今年ほど獣害の多い年はない。猿どもに引っこ抜かれた春ジャガイモは、ほとんど収穫なしだったし、その猿が手を出さないサトイモはイノシシに全滅させられ、同じくパターナッツは、正体不明のケモノ(たぶんハクビシン)に囓られ放題となってしまった。
そうした菜園ながら、無事に育って収穫できるものがあるのだから、まったく捨てたものではない。だいぶ涼しくなったこのごろは、秋の味覚を届けてくれるミョウガ摘みを楽しみにしている。
住んでいる集落は、山間にあって日照が少なく、やや湿気の多い土地柄だが、ミョウガの生育には適していたのだろう。夏のお盆過ぎになると、ミョウガの集積場には、収穫されたミョウガが山のように積まれたもので、1キロ入りをいくつも購入しては都会の知人に送ったものだった。
ところが10年前ごろから市場価格が安くなりはじめ、そこにもってきて原因不明の病気が発生して収穫量がガタ落ちした。これに高齢化が重なってしまうと、栽培意欲の低下を招き、折あしくミョウガ選別機の更新時期と重なり、ついには集積場の廃止ということになってしまった。
せっかく馴染んだ味覚がないとさびしいもので数年前から、わが菜園でもミョウガを栽培するようになった。地元産は病気持ちだろうからと、高知から取り寄せた苗もどうにか育つようになり、去年、混み合った株をほぐして植え替えをほどこし、たっぷりの枯れ葉で覆って冬越しさせた。
その甲斐あってか生育も順調で、食用にする花蕾のつきもわるくなく。一日置きにこのぐらい収穫しているが、夫婦ふたりならちょうどいい量だろう。
ちなみに場所を替えて地元産のミョウガを植えてある。夏のころまでは生育も順調だったが、まだ、ひとつも収穫出来ていない。よく見ると葉が枯れたものがあり、これが病気の症状なのかもしれない。防除方法をよく調べてみることにする。
収穫したミョウガは、冷や奴の薬味にしたりするが、素揚げした茄子の味噌汁に刻み入れるのがわが家のレシピのひとつだ。
ちょっと調べたたらミョウガの天ぷらもよさそうなので、今宵の一品に加えてみようかと思っているが、その結果はいずれ、ということにしておく。