例年、梅雨明けとともに一階の和室に引っ越しする。いくぶんか涼しく、小型ながら冷風装置を取り付けたりして、とりあえず執筆できる態勢はととのえてあるからだが、もちろん書けるかどうかは別の問題だ。
場所移りして心機一転、そろそろ新しい小説に取りかかろうかと考え、いろいろ資料を集めはじめた。しかし、暑さ除けの緊急避難用書斎だから、サブPCをセットしてある小さな机があるだけで、キーボートを置いてしまうと、資料をひろげる場所もない。ならば脇机でもつくるか、と例によって拙いスケッチを描いてスタートさせた。
スケッチでは一番下を引き出しにするつもりだったが、作業が長引きそうなので省略して、ごく単純な板棚にする。
まず天板をつくる。引っ張り出したナラ材を自動カンナやサンダーで磨き、三か所のビスケットでジョイントする。木目を考え、赤身同士を接着すれば仕上がりも違うはずだ。
脚部その他はタモ材を使い、あらかじめサンダーなどで仕上げたあとは、ポケットホールジョイントで組み上げる。やたら簡単な方法なので多用しているが、そろそろきっちりしたホゾ組で何かつくりたい、と考えないでもない。
脚部が細いため、ビス一本で止めることにしたが、回転するため接着剤が固まるまで、しっかり固定しておかねばならない。全体を組み上げたところでその日の作業を終らせた。
棚にする中板や底板は、タモ材の枠にツキ板合板をはめ込むが、薄いため強度がやや足りない。そこで補強材をビス止めしたが、見えないようするのにちょっと苦労した。それでいて合板を細クギ止めにするなど、いかにも手抜きという作業がこのところ多い。
最後にオイルを塗る。400番ほどのペーパーで細かく研ぎあげれば、それなりの見栄えになる。
およそ三日間の作業で完成。中棚にパソコン本体と無停電装置を収納して、いつでも執筆に取りかかれるわけだが、いまのところ資料読みに忙しく、一行も書いていないし、題名すら決まっていない。
たぶん書きはじめたころには暑さも終息しているかもしれず、二階の書斎に移ることになるかもしれない。