猿襲来のジャガイモ畑のあまりの惨状に、おもわずパチンコなんぞをポチってしまったけど、これで追い払ったって一時しのぎに決まっている。猿が相手じゃ仕方がないと、栽培をあきらめるのは簡単だが、ここで引き下がるのも癪な話。いろいろ考えめぐらしたあげく、ちょっとばかり面白い方法にたどりついた。
山羊小屋の屋上緑化を考えていたとき、サツマイモの袋栽培という方法を知った。いわゆるコンクリート製のビル屋上でも緑化ができるわけだが、方法がやたら単純ながら、緑化効果もありそうだった。しかし、いかにも直接的で面白みに欠け、スタイリッシュじゃないな、などとガラにもなくおもって却下。じっさいには苦労して土を運びあげ、乾燥に強いクリーピングタイムを植えた。
そうした経緯は、いま書きすすめている『つくる暮らし 家づくり編』で紹介するつもりだが、一度は却下した袋栽培を猿害対策に使ってみようか、ともくろんだわけだ。
方法はひどく簡単。土のう袋に土を入れて、サツマイモ苗を植えるだけ。ちょうど時期だったので10本ほど購入して試してみることにした。
この袋栽培は、都会のマンションでも可能なことから、ちょっとした人気になっているようだ。ウェブサイトをのぞいてみると、ガーデン用と称したおしゃれな栽培袋が売られていたが、もちろん価格の安い土のう袋でかまわないし、土のう袋ならではの理由もある。黒いものがよさそうにおもえたが、やや値段が高いのでふつうの白い袋でも試してみた。
さて植えたあとがこの方法の特徴だ。目標達成なるかならぬかは、この一点にかかっている、とやたら大仰な言いざまだが、なに、たいした方法ではない。苗が顔を出した状態で袋を閉じてしまえばいい。土のう袋には、そのための紐がとおしてある。苗が活着してからでもかまわないが、サツマイモならほとんど根付いてくれるだろう。
それにしても、ならべられた袋の口から、ちょこんと苗が顔を出しているのは、やや異常な光景。猿どももさぞびっくりするのではないか。いままで猿を観察したところでは、見慣れないもの、あるいは新しいものには手を出さない傾向がある。ずらり並んだ袋を警戒する可能性もあるようにおもう。
「でも、せっかく育ったところでひっこ抜かれてしまわないかしら」
とは奥さんの感想だが、そうしたこともたぶんあるだろう、と想定している。しかし、たとえ育った苗を引っこ抜いても袋の口は閉じられている。中で育ったイモを取り出せないのである。
猿どもにしたら、せっかく襲ってもイモにありつけない「意地悪な栽培」になるだろう。何度かそれを繰り返せば、そんな袋の畑には手を出さない、という「教育的指導栽培」にもなるんじゃないか、ともくろんでいるのだ。
はてさてどうなるか。結果については続報をお約束しておこう。
おまけのトピックス
ニンニクを収穫した。あいにく台風余波の雨にたたられ、三日ほど遅れたためすこし育ちすぎだった。ちなみに収穫したニンニク畑の跡地にも20本ほどの苗を植えてみた。袋栽培がいよいよ大成功しそうな予感がしている。