5月に伐採した立木を製材した。デッキ屋根架けの桁材にするつもりだったし、出来れば丸太のまま使いたかったが、樹齢50年、直径70㎝とあまりに太過ぎる。そこで桁材と板に挽くことになり、ひさしぶりに製材に立ち会った。
それにしても見事な黒芯だ。伐採したときに気づいていたけど、製材オペレーターに聞いてみると、やはりめずらしいようで、このところ製材されることは少ないらしい。黒っぽい木肌が好まれないのだろう。材木にしても売れ行きがよくないため製材に回ってこないということらしい。
中心部が黒っぽい杉は、黒芯、黒杉とも呼ばれ、宮崎県の飫肥(おび)杉がよく知られている。肥えた土地、多湿地、谷筋に多いとされているから、あるいは育った環境によるものかと思うが、わが家で伐採した二本すべてが黒芯というわけでもない。となると品種なのか、あるいは何らかの菌の侵入による変色とも考えられているらしい。
すこし調べてみると、一般的には含水率が高いため、乾燥がむずかしいとされている。そこのあたりが黒っぽい木肌とともに不人気の理由なのだろう。
ちなみに飫肥杉は、油分が多く、水気に強く、腐敗に耐性があり、シロアリなどの病害虫への抵抗性もあるとされているが、伐採した黒芯杉に同じような性質があるかは、むろんわからない。
黒芯杉だった切り株椅子は、皮むきした部分がどんどん黒ずんできた。あるいは黒芯どくとくの性質かもしれないが、逆に中心部が白っぽくなってきている。たぶん乾いたせいなのだろう。そう言えば、防蟻成分には揮発性がある、との記述もあった。
ともあれ製材は、4メートル超の120×240ミリ角の桁材、50×240ミリの板桁をそれぞれ4枚取り、のこりは耳付き板に挽いてもらった。思ったほど木目は黒っぽくない。もっともデッキに使用するときには、色の濃いウォルナット(母屋と同じ色)に塗装予定だから、ほとんど関係はない。
問題は含水量だ。木材であれば乾くにしたがって縮み、さらにねじれが発生するものだ。大まかに言うと、太さ方向により収縮し、木の種類によっても収縮率が違う。丸太を積みあげるログハウスの場合、3~5%程度の収縮を考慮に入れて建てねばならない。たった5%であろうと、3メートルの壁では、15センチのセトリングスペースが必要ということになる。
桁材に使った場合でも、ある程度の収縮やねじれがあると考えるべきだろう。とりあえず人工乾燥するつもりだが、桁の繋ぎ部分は、一般に使われる「腰掛けアリ」ではまずいだろうか。暴れに対応できる「相欠きボルト締め」か、いっそ「台持ち継ぎ」がよいかもしれない。