書けない小説書きは、旅に出るか、酒場にたむろするのが常だろうけど、70歳半ばになると両方とも億劫で、おおよそは厨房入りでやりすごすことになる。そうしたわけで今日のブログも料理ネタなのだが、寒波つづきで野菜高騰のおり、大いに活躍した冬越しバターナッツを取り上げる。
冬至カボチャの例があるように、カボチャの類は保存性がよく、加えて少し寝かせたほうが甘みを増し、栄養分も増えるらしい。しかしわが家では、カボチャの仲間バターナッツを「猿害対策」として栽培している。どうした理由からか、猿どもはまったく悪さをしないのだ。
カボチヤらしからぬ色合いか、はたまた硬くてツルっとした肌触りを嫌うのか。一度だけ未熟のころに齧られたことがあるが、その不味さに懲りたのかもしれない。どうやら猿どもは、そうした体験を共有するらしく、お隣さんの普通カボチャがさんざん荒らされるのをよそに、わが家のバターナッツは毎年ぶじに収穫を迎える。
しかも入手したバターナッツは、自家採種が可能なので種子代はかからず、発芽さえすませれば放置栽培でも十分収穫できるのはありがたいし、なにより野菜不足になる今ごろまで食べられるのだから言うことはない。
まずはスープだろう。皮をむき、種とワタを取ってひと口大に切り、水とブイヨンを入れてよく煮込む。薄切り玉ねぎを炒めるレシピもあるようだが、わが家のようにバターナッツのみでも十分美味しい。圧力鍋で3分ほど加熱し、バーミックスで攪拌しながら牛乳でのばし、甘みが不足なら砂糖少々というのだから、調理というほどのこともないが、硬い皮むきだけがちょっと骨。
また牛乳でのばす前の状態をタッパーに入れて冷凍しておく。凍ったまま弱火で解かし、牛乳でのばすだけだから、まったくもってお手軽だし、冷凍品とは思えないほどのなめらかさは絶品だ。ついでながら翌日になるとより甘さが増すように思えるのもおもしろい。
またローストしたり、薄くスライスしてサラダにするのもいいらしい。つい最近、宇都宮のレストランで食したレシピは、マッシュしたバターナッツに、玉ねぎのみじん切りと細かくしたピーナッツが入っていた。ナッツ&ナッツとでも名付けたいような感じだが、マッシュのなめらかさと豆のツブツブした食感がおもしろく、けっこう美味しかったので奥さんに再現してもらった。