春先、何度も襲来して春ジャガイモを全滅させた猿どもには、脅かし用のヘビ対策をほどこしたが、それっきり姿をみせない。こちらの動きをさとられた気配はなさそうだから、あるいは連日の雨に降り込められているのか。梅雨明けに用心せねば、と思っていた。
ようやく梅雨が明けた。去年より30日近く遅れたようだが、6月中に梅雨明けという去年が異常だったわけで、平年より4日ほど遅れたに過ぎない。ともあれ晴れれば猿どもがやってくるに違いない。
果たして現れた。サトイモ畑が掘り返されている。やはり来たか。いや、違う。これまで猿にサトイモを荒らされたことはなく、イモのかゆみを嫌うとされてきた。
黒マルチを大きくはがした荒らしようも猿ではなさそう。のこされた足跡をみると、つま先が二つに割れているようだ。
つまり偶蹄目なのだ。しかし、シカがサトイモを食うとは思えない。こいつはイノシシの仕業に違いない。
無残に掘り起こされた株は、種イモがかじられてしまっている。それでも3分の1ほどの株は根がのこっているので、これなら復活しそうだと、気を取り直して植え替えておいた。ここで挫けているようじゃ田舎では暮らせない。
しおれていた茎も三日ほどで持ち直し、このまま何とか収穫まで行ってくれればいいが、と思った翌日、再度襲われた。見事にやられた。
掘り返された種イモは、跡かたなく食べられてしまっている。これでは復活のしようがない。今年のサトイモは味わえない、と覚悟するしかなさそうだった。
これまでウリ坊を見たことがあるが、初めてのイノシシ被害だ。道路向こうの耕作しなくなった田んぼが掘り返されているので、いずれは来るぞ、と予想はしていたが、現実となるとショックは大きい。
あるいは今年、ヤギ放牧場の柵を撤去したのが、イノシシどもの侵入を容易くしたのかもしれない。
それから数日後、今度はお隣がやられた。その荒らしようわが家どころじゃない。ビニールハウス前の畑がめちゃくちゃに掘り返されている。手の施しようがない、といった有様だ
立ちすくむ奥さんのむこうにわが家の屋根が見えている。その距離30メートルほどだろうか。この状態を何とかしたいが、はたしていい方策が見つかるだろうか。