悪ガキ復活か

 猿どもの跳梁が止まらない。朝方、荒らされたのを片づけて外出したら、またまた荒らされていた。あるいは別グループが入れ替わり立ち替わり襲来しているのか。やはり裏山のタケノコ不作が原因なのだろうか。春から初夏にかけては、餌になるものが案外少ないのかもしれない。

 集落もすっかり高齢化して、唯一あった田圃もイネづくりを止めてしまったように、あちこち耕作放棄地ばかり。そうした中でのわが家の菜園だから、どうやら集中攻撃されている気配もする。

 抜かれた後を点検する。袋を開けてみれば、小さな新イモが出来かかっている。この程度の大きさでは、苗とともに抜かれてしまい、食べられたイモもかなりあったようだ。いますこし大きく育っていれば、と口惜しさ倍増だ。

 先週、どこまで我慢できるか、などと書いたけど、行きがけの駄賃とばかりにサツマ苗まで引き抜かれると、すこしばかり弱気になる。

 はたして袋栽培は失敗だったのか。少なくとも今年の春ジャガの収穫は大して期待できないが、このまま撤退するのは口惜しいし、本意じゃない。抜かれたサツマ苗は植え直したし、何本かの春ジャガも残っている。

 ここで引っ込んではいられない、と猿どもへの対抗心を無理にも燃え立たせるところが悪い癖か。

 ついには前に衝動買いしたパチンコ(スリングショット)なんぞを持ち出して、ヤギ小屋の窓ぎわにセットした。
 ここからなら猿の襲来通路が丸見えだから、一度ぐらい痛撃を喰らわしてやらねば気が納まらないし、ひょっとしたら身にしみるかもしれない。

 購入したパチンコには交換ゴムがついていた。ならばと地下室の材料置き場から二股の枝を探しだし、あれこれ作業とあいなった。もちろん手製のパチンコをつくるためだが、はるか昔の悪ガキのころ、何台もつくったな、と思い出してしまい、ふと頬をゆるめたりする。

 こんな感じに仕上がった。どうだ、とばかりに試し打ちなんぞをしたりして、
「ほうほう、けっこう命中するもんだな」
 と悦に入ったりするうちに、いつの間にか猿のことなんか忘れているのに気がついた。


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