坂道のアプローチ

 玄関前の坂道アプローチは、どうしても冬の時期に痛んでしまう。直接の原因は、霜で地盤がゆるんだところに、主屋裏への薪の積み込みや灯油配達のトラックの通路となるからだろう。車幅にあわせてコンクリート舗装してあるけど、往々にして道を外れて路肩を崩してしまうのだ。

 そこで路肩に石を積み、土を運びいれて補修し、ついで道標を立てたのは、舗装通路への誘導のつもりだが、効果のほどはわからない。
 そうした工事をすませたのは、まだまだ寒さがのこる春先のことだが、あとは斜面全体をセンチピートグラス(ムカデ芝)で緑化し、きっちり根張りさせて崩れ防止とする計画だった。

 草丈が25~30センチと低いところから放牧場への導入を決めたセンチピート芝は、評判どおりに雑草抑制と草刈り回数減に効果的だったが、予期しないモグラ忌避効果にはちょっとびっくり。ゴワゴワした硬い根っこなのか、あるいは臭いでもあるのか、とにかく繁茂した部分にモグラの穴や土の盛り上がりを見かけたことがない。

 一方、欠点がないではない。まず初期成育がおそろしく遅いのだ。発芽に時間がかかるうえ、せっかく苗を植えても雑草の陰になってしまうと枯れたりする。そのため生育期には日当たりを確保するため。ひんぱんに雑草刈りをする必要があり、そうした手間暇を3年間ほどもかけて放牧場が完成している。

 そして種が高価なのが最大の欠点だろう。第一、補修したアプローチに種から育てたのでは時間がかかり過ぎるし、ピット苗を利用すれば手早いけれど、さらに高価で手がだせない。そこで挿し芽による苗づくりを試みたが、なにしろ猛暑だったので作業がすすまず、計画どおりの緑化というわけにはいかなかったのだ。

 ところで今年は、放牧場の一部を(17歳の山羊が天寿をまっとうしたため)畑に転用するのだが、はがしたセンチピート芝を移植してしまえばいいかと思いついた。いわゆる張り芝作業と同じだったが、ふつうの芝のように上手にはがせず、すぐにばらついてしまって扱いにくかった。
 挿し芽のさいに述べたようにセンチピート芝はランナー(匍匐茎)で増殖するので、地下茎でつながっていないためだろう。さらには密に生えた根が土を大量にくわえこんでいるためひどく重く、スコップではまるで歯が立たない。バックフォーを使って慎重にはがし取り、土を叩き落としてから運ぶ、というちょっとした重労働になってしまった。

 しかし張り終えてみればわるくはない。このままうまく根付いてくれれば、来年の芽吹きどきにはきちんと緑化されているにちがいない。

おまけのトピックス
 袋栽培している秋ジャガイモがだいぶ成長したので、土寄せと追肥、猿対策の袋閉じの作業を行った。しかし種イモ栽培のほうだけで、挿し芽のほうは成長が捗々しくなく、この調子では収穫までたどりつけないかもしれない。