新被害・バターナッツ

 先日来のイノシシの跳梁は、サトイモ全滅もさることながら、お隣の被害の大きさはかなり衝撃的だった。あの調子で荒されたら、せっかくセンチピート芝で整備した放牧場などひとたまりもない。

 さりとてどんな対策が有効かわからないが、とりあえずヤギ小屋の軒にLED照明を吊るしておくことにした。人の気配を示せば、すこしは警戒して近寄らないかもしれない。
 さらにはヤギの暖房用に使った24時間タイマーを利用し、1時間に15分間ずつ点灯させたが、あるいはこれが奏功したか。いまのところイノシシが侵入した気配はない。

 ところが新被害が発生。今度はバターナッツがやられたのだ。

 10年ほど栽培しているバターナッツは、これまで一度も被害を受けたことがない。普通のカボチャは猿どもの格好の獲物だが、形も色も違い、ツルッとした皮が堅いせいか、味も好みではなかったのか、一度もぎ取られたことはあるけど、それっきり荒らされた記憶はない。

 しかし、この囓り方は猿ではなさそうだった。猿のように実をもぎとらず、吊り下がったまま囓っている。つまりブラブラゆれるはずの実を押えないと出来ない食べ方で、前足を器用に使っての仕業と考えていいだろう。

 かすかに残った足跡から、猫か小型の犬ていどのケモノらしい。たとえばタヌキなら何度も出没しているが、こんなふうに前足を使えないように思う。

 以前、柿の木のそばで目撃したことのあるハクビシンか、いろいろ調べるとアライグマの可能性もあるようだ。
 いずれも甘みのある作物を狙う連中らしく、出没しては食いかけの実を囓っている気配なので、それならばと一計を案じた。

 囓りかけの実に、唐辛子を埋め込んでみた。甘いはずの実を囓ったとたん、その辛さにビックリ仰天。二度と現われないのではないか……という観測だったが、おもちゃのヘビによる猿対策に似た「お遊び」のような感じがしないでもない。

 翌日、唐辛子入りの実を囓った気配があり、実も残されていた。あんがい成功したのかもしれん、と喜びかけた数日後には、実ごと持ち去られてしまっている。唐辛子味はさほど効果がなかったのか。

 そして1個だけ残った実を守るため、虫駕籠みたいなものに入れてしまいたかったが、あいにく探せなかったので、とりあえずネット袋で代用してみたが、やはりダメだった。
 予想したように袋ごと囓られてしまい、かくてバターナッツも全滅ということになったのだった。