そろそろ寒くなったころ、やはりつくろう、と決めた。赤々と燃える炎を見ながらゆったりくつろぐのは、薪ストーブの季節のだいご味だが、肝心のソファが数年前からへたり気味なのが気になっていたのだ。
ストーブ前で愛用してきたソファは、むろんハンドメイドだが、かれこれ15年前の製作になるので新調してもいいころだ。かと言って既成品を買うつもりはまるでないのはいつものことで、前回と同じく座椅子を利用した改造ソファということになろう。
インテリアショップ・※トリで座椅子を購入。価格9000円超とやや高額なのは、耐久性を重視してポケットコイル使用を選んだからだが、なにせ巨大、しかも2台だから乗用車には入りきらないだろうと、汚い軽トラを乗り付けた。
やたらと重いから運び込むのはもちろん、厳重な梱包をほどくのだって一苦労する。
もちろん座椅子だからリクライニング付きだ。ノッチ式なのがやや残念だが、フラットにしたら昼寝もできそうな大きさが気に入った。前回は、この機能を封印しての改造だったので、どうやったら活用できるかをずっと考えてきた。言ってみれば構想15年の改造計画ということになるわけだ。
ともあれ出来上がりをご覧いただくと話が早いだろう。座椅子を高さのある台に乗せることで立ち上がりやすくなり、それだけでもソファらしくなるのはすでに実験ずみだが、背面側にある工夫が今回のポイント。
背板がつまみ付きなのは、台に入り込むような引き出しになっているからだ。カバーなどの収納に使えるのだが、すべて引き出すことで下側の掃除ができるようになる。掃除のためにソファを移動するのは大変なのよ、との奥さんのリクエストから考えついた。
この発想をさらに発展させたのが、今回最大の改造ポイントだろうか。ソファをリクライニングしたとき、倒れ防止のストッパーとして役立たせようと、背板の高さを調整した。これで勢いよく寝っ転がっても後ろに倒れる心配がなくなるわけだ。
使用した材料は、デッキ下に積み上げたものを引っ張り出す。ほとんどが薪の原木を挽いたもので、10年近く前だから十分乾燥している。主にクリ板を使い、一部にはナラやケヤキの端材も使用した。
ほとんどが耳付きなのでテーブルソーで切り落としたあと、使用サイズに切断。つづいて自動ガンナで厚さを調整し、ベルトサンダーで仕上げた。またバンドソーを使用すれば、小さな角材を細工するにも安全なのがありがたい。
ちなみに写真の自動ガンナは、母屋をセルフビルドした25年前、地主の銘木屋さんから無料で譲ってもらったものだ。当然使い古した中古品で、刃抑えのスプリングがいくつか欠落し、ときおりモーターが停止してしまう。騙しだましながらも動きつづけているので、我が身の加齢ぶりとどっちこっちの感じがする。
あらかたの材料をそろえた。これに引き出し用の側板、底板がプラスされるが、組み立て状況は次回にまわすことにする。