いつのまにか始めてしまった家庭菜園だから、作物の出来が良かったり悪かったりしてもそれほど気にはしていない。とは言うものの昨年のように全般的に不作気味だとちょっとばかり心配になってくる。
記録的猛暑による水不足が原因のようだったが、あるいは連年の耕作で土壌そのものの力が衰えたのかもしれない、などと素人なりに考えたりして、ならばと肥料効果のある豆類のヘアリーベッチを播種した。
昨年の10月初めに種をまき、一週間ほどで発芽した。適当にならした土地にばらまいただけで、覆土などはしなかったが、のびた根がしっかり土に食い込み、コスモス状の若芽がどんどん開いてきた。
そのあとの成長はすこぶる早く、収穫前のサトイモを横目にモシャモシャといった感じに繁茂した。たしかにヘアリー(毛深い)ベッチだけのことはある、と感心する。
枯れ葉のころに生えそろい、厳冬の寒さも難なく乗り切って、例年になく早い春の暖かさにもの凄い勢いで成長しはじめた。
緑肥として利用するには五月ごろまで繁茂させたあと、刈り取って土にすき込むのがいいらしい。春が遅い日光地方では、ほとんどの作物が地植えされるのは5月下旬から6月にかけてだから、スケジュール的には十分間に合う。
しかし、すこし心配な点があった。わが家には、いわゆる家庭菜園むきのミニ耕運機しかない。ローターの回転力が弱いため、からまる枯れ草やつるの除去に毎年のように往生している。ヘアリーベッチを5月までのばし放題にしたら、手持ちの耕運機ではまるで役立たないだろう。あるいは大型機具の調達が必要になるかもしれない。
こころみにヘアリーベッチの根を調べてみた。根のあちこちに白い珠状のものが付着している。これが空気中の窒素を取り入れた根粒菌であろう。土壌にすきこむことで窒素肥料の効果が得られるらしい。
また緑肥と称されるのは、すき込む茎や葉にも肥料効果があるためで、そのためには十分成長させたいが、今回は耕運状況を優先させて早刈りすることにした。
まずは刈り払い機でベッチをざっと刈り、バックホーを乗り入れて、土壌を反転させた。せっかく育った根粒菌を利用するため、あまり深く掘り起こさぬよう注意したが、それがよいかどうかはわからない。
このまま1ヶ月ほど放置して、根粒菌や緑葉を土壌に十分なじませれば、非力な耕運機でも耕せるのでは、と目論んでいる。