わが家の薪ストーブでは煙道採熱方式を利用していた。煙突から外に逃がしていた煙りの熱を、二重煙突とファンを使って回収するシステムで、もともとはOMソーラーシステムに組み入れられる方式だった。ここにわかりやすく説明されています。
石油ストーブ用に開発された方式を薪ストーブに接続する、というひどく冒険的な利用だったわけで、そもそも煙道の排熱を利用することは、煙道を冷やすことでもある。つまり煙道内に煤がたまりやすく、タール状に固まれば煙道火災の原因にもなる。
そこで煤分の少ない広葉樹しか使わず、しかも2年ちかく乾燥させて燃やすようにしていた。それでも1シーズンに2~3回の煙突掃除が必要だったし、一度だけ、煙突接合部の煤が取り切れずに発火、ごく軽い煙道火災を起こしたことがあった。
20数年間に一度の事故だったが、経年変化による劣化も考えられ、なにより安全が第一だろう、と薪ストーブ専用の煙突に交換することにした。新しい煙突では、排熱利用は不可能になったが、断熱によって煤がたまりにくく設計され、太さも150㎜(旧システムは105㎜)もあるので、煙突掃除は年一度程度でよくなるらしい。
旧システムの煙突塔を外すと、断熱のロックウールにつつまれた煙道に異常はなかったが、その下の接合部分にはかなりのタールがたまっていた。さらに多くなれば発火ということも十分考えられただろう。やはり交換して正解だったわけだ。
ところが煙突塔の位置があわない。細い旧煙突ならともかく、このままでは太い新煙突は設置できないことが判明。結局、煙突塔から作り直すことになり、屋根鈑金をはがすという工事になってしまった。
新煙突はかなり重く、保持金具も頑丈なものを使用している。室内に入れた煙突とストーブの接続は、部品が足らずに翌週に工事することになった。
それにしても20数年前のセルフビルドでは、煙突塔の位置違いを、煙突を曲げて接続することでごまかしていたわけで、よくぞ事故にならなかったものだ、と大いに反省している。