基本的にケチ、加えてせっかちだと自覚している。挿し芽(挿し木)好きの大もとは、そうした性格が影響しているにちがいない。
とにかく芽を挿すのだから、自家採種とおなじく費用はかからず、発根に多少時間がかかるといっても播種、発芽と比べたら大幅に短いし、苗を世話するような苦労はない。なにしろ発根さえしてしまえば、もう一人前の植物なのだから手間いらずなのがよい。
毎年やっているのがトマトの脇芽挿し。成長を阻害する脇芽をつんでしまうのが、トマト栽培のコツのひとつだが、その芽を発根させて利用するのだから一石二鳥。とくに実となる花芽のすぐ下の脇芽は、成長が活発で発根しやすい。
10㎝ほどになった脇芽を取り除き、水を吸いやすいよう斜めに切り、水あるいはバーミキュライト、またはパーライトを入れた容器に挿しておく。ときおり水を足し、あるいは入れ替えてやれば2~3週間ほどで発根する。あとはふつうの苗と同じように土に植え替えればよい。
そうして発根させたトマト苗は、当然のように一か月ほど遅れての収穫になるが、家庭菜園ではいちどきに収穫するより、ほどほどの量を長く収穫できるほうがありがたい。
挿し芽・挿し木はほとんどの植物で可能らしい。たとえば今年の寒さで戸外に植えたローズマリーを枯らしてしまった。かろうじて残った小さな一本から枝を切り取り、挿し芽しておいたらひと月ほどで発根した。小さな元の一本も枝が増えたので、あと3本ほど挿し芽しておくつもりだ。
エリゲロンもそうして増やしている。1~2㎝のちいさな花をいっぱいに咲かせ、しかも5月~10月までと花期が長いのがよい。また日当たりのよい乾燥気味の場所を好むのでヤギ小屋の屋上緑化に使ってみたのだが、冬季になっても繁茂した枯れた茎がのこるため、土の流出止めに効果がありそうだった。
とりあえず摘んだ芽を30鉢ほど挿し芽しておき、つい先日、発根したので屋上に植え込んだが、とてもとても足りそうもない。何度も書いた話だが、セルフビルド当初、屋根全体を覆ったクリーピング・タイムは、全部で600鉢が必要だった。そのすべてを挿し芽で増やしたわけで、だいぶ繁茂してきたので蒸れ予防に刈りこむさいには、2~300鉢ほど挿し芽しておこうと考えている。
いま一つ、放牧場を覆っているセンチピート芝の挿し芽をテストしてみた。この芝は、丈夫で病気にかかり難く、ヤギなどの牧草としても利用できる。しかし種はキロ当たり1万5千円とかなり高価で、しかも発芽がむずかしく、1~2か月も要するうえ、幼苗のころは雑草の陰になると枯れやすいという欠点がある。
同芝は、地上を這うようにのびるランナー(匍匐茎)で増えてゆく。ならばランナーを挿し芽したら発根するのではないか。じじつランナーを観察すると、写真のように根をのばしたものがあるわけで、2~3節に切ったランナーを挿し芽してみた。
たぶん梅雨明けごろには発根するのでは、と期待していたけど、平年より20日も早く梅雨が明けてしまった。まだ6月だというのに……。
追記 種苗法に登録された品種は、著作権のような権利によって保護されている。増やした苗を人に譲ったりすると「種苗法違反」となるようだから注意しなくちゃいけない。