今年初めて試した秋ジャガイモを収穫した。葉が黄色く枯れてからと決めていたが、何度か霜が降りて霜害の心配があるので作業を早めた。8月上旬に種イモ(でじま)の芽出し作業をはじめてから112日が経過していた。
この秋ジャガイモ栽培では、地下室で発芽させた挿し芽と芽を残した種イモを、それぞれ猿害対策として考えた袋栽培をするという多目的テストなので、あまり収穫には期待してはいなかった。
じっさい土寄せと追肥の状況を掲載した9月22日の記事には、ちょっと弱気になって「挿し芽の成長が捗々しくなく、収穫にはたどりつけないかもしれない」などと書いている。
その後、弱々しかった挿し芽も順調に成長し、やがて種イモ組と変わりないほど葉を茂らせた。そうした折にふと気づいて挿し芽組みの一部を、日当たりのよい石垣のそばに移してみたりした。こんなことができるのは袋栽培ならではだろうけど、太陽熱を蓄熱した石垣の暖かさを利用する「石垣イチゴ」を真似てみたわけだ。
結果、すこし枯れはじめたものに比べ、石垣ジャガはまだ青々と葉を茂らせているから、ある程度の効果はあったのだろう。収穫作業は、袋をひっくり返すだけだからじつに簡単だし、クワやシャベルでイモを傷つける心配がないのもいい。
挿し芽組には、いずれも2個のイモが付いていた。「でじま」は大きく育つ種類のようで、かなり立派なイモに育っていたが、石垣ジャガのほうが2個目の肥り具合がよかったかもしれない。さすが種イモ組は育ちがよく、どれも3個の収穫があり、小さな4つ目つきのものもある。そして種イモが腐らずに残っているのは、涼しい地下室での芽出しが効果的だったのかもしれない。
種イモ6個からこの程度の収穫は多いのか少ないのか。それはわからないものの、ふつうは抜き取って無駄になってしまう脇芽からも収穫できたのは、大成功と言っていいだろう。雑誌「現代農業」と考案者坂本堅志氏にお礼を申し上げよう。
ひと苗あたりのイモ数が少ないようだが、猿害対策(夏以降、猿どもは一度も現れなかった)の袋栽培ゆえの影響があったとも考えられる。イモ類にむいたカリ肥料などを研究すれば、いますこし収穫量が増えるかもしれない。
収穫したイモの一つがこんなふうに裂けていた。病気かと心配して調べたところ「裂開(クラッキング)」と呼ぶ現象のようで、高温などで成長が止まったあと、雨ふりがつづいたりしたときの二次成長により裂けてしまうらしい。
イモそのものに異常があるわけではなく、食べてもまったく問題はないようだが、このまま保存し、来春の挿し芽採りの種イモにするつもりでいる。