新スモーカー①

 冬こそ燻製の季節と、このところ何度かスモーク作業をしている。デッキ下にある斜面を利用したウイスキー樽のスモーカーは、小さなコンロに炭か豆炭を燃やし、サクラの薪を直接のせる、というやたら原始的な方法だが、なかなかの優れものだ。

 樽の下にあるコンクリート製排水桝が温燻用の焚口。煙を冷やしたい冷燻用に、すこし離れた斜面下にも焚口を設け、地中に埋めたステンレス煙突を通じ、煙を冷やしながら送る仕組みで、もう20年以上も使っている。

 ただし。上蓋を外して肉などを出し入れしなくてはならず、材料別に燻煙時間を違えたいときに不便だった。そこで思い切って新しいスモーカーをつくることにした。

 いろいろなスモーカーが市販されているが、はじめての燻製を段ボール箱で試したように、ちょっとした箱さえあれば用がすむ。つまり合板なんかで組みあげてしまえば簡単だろうけど、それではあまりにも味気ないと、例によって拙いスケッチを描いて製作をスタートさせた。

 まず2×4材などを利用して木の枠をつくる。今回はビスケットでジョイントしたが、長ビス止めでも構わないだろう。つぎに合板をはめ込むための段付けをルーターで彫り、合板を固定してパネルをつくる。左右の枠、前面のドアー用の三枚をつくり、それぞれを底板、上板、後ろ板をビス止めして固定する。

 下部には炭を燃やすコンロが入る。そのための防火処理として5mm厚のケイカル(ケイ酸カルシュウム)板を貼り付けた。

 ケイカル板は、軒の天井に使用する耐火材。3×6板でも700円程度と安いが、最近はホームセンターに置いていないことがある。材木店か建材ショップで入手できるはずだ。

 電動丸ノコで切断できるが、白い粉塵がやたら多い。カッターの切り目を両面に入れ、チョコレートのように折るほうが簡単。切断面の荒れはサンドペーパーで整えればよい。箱の底、内面3カ所、ドアーにもそれぞれビス止めした。

 最終的には、上板を固定せず、蓋のように取りはずせるよう設計を変更した。上部に補強のための木を取り付け、上板には煙排出用の穴をあければ一応の完成だが、すこし重くなったので移動用に台車を追加した。

 試しに火入れして耐火テストを行い、ついで材料の吊り下げ棒や網棚を取り付けるが、それらは燻製状況とともに次回に紹介。