデザイン性にすぐれているからだが、やや強度に欠けるきらいがある。かなり以前、積雪で見えない縁石にのりあげたさい、アルミ製のホイールを破損させてしまい、以来、冬タイヤはスチール製に装着と決めている。

 まず車止めをほどこしてから作業に入る。ジャッキを正しいジャッキポイントにあてて車体アップするが、まだタイヤが接地した状態でホイールナットをゆるめるのがいい。
 夏タイヤを外し、ブレーキキャリパーの錆び、ブレーキパッドの残り厚などを点検する。ついで冬タイヤに交換するが、ふたたびナットを入れるときは面倒でも指でまわすようにしている。急ぐためインパクトドライバーを使い、ネジをなめてしまった記憶があるのだ。

 ホイールナットは、車種によって決められた締め付け強度できちんと締める。足で踏みつけるほど強くするのは考えもので、すべてのナットを同じ強度で締めないとゆるみやすい。そのため20年ほど前から強度が一定しやすいトルクレンチを愛用している。

 交換作業をおえたら補修用品をチェックしておく。最近はスペアタイヤの代わりにパンク修理用品が用意され、簡単なジャッキ類も搭載されているが、万が一を考え、市販のパンク修理剤とクロスレンチを加えることにしている。

 ちなみに乗り替えたMT車は、下取りの軽自動車+車検費用で手に入れた走行距離5万㎞超の中古車だった。なにしろ販売される車の98%はAT車だから、やたら数が少なく、新車を注文しても半年ぐらい後になるようだ。

 ネットで探しまわり、埼玉県の販売店で入手したのは、若者むきのややスポーツ車に近いタイプ。そうしたMT車に黒いホイールを装着したので、80歳に近いジジイが乗るにはちょっと気恥ずかしい感じになってしまった。


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