黒ソイの煮付け

 スーパーマーケットで黒ソイが安く売られていた。日光市が海無し県の最内陸地ということもあってか、スーパーの魚売り場の品揃えはやや寂しいが、ときおり驚くほど低い価格で売られていることがある。めずらしい種類ほどその傾向がみえるのは、馴染みがないというのが理由なのだろう。

 どこかで書いたかもしれないが、カメラマンだったころ、水中写真を手がけて水中ダイビングにのめり込んだ時期がある。何日も海辺でキャンプで自炊……ということが多く、必然、魚ばかりを喰らうことになる。新鮮だから刺身が一番だが、すぐに飽きてしまい、そんなときに案外好評だったのが煮付け料理だった。

 煮付けとなればカサゴやメバルが多かったが、黒ソイもメバル属。キャンプをよく張った伊豆半島ではみかけない北方系で、生きが良ければ刺身も美味らしい。

 まずはウロコ取り。ウロコには臭みの元になる雑菌が多く付着している。すこしでも残っていると、せっかくの味が台無しだ。専用の道具を用意したいが、ペットボトルのキャップを利用する方法もあるらしい。
 ちなみカサゴや黒ソイの背びれなどには、するどい棘があるので注意する。目玉の部分なら棘はなく、滑りにくいので強く押さえられるが、尾びれや背びれを料理用ハサミですべて切り取ってしまってもよい。

 エラや内臓を取り除く。出刃包丁が使いやすいが、慣れていなければ料理用ハサミが便利。あとはよく水洗いする。血の固まりをきれいに洗い流すのが美味しくするコツ。
collage_fotor-01
 ネット情報を参考に、醤油、みりん、砂糖、酒、生姜で味付け。落しフタをして煮付けるが、魚を裏返すときに身がくずれやすい。煮汁を多めにして泡で煮る感じが良く、スプーンなどで煮汁をかけながら煮てもよい。臭み取りにゴボウを入れた。

p1250873 北方系の魚だから脂肪が多いかと思ったが、案外淡泊でクセがない。十分に美味しかったが、次はすこし味を濃くした飴煮にしてみよう。