ルーターテーブル自作①

 歴史的円高のころ、気分転換にUS.amazonで買い物をしたことがある。例によって原稿が進まないのが原因だったが、その当時、日本中の物書きが同じような状況に陥っていたにちがいない。ともあれ超円高に悪乗りしてルーターを買ったのだ。

 手持ちの古いルーターは、母屋建築にも使用した8ミリ軸で、中途半端のうえビットの種類も少なく、いずれ買い替えだろうと考えていた。はじめは国産の12ミリ軸が候補だったが、ビットの種類からいえば、断然1/2インチ軸(12.72ミリ)となるわけで、試しにUS.amazonで調べたところ、ひどく安い。しかも1ドル80円弱の円高なのだ。エイヤッとばかりにクリックした。

 購入したのはPorter Cable 890。ルーター本体のほか、ビットセットやルーターテーブル用のインサートプレート、フェザーボード、さらにはダブテールマシーンなどを一括して送ってもらった。航空運賃・税金などに1万円弱がかかったが、国産のルーター本体とほぼ同価格だった記憶がある。

 ぶじ到着したものの、地下室にそのまま放置した。書く意欲がやや復活し、おまけに著作の電子書籍化を始めたという事情もあるのだが、それは別の話で、とにかく5年以上眠ったままのルーターをなんとかしなくてはならない。そこでルーターテーブル作りからはじめることにしたのだ。

 前置きがすっかり長くなった。製作にもかなり日数を要したので、数回に分けての投稿になりそう。相変わらずの図面なし、スケッチをノートに書いて製作をすすめるが、当然、その場での変更があるだろう。

 テーブルトップには、平滑性のよいMDF材が多く使われるようだが、20ミリ以上の厚みが必要。手持ちのタモ集成材を(25ミリ厚。以前テーブルに使っていたものを900×600ミリの大きさにカットして)使い、まずインサートプレートのはめ込み加工を行った。

 プレートの大きさに合わせて合板でテンプレートを作り、ストレートビットで必要な厚さ分を彫りこむ。購入した新ルーターにはテンプレートガイドがないようなので、古い8ミリルーターを使用した。
 ルーターの切削加工には、刃の回転に応じた方向がある。使い方を成熟して慎重に行おう、などと偉そうに書いてみたが、プレートの支え分を計算して、裏から切り落としたところで大失敗……。
 プレートを固定するねじ止め分を残さずに切断している。仕方なく三角片をビス留めする羽目になった。

 フェザーボードを取り付けるTスロットトラックは別途購入。彫り込む幅3/4インチ用のビットは、US.amazonで買ったビットセットに入っていた。そこで新ルーターを初めて使用した。
 英文マニュアルを苦労して読みつつ、切削深さを三度にわけて加工した。

 新ルーターの使い心地はわるくない。パワフルながら始動のなめらかさに感心。とくにルーター上部に突きだすスイッチは、刃先を上にして置けば、自然とOFFになる仕組みがいい。重いルーターを保持しながら片手でスイッチ操作をしなくてすむのは、じつにありがたかった。