ショルダーハム・その2

 去年(と言っても先月)に仕込んだショルダーハムは、約2週間の熟成をすませて塩抜きした。塩に漬け込んだものをわざわざ塩抜きするのは、なんだか無駄なような気がする。ならば塩分を少なくすれば、と誰しも考えるもので、何度か試したものの結果はかんばしくない。味にむらがあったり、うま味がなかったりで、いまではきっちり漬け込み・塩抜きをするようにしている。

 漬け込みのスパイスやハーブをきれいに洗い流したあと、溜め水にしずめて塩をぬく。スモークサーモンなどの冷燻では、水を流しながら塩をぬくのは、雑菌を除去する効果もあるからだ。ベーコンやハムの温燻では、溜め水で塩をぬく方法でよい。1時間に1回ほど水を替え、途中、小片を焼いて味見をしながら5時間かけた。この作業で味が決まる。

 つづいて風乾する。陰干しで風にあてて乾燥させるわけだが、いまではピチットシートを使用することが多い。キッチンペーパーや吸水タオルでよく水分を拭いとる。食品アルコールを併用すると万全で、ピチットシートでぐるりと包んで冷蔵庫に一晩おく。
 翌朝になると、シートがべっとり水分を吸い取ってくれている。指で触ってべたっとする程度に水分がぬけていれば充分だ。

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 ロースハムの場合、丸く整えるためさらし布で巻いたりするが、今回は形がよい肩ロースなのでタコ糸で縛りつけるだけにした。また浸透セロファンで包んだりするようだが、効果がよくわからないので使ったことは一度もない。肉の縛り方はネットで調べられる。

 燻煙は、徐々に温度をあげる感じで、最終的に60℃~65℃で6時間ほど。ウイスキー樽を利用したスモーカー下段に、炭火コンロをセット。薪のサクラ材を直接のせて発煙させている。ときにはナラやブナの薪を使うが、いずれにしろスモーク用チップを購入したことはない。
 余談だが、チップづくりにチェンソーを使うのは禁物だ。チェンソーオイルが混入した煙は、味にも健康にもよくないだろう。

 殺菌のためボイルする。大鍋の湯温は70℃を保つこと。温度が高すぎると肉が煮えて硬くなり、パサついてしまうためで、温度計を使い、つきっきりで火の調節をするぐらいの覚悟が必要。肉の中心温度63℃で30分が原則らしいが、およそ1時間30分~2時間ボイルすればよい。

 氷を入れた水で急速に冷やす。これで肉がしまり、水分を拭って冷蔵庫に入れて乾燥させれば出来上がりだ。
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 すぐにも味わってみたいし、仕上がりも気になるが、一晩置いたほうが味が落ち着く。明日になったら切ってみよう。
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