キーボード交換

 先日オークションで購入した英字パソコン(Thinkpad X61)のキーボードを交換した。プリントした白抜き文字を貼り付けてしのごうと思ったものの、やはり使いづらいし、どうにも気分がわるい。たまたま低価格の日本語キーボードをみつけたので、ついついクリックしてしまったのだ。

 いまさらThinkPadを話題にするのはいささか気が引けるし、さほどパソコンにくわしいわけではない。ワープロ代わりに導入してから15年ほどか。たまたまレノボ製のThinkpadのキーボードの打ち易さが気に入ったのだが、後になってIBMから譲渡されたブランドと知り、なるほど、と思った。もともとIBMはタイプライターのメーカーだったのだ。

 つまりIBMブランドは、そのころすでに中国の聯想集団(レノボ)に譲渡されていたわけだが、Thinkpadの開発・設計は一貫して日本IBMの大和研究所(神奈川県大和市)で行われていたらしい。
 そうした事情も知らずに中古入手したThinkpad X61sの使い心地はわるくなかった。やや重いのはマグネシウム合金フレームによる堅牢さゆえだろう。キーボート中央の赤いトラックポイントは、Thinkpad独特な機能だが、慣れると癖になるほど使いやすい。

 そしてなにより特筆すべきは、整備マニュアルが公式に公開されていて、交換用パーツの販売にも応じているため、自己責任ながらユーザーによる分解・整備、あるいは修理が容易に行えることにあるだろう。なんでも自分でつくりたがる「自作人間」の私にとって、これほど魅力的なことはない。

 他メーカーにはない、こうした設計思想の発案が、IBM本社か日本IBMの大和研究所だったかはわからないが、いずれにしろネジを隠すようにラベルを貼ったり、プラスネジですむところをわざわざ☆型頭に変え、ユーザーの分解・修理をし難くするケチな考えがないのが好ましい。おそらくレノボに譲渡されるさいの条件に、こうした設計思想の継承も入っていたのだろうと想像する。

 ちなみにThinkpad X61の発売は2006年。そうした古い機種のパーツの入手は、普通かなり困難なものだが、レノボ・サポートでほとんどの部品が購入てきることになっている。またネット上でも販売されているし、オークションサイトを当たれば低価格の中古品を手に入れることも可能だ。
 ネット購入した日本語キーボードは新品ながら、通常より千円ほど安く売られていたが、オークション購入した本体とほぼ同価格なのだから、あまり安い買い物とは言えないか。

 しかし作業はじつに簡単。くわしくはここを参照してもらえばいいのだが、裏面の外すネジ四本のうち、バッテリー部にある一本がややわかりづらい。しかしこれも、交換作業にはバッテリーを取り外すようにとの配慮なのかもしれない。

 キーボードを外すには、全体を押さえながら上部にすこしずらし、隙間にプラスチック製のヘラなどを差し込む。クレジットカードでもいいだろう。むろんキーボードは配線されているから、慎重に取り扱ってソケットを外し、新しいキーボードに交換する。

 あとは逆の手順で組みなおせばいい。作業時間は30分ほどか。
 修理などと言えないほど短時間だったが、組み上げたあとタッチパッド付近にわずかな振動を感じる。まだ異音を発するほどではないけど、この下には第2ファンが収納されている。
 ファンエラーがでるようになったら交換が必要になるのだが、部品価格を調べたらキーボードの倍もする。
 あるいは修理地獄に迷い込んだかもしれない。