秋の種下ろし2020

 暖かくなったのを見計らい、棚に保存してあった種袋を下して田畑に播く。いわゆる「種まき」のことだが、これを「種下ろし」と言ったりする。春の季語になっているが、都会出身の素人農業者には「秋の種下ろし」がとくに印象深い。寒さにむかう時期の「種まき」に馴染みがないからだ。

 菜園を楽しむようになって15年ほどになるか。ヤギを飼うようになったのがきっかけだが、経験のない農作業に手を染めたのは、ヤギ糞処理のためだったと記憶している。いい肥料になるのに捨てるなんてもったいない、と聞いたからで、生まれついてのケチケチ癖が頭をもたげてしまったのだろう。

 冬の間、小屋暮らしのヤギたちが大量に排泄したヤギ糞は、ケヤキの落ち葉や米ぬかと混ぜ合わせると、良好な堆肥になる。春に作業して夏をむかえるころには発酵がすすみ、秋になれば落ち葉の形もなくなり、植え付け時期をむかえたニンニクづくりに欠かせない肥料となってくれた。

 そこで当然、ニンニク植え付けが「秋の種下ろし」代表格だが、今年収穫したニンニクの出来はいまひとつだった。たぶん春先の冷え込みが原因の肥大不足だろうけれど、ヤギがいなくなりヤギ糞堆肥がすき込めなかったのも影響しているに違いない。

 今年の培地は、ヘアリーベッチを栽培した場所だから、根粒菌によるチッソ固定に期待したいが、はたしてニンニクにどの程度効果があるのか不明だ。

 玉ネギ用の黒マルチを利用し、移植ゴテの柄を刺した穴に一つずつ植え付け、土ひと握りで穴を埋めておく。ちなみに栽培したニンニクはすべて食用とするので、種ニンニクはいつも中国産を購入。多少問題がある種ニンニクでも、いったん自家栽培すれば少しは安心できるだろう。

 種ニンニクがすこし余ったので、化成肥料をあたえて植え付けてみた。黒マルチの代わりに刈り芝生で覆って草マルチとし、あとでケヤキの枯れ葉を追加する予定。

 植え付け後10日経過したが、発芽は順調。ひと月ほどしたら化成肥料を追肥とする。

 生食用ソラマメ(ファーベ)の栽培も数年前から手がけている。曲がりなりにも収穫し、春の珍味を味わってはいるが、まだまだ栽培成功という域には達していない。発芽させた苗での冬越しという難関があり、そこを猿どもにイタズラされたり、アブラムシ対策などが十分でないのが原因だろう。

 今年は種を多めに購入したので、2段構えで苗づくりする。ちなみに自家採種を試したことがあるが、いずれもうまく発芽させられなかった。購入した豆が赤く塗られているように、防カビ・コーティングされていないと発芽率がめっきり落ちるようだ。

 発根・発芽する豆のおはぐろ部をななめ下に、3分の2ほど埋める。蒔いたあとたっぷり水をやり、豆に十分吸水させたあとは、土が乾かない程度の水やりにとどめておく。

 そのつもりだったが、うっかり雨にぬらしてしまい一部にカビが発生。抜いて調べてみると、十分発根しているので、新しい土に植え替えた。その後は順調に成長しているが、すこし順調過ぎるか。

 あまり大苗になると寒さに弱いのがソラマメの欠点で、そのため2週間遅れで播種した組も発芽しはじめた。そうした2種類の苗を用意して12月の定植に備えるつもりでいる。

追加のトピックス

 前回お伝えしたクマ対策デッキドアに、こんな玄関ベルを取付けた。かなり大きな音がするので、ドアに取り付いたクマもびっくりするに違いない。