コロ薪小屋の完成をうけて、今年も薪割りをはじめた。しかし秋に割ったばかりの薪をすぐ燃やすことはない。水分が抜け切れていない薪は燃えにくく、無理に燃やしても温度があがらず、煙ばかりが多くて煙突を詰まらせる原因なるからだ。
わが家では、春先から梅雨前を薪割りの季節とし、1年から2年間ほど乾かしてから燃やすようにしている。しかし今年は、原木入手が梅雨時になってしまい、すこしでも早く割ってしまいたい事情は前に書き触れた。
使っているのはやたら重い薪割り機だ。車輪付だが、敷地は舗装されていないので役には立たず、バックフォーがなければセットすら出来ない。
と書いて思いついたが、この薪割り機導入の顛末にふれるのも一興か。
田舎暮らしをはじめて20年ほどは、手割りで過ごしてきた。薪を割ること自体を楽しんだ時代もあったが、年に6トン近くの薪づくりだから、70歳近くになるとさすがにしんどい。いよいよ薪割り機導入かと考えた。
油圧式のエンジン薪割り機については、前々から考えていた。しかし、これまで使っていた広葉樹を割るとなると、破砕力20トン級が必要だし、そうした大型機の国産機はなく、多くはアメリカやカナダ製で5~60万円とべらぼうな価格。とても買えやしない。
そんな気持ちがオークションで見かけた薪割り機に入札させたらしい。たしか5万5千円ほどの最低価格だったから、どうみても冗談半分。しかし、どうしたはずみか落札してしまうのだから、いやもう、びっくり。
運賃2万円で運ばれてきたのは、重さ350キロ・破砕力270トンの大型機。ただし半製品で自分で組み上げねばならず、その説明書も怪しげな英文で書かれている。そう、中国製だったのである。
なんとか組み上げ、油圧の作動油やエンジンオイルを別途購入。エンジンをスタートさせると、割り刃は遅いものの動きはスムーズ。早速はじめた割り作業も問題なかったが、ほどなく故障。
しかもぞくぞく発生。作動油の低圧ホースのひび割れ・シリンダー固定のU字ボルト破損・振動による各所のボルト脱落etc.……。1年目は薪割り作業より修理のほうが時間がかかる始末。それが中国製の現実なのだろうが、なに、かつてのmade in Japanもそうだったのだ。
以来、曲がりなりにも5年ほども使えているから、元は取れた感じだろうか。なにせ破砕力27トンは強力で、繊維のねじれたケヤキやカシ材もむしりとるように割れてしまう。割り刃の遅い動きにイライラさせられたが、慣れてしまえばさほど気にならず、かえって安全かと思えるようになった。
かかりが悪かったエンジンだが、停止するとき電気スイッチを使わず、燃料コックを閉めて自然停止させれば、スムースに再起動する。キャブの燃料を空にさせてしまうのがコツのようで、今年の作業はごくごく快調だった。
やや余談だが、玉切りのさいの切り屑は、「なるべく回収してね」とヤギ担当の奥さんに言われている。ヤギ糞掃除に使うととても具合がよいらしい。
先週まで話題にしていた寸足らずのコロ薪は、全薪量の10分の1ほどもある。こんな感じに新設されたコロ薪小屋に納まり、やがては火持ちのよい薪として重宝するのだ。