これまで電子書籍はすべてリフロー型で配信してきた。文字の拡大縮小や端末サイズの大小にあわせて文字が流れこむように変化する。そこでre(再)flow(流れる)と呼ぶわけで、rewrite(リライト-再執筆)と同じような言葉なのだろう。
アルファベットや数字の半角1文字は、データ量の単位であらわすと1バイト、日本文字(ひらがな、カタカナ、漢字)の全角文字は2バイトとなり、この単位で流せば、たとえ1行あたりの文字数が増減しても表わす言葉の意味は変わらない。つまり小説などの文字だけの書籍であれば、レイアウトが変化してもなんら問題はないことになる。
ところが画像や写真はちがう。まずやたらと情報量が多い。たとえば最新刊『凄い男』の表紙としたjpgファイルは297キロバイトの情報量だが、本文のテキストファイルは240キロバイトしかない。この240キロバイトは、およそ12万文字にあたり、400字詰め原稿用紙なら300枚ほども書いたわけで、この数字をみると、やれやれ、といった気持になる、というのはまったく別の話……。
しかも画像ファイルは、297キロバイトを一つの塊として扱わないと表紙にならないわけで、文字のようにバラバラに流すわけにはいかない。そこで画像や写真が主体の電子書籍は、固定レイアウト型で配信されることが多い。
ページ全体を1枚の画像として処理するため、本文と写真のレイアウトは固定され、ページ送りや端末の違いによる崩れはまったくない。しかし拡大して読もうとすると、文字を追ってスクロールしなくてはならず、拡大にともなって文字が滲んで読みにくいという欠点がある。
そこで、こんな感じの縦長コラージュ写真(横組なら横長写真)をつくり、文字の間に入れ込んでみた。方法は簡単、指定した場所にドラッグ&ドロップすればよい。ただし画像スペースは、およそ数行分、ページ変わりのすぐ後ろでないと支障が出るかもしれない。
[metaslider id=1719] 参考までにKindle Previewer V3のスクリーンショットを掲載しておく。タブレット、スマホ、kindle端末とそれぞれ差があり、挿入写真のピクセル数によっても変わるようだが、そのあたりを再テストして、来年配信予定のビジュアルエッセイに使いたい。