猿対策・袋栽培 ジャガイモ編②

 猿来襲!
 しかも連続だ。さすがにガッカリしたけど、多少なりとも対策効果がみられたので、ここでめげてはいられない。

 ところで二回目の植え込み分は、当初の計画どおりジャガ苗を約15センチほどになるまで大きく育て、これを3株に分離したあと袋に植えつけた。秋ジャガでのテストでは、種イモ付のほうが多少肥りがよかったけど、収穫そのものには大した差はなく、ひと株3個が平均だった。春ジャガではもう少し収量が上がるらしいとネット情報にはある。

 それぞれ土を入れた土嚢袋に植え付けるが、元肥として化成肥料8:8:8をひと握り施してある。また種イモより上の茎からストロンという脇芽が伸びてきて、その先が肥ったものがジャガイモだ。したがってやや深めに植え付け、たっぷり土寄せしてから袋の口を閉じてしまう。

 作業としてはこれで終了だ。あるいは葉の生育具合をみて追加の土寄せがあるかもしれないが、あまり葉が茂りすぎるとイモの肥りに影響するようなので、追肥はしないし、よほどの乾燥がなければ水やりもしない。

 そうしたところを猿に襲撃されたのだ。

 しかし、まあ、一本残らず、丁寧に抜きやがったものだ、と感心する。前回に書いたように、こうして抜かれるのは想定内だったが、現実に起こってみると、かなりなショックものだ。
 そして袋を開けて点検すると、種イモはしっかり残っている。つまり苗は抜かれてもイモにはありつけなかったわけで、これまた想定した「教育的指導」栽培の一環と、ショックを受けながらも納得したりする。

 ところが一回目の植え込み分は被害甚大だ。苗がすこし小さかった先行分は、昨年の秋ジャガと同様、すこし育ててから袋を閉じるつもりだった。ここに間違いがひそんでいたのだ。

 春ジャガの味を覚えている猿どもは、ひょいと苗を引っこ抜いてみたのだろう。遊び半分、試し半分だったかもしれないが、意外にもイモが付いていた。それはたまたま種イモつきの苗だったわけで、あらかじめ口を閉じておけば、種イモは袋の中に残されて発見には至らなかったろう。つまり小さな苗を植え付けたのが、そもそもの間違いだったわけだ。

 種イモの存在を知った猿どもは、「こいつは春から縁起がいい」と片端から抜きまくった。かくて被害は、すべての袋栽培におよび、種イモは一つ残らずかじられてしまった。

 まったくもってガッカリだが、ここで悲嘆にくれているようでは田舎暮らしはできない。優しいだけではダメだ。タフじゃなくちゃ生きてはいけない。


 抜かれた苗を放置すれば、そのまま枯れてしまうわけで、落胆をかなぐり捨てて作業開始。抜かれた苗を大急ぎで植えもどしてやり、水分を補給してやれば、あるいは蘇生してくれるかもしれない。
 まるでER(救急救命室)のような農作業だったが、翌日には枯れることなくが、青々と葉を茂らせていた。
 さらにつづくだろう猿との「仁義なき戦い」は、こうした抜かれたら、すぐに植え直すER作業で対抗する、といまは覚悟している。どちらがあきらめるかが勝負の分かれ道になるだろう。

 あるいは種イモにありついた成功体験が、猿どもを勢いづかせてしまったか。これまで荒らされたことのないニンニクまで囓られたのは、予想外の出来事だった。ニンニク料理好きの奥さんには、かなり衝撃だったらしく、しばし茫然の態……。

 もっとも数日後の再来襲には、ニンニクだけ囓られていなかった。胸が焼けたか、腹でも壊したか、だとすれば「教育的指導」効果のひとつの現われだろうから、それが袋栽培にも通じてくれるはずだ、とも思っている。
 まあ、いつもの能天気ぶり、ということでもあるのだが……。


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