洗濯物の部屋干しと言えば、都会のマンションでのイメージだろうけど、山里そのもののわが集落でも部屋干し派が多く、軒先に洗濯物をひらめかす光景はほとんど見かけない。
なにしろ天然氷の産地だけに、冬期になると濡れた洗濯物なんぞはたちまち凍りついてしまう。やっと暖かくなったころは、飛び交うスギ・ヒノキの花粉まみれだし、時期をえらばず出没する猿どもに触られたりイタズラされることも多い。
悪臭を放つカメムシは、どうやら白っぽい明るい色を好むようで、シーツやバスタオルなどに集まる傾向がある。同時に湿気好きでもあるので、ズボンなどのポケットに入り込まれると厄介きわまりない。
とくにハチ刺されが恐ろしい。前にアナフィラキシーショックを起こしているので、「2度目は注意してください。下手すると命に関わります」と医師に言われている。洗濯物を取込むときに、うっかりハチに刺されでもしたら「即救急車」だし、自己注射薬「エピペン」も常備しているくらいだ。
そんなわけで部屋干しを実行している。書斎横の2階吹き抜けの手すりに架けたり、近くの本棚付近に物干しスタンドを置いている。冬期には1階からの薪ストーブ熱が上がってきてよく乾くし、ガラス越しながら日射しも届く。
調湿にすぐれた漆喰壁も効果的のようで、奥さんによれば壁に近いほどよく乾くらしい。ちなみに押し入れ内部も漆喰で仕上げてあるので、結露したことは一度もなく、強いアルカリ性のためカビも発生しない。
しかし、木製の手すりは濡れには弱く、汚れやシミが浮き出て洗濯物に移るようになった。手すり木部にFRP防水を施したり、手すりそのものを真鍮かステンレスパイプに交換する方法もあるが、どちらもけっこう高額だし、付属の加工が面倒な感じする。
そこでステンレスの物干し竿を考えた。いわゆるステンレス巻パイプ(内部に鋼管を使い、ごく薄いステンレス板で被覆する)製だから、オールステンレスに比べてかなり安価。長く使ううちにサビが浮き出てくるけど、室内での使用なのでさほど心配はいらない。しかもホームセンターで見つけた長さの竿なら、手すりにぴったりで切断加工も要らない。
付帯加工もごくごく簡単にすませた。ログ柱と同じウォルナット色に塗られた板材は、たぶん古いソファーの部材だろう。40㎝ほどに切り、竿を通す穴を加工する。パイプ径より大きめなのは竿のエンドカバーごと通すため。
手すりのログ柱には平ビス止め。手すりの下側に取付けたので、のぞき込まなきゃビスは見えない。
パイプのずれ防止に、上から黒い丸ビスをねじ込んだ。普通の木ねじだから尖った先端がパイプにしっかり食い込んでいる。
こんな感じに完成した。手すりの外側に突き出してあるので、手すり下の柵を避けられるし、大きなシーツでも太いログ梁にも触れない。
見苦しさは前と変わらないが、新型コロナ禍とあって来客もないので、これでよしとする。