英字キーボード

 モバイルPCにThinkpad X61sを使い、待ち時間の多い病院通いに重宝している。もう10数年も前(IBMからLenovoに変わったころ)の発売機種だが、SSD換装やメモリ増強で高速化すれば、まだまだ十分使える。抜群の耐久性や修理部品の入手、キーボードの打ち易さを考えると、いまのところ手放す気はない。

 先日、たまたまオークションでX61を見かけた。姉妹機種とあって共通部品が多いので予備機にするつもりで応札すると、スタート価格のまま落札。送料込みでたった2千数百円ながら、けっこう新しげだし、電源も入りBIOSも立ち上がる。ただしキートップにカナ表記がない。つまり英字キーボードだったわけで、これがため応札がなかったらしい。

 英字キーボードが人気、と聞いたことがある。スタバにモバイルPCを持ち込んでキーを打っている連中は、きまってカナ表記のない英字キーボードらしい。どうやらプログラミングにはカナは使わないから、その格好よさを真似たようだとも聞いたが、そうした人たちの多くは、Macあたりのスタイリッシュさを好むだろうから、武骨一辺倒のThinkpadでは似合わないのかもしれない。

 初めてキーボードに触れたのは40数年前のことになり、ワープロだったそれのキーボードは親指シフトというものだった。やがてJIS配列キーボードを使うようになるのだが、そのさいローマ字変換とカナ変換の選択を迫られたのを思い出した。

 ローマ字変換であれば、アルファベット26文字を覚えればよい。一方、カナ変換はその倍近いキーを使いこなすことになり、数字を打つたびに入力モード変える必要がある。そのためローマ字変換が推奨されたりしたが、私自身はカナ変換を使う。日本語で小説を書いているのに、アルファベットを意識するのはそぐわない気がするのだ。

 ちなみにウチの奥さんはローマ字変換で、いかにもベテランといった感じにいそがしく打っている。それはつまりローマ字変換は、子音の表記に2文字使うことになり、当然、打鍵数が多くなるという事象があるからだ。Wikipedia「親指シフト」の入力速度の項目によれば、ある文章を入力したときの打鍵数は、親指シフトを1.0とした場合、カナ変換1.1、ローマ字変換1.7の比率になるらしい。

 またローマ字変換は子供の英語教育をダメにする、との意見もある。たとえばローマ字による母音は五つだが、英語の母音は16種類(よく知らないけど)もあるため、ローマ字変換でカタカナ英語が染みついていると、かんたんな英語の発音につまずいてしまうらしい。つまりローマ字読みが定着してしまった子供は、英語を習い始めても、ローマ字読みから脱却するのに時間がかかると言うのだ。

 どちらの変換を使うかは好みの問題になるだろうけど、とりあえずLinuxのubuntuが入ったSSDをセットし(こうした作業もThinkpadならひどく簡単)、英字キーボードを使えるよう設定する。つまり端末を呼出し、コマンド操作するわけだが、その作業中に、おや、と気がついた。

 英字キーボードだから、いわゆるUSキーボードと思っていたが、それとは配列が微妙に違っている。あるいは英国式かと調べたが、これとも合致しない。これでは設定できないため、いろいろ調べることになったが、何のことはない。いくつかのキーが記号表記になっているが、日本語配列と寸分違わない。どうやら「日本語配列カナなし」キーボードらしいのだが、それにしては表記がおかしいのでいますこし調べる必要がある。

 何ともやれやれの話なのだが、@や「」マークの表記がないのは不便で仕方がない。とりあえずプリントした白抜き文字を貼りつけ、今しばらくは使って見ることにしたが、あるいは日本語キーボードと交換するかもしれない。このあたりが容易に出来るのもThinkpadの特色ということになろう。